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新機能追加のプレスリリースの書き方は?メディア掲載につなげる5つのポイントと項目を解説

みなさんは、既存の商品・サービスに新機能を追加したときにプレスリリースを作成して情報発信したことはありますか。「新機能追加程度のネタではプレスリリースにする意味がないのではないか」そう考えている方も少なくないかもしれません。ですが、新機能も何か課題解決するために追加されるもの。その機能を求めている人たちにとってはニュース性があるものかもしれません。

プレスリリースを発信することで、新機能はもちろん、商品・サービスそのものや企業姿勢を示すことができる機会となります。ぜひ、新機能追加の機会があればプレスリリース配信を検討してみてください。

本記事は、プレスリリースを活用するときの項目やポイントを紹介していきます。

新機能追加をメディア掲載につなげるためにはプレスリリースを活用しよう

商品やサービスなどの新機能には、社会や生活者に対して変化や影響を与えるものがあります。このようなニュース性のある新機能追加は、メディアにとっても有益な情報です。プレスリリースを使った情報発信を通じてメディアに伝えましょう。

新機能の内容はもちろんですが、その機能を追加する社会的な背景、開発や追加に至った社内の経緯なども記載するようにします。なぜその機能が社会に必要なのかをストーリーを活用して伝えることで、新機能の影響をイメージしてもらいやすくなります。

プレスリリース

新機能追加に関するプレスリリースに含める5つの項目

新機能追加に関するプレスリリースを作成する際に盛り込みたい5つの項目をご紹介します。機能の詳細だけではなくサービス全体の内容を記載することで、新機能追加による変化や影響を引き立てることができます。ただし、プレスリリースに記載する情報は、客観的な事実のみにすることを忘れずに。主観やエビデンスのない情報は記載しないようにしましょう。

項目1.新機能の詳細

新機能がどのような機能なのか、詳細を説明します。具体的には以下のような内容を記載しましょう。

  • 機能名
  • 機能を使ってできること
  • 機能を使える対象ユーザー
  • 新機能追加日や利用開始日
  • 新機能の利用料金 など

他にも、利用者に大きなメリットがあるなど強調したいものがある場合は、別項目として記載することで強調することができます。

操作性の向上や変更がある場合は、プレスリリース上でも利用シーンがイメージしやすいように写真や画像などを活用します。Webサービスであれば画面キャプチャ、リアルな商品などであれば利用シーンの写真やイメージ画像があるとわかりやすいです。ポイントやできることをキャプションなどで補足するようにします。

項目2.新機能追加の背景

新機能を追加した背景を説明します。新機能追加を行う理由や目的について解説し、新機能の必要性やニュース性を伝えましょう。

ポイントは、自社の都合だけではなく社会的な背景を含めて説明することです。例えば、ユーザーからの要望が多かったという自社の都合で新機能を追加した場合。ユーザーからの要望が多くなったことには、時流や社会的な動きが影響しているかもしれません。マクロの視点で社会を捉えることが重要です。

それらの社会的な背景に対して、どのような経営判断を行い何を目的として新機能を追加するのか、企業の立場からの理由も併せて伝えます。新機能によってどんなことを実現したいのかも含めると、重要性がより伝わりやすくなります。

項目3.サービス・商品の紹介

新機能追加を行ったサービス・商品自体の紹介も忘れずに記載しましょう。新機能追加のプレスリリースで初めてサービスを知るメディアや生活者もいます。新機能の説明だけでは何のことなのかわからず、その重要性やニュース性も伝わりません。新機能追加に関する情報にプラスして、そもそものサービス・商品がどのようなもので、生活者や社会にどのようなメリットがあるものなのか、わかるように情報設計をしてください。

スペックやダウンロード・購入方法などの概要情報は必ず記載するようにします。加えて、これまでの利用者の声などがあると、サービス・商品が生活者にどのように受け入れられているのかが伝わりやすくなるのでおすすめです。

項目4.今後の展望や予定

可能であれば、サービスや商品の今後の展望についても伝えられると好ましいです。新機能追加やアップデートが頻繁に行われるWebサービスなどの場合は、「今後のロードマップ」などの形式で予定している新機能や機能改善を公表する場合があります。それらによって社会に対するメリットがあるのかも簡潔に伝えることができると、新機能追加への期待度を高めることができるでしょう。

次に行う具体的な施策や予定がない場合は、新機能やそもそものサービスが関わる業界や社会に対して自社がどのような貢献や影響を与えていきたいと考えているのかを伝えると良いでしょう。そのために、どのような活動を企業として行うべきだと考えているのかまで記載できるとベストです。

項目5.会社概要

プレスリリースの最下部には、自社の会社概要を記載します。記載自体は必須ではありませんが、情報の信頼性などの観点から記載するほうが好ましいです。会社概要を記載する場合は、以下の情報を網羅するようにしましょう。

  • 会社名
  • 代表者名
  • 所在地
  • 会社WebサイトのURL
  • 事業内容
  • 代表電話番号
  • 代表FAX番号
  • 代表メールアドレス

広報の問い合わせ窓口が他にある場合は、「問い合わせ先」の項目を別途作成します。広報担当者名や、広報用の電話番号、メールアドレスなどを記載しましょう。同様に生活者向けの顧客対応窓口が代表電話や代表メールアドレスとは別に設置されている場合は、わかりやすい導線を引くようにするのが好ましいです。

新機能追加のプレスリリースをメディア掲載につなげる5つのポイント

新機能に関するプレスリリースをメディアに届け、取材やメディア掲載につなげるにはどんなことに留意すればいいのでしょうか。企業の広報活動の中で意外とやってしまうのが「最新情報だからなんとなくプレスリリース配信しておこうかな」というプレスリリース。

しかし、それではメディアに刺さるニュース性のあるものにはなりません。メディアの担当者に興味を持ってもらうためのポイントを5つにまとめました。

ポイント

ポイント1.ニュースバリューのある情報を選ぶ

取材やメディア掲載を狙うのであれば、そもそもメディアで取り上げる価値があると思ってもらえるニュースバリューのある情報を選定することがはじめの一歩です。ニュースバリューとは「情報の価値」のこと。メディア担当者が情報を取り上げたくなるきっかけでもあり、メディアフックと呼ばれることもあります。

ニュースバリューとなる要素には、以下のようなものが考えられます。

  • 時流/季節性
  • 画像/映像
  • 逆説/対立
  • 地域性
  • 話題性
  • 社会性/公益性
  • 新規性/独自性
  • 最上級/希少性
  • 意外性 など

これらの要素が含まれないプレスリリースは、メディアで取り上げづらく、プレスリリースを配信しても目に留めてもらえない可能性が高いです。新機能追加の背景や目的を深掘りし、どのようなニュースバリューがあるのかをよく検討することが大切です。

メディアフックについては「メディアフックとは?大きな2つの要素や、プレスリリースに取り入れるコツを解説」の記事もあわせてご覧ください。

ポイント2.社会的な背景を記載する

メディア担当者が興味を持つポイントとして、社会的な背景があります。新機能が社会に対してどのような影響を与えるのか、どのような社会的な課題や問題を解決するためのものなのか、といった新機能追加による社会へのインパクトについて記載しましょう。

社会とは、国内全体や全世界を指すわけではありません。特定の地域、性別、年齢、属性など、限られた範囲やニッチな範囲でもあります。大切なのは影響を与える規模や範囲ではなく、セグメントされた社会にどのような重要な課題や問題があるのか、それをなぜ解決しなければならないのか、といった部分です。新機能追加の背景にある課題や問題を具体的に伝えましょう。

ポイント3.具体的な数字を活用する

ニュースバリューや社会的な背景などを伝えるときには、具体的な数字を活用するのが理想です。社会の流れや時流、風潮などは、普段の生活の中で感じられるものですが、それが本当に特定の社会現象として起きているのかどうかを証明することはできません。数字やデータがそれらの裏付けとなるため、メディアでも取り上げてもらいやすくなります

数字やデータは各省庁が統計データとして出しているものや、民間の調査機関で行われているものなどがあります。自社で行うアンケートデータなどを活用するのも良いでしょう。新機能追加の背景を社内メンバーにヒアリングする際には、部署内でユーザーアンケートなどを実施していないかも含めて確認してみるのがおすすめです。

ポイント4.機能追加に至った経緯や開発秘話などのストーリーを記載する

新機能を追加するに至った理由や課題について、ストーリーで記載するようにしましょう。また、新機能追加までに社内でどのようなことが行われていたのか、開発秘話などのストーリーがあれば一緒に紹介できると良いです。

新機能に関するメリットなどの機能的価値を伝えることも重要ですが、どのような思いや情熱によって生まれたものなのか、という情緒的価値も同じくらい大切な要素です。開発担当者の生の声などを活用して、生活者が新機能に対して共感できるポイントを提示するようにしてください。

プレスリリースのボリュームが多くなりすぎてしまう場合は、ブログの記事など該当コンテンツへ遷移するURLを掲載するのがおすすめです。

ポイント5.イメージしやすい画像や動画素材を活用する

視覚的に新機能をイメージできるように、画像や動画などの素材を活用します。例えば、生活者が実際に触れる画面のスクリーンショット、操作や利用の様子がわかる動画、新機能の利用による生活者の変化が伝わるイメージ画像などを使います。文字だけでは伝えられない情報を画像や動画などで補足することで、より新機能に対しての理解を深めることができます。

プレスリリース上にすべてを埋め込むことができない場合は、YouTubeなどのURLを記載して遷移できる導線を作っておきましょう。Webサービスで新機能のデモを触ることが可能であれば、その情報を記載しておくことで、イメージだけでなく実際の操作も体験してもらうことができます。

新機能追加に関するプレスリリース事例3選

新機能追加に関するプレスリリースを配信している企業は、どのような内容や構成のプレスリリースを配信しているのでしょうか。今回は3つの事例をポイントとともにご紹介します。どの企業のプレスリリースも情報設計や見せかたに工夫を凝らしています。ぜひ参考にしてみてくださいね。

事例1.株式会社ジェイック

AI面接練習アプリの新機能追加に関するプレスリリースです。新機能に関して、どのような機能なのか、どのようなことが実現できるようになったのか、以前のバージョンからは何が変わったのか、といった情報がまとめられています。新機能追加では、それによって以前のものから何かが変化や改善していなければなりません。

このプレスリリースでは、これまでできなかったこと、新機能追加によってできるようになったこと、が明確に記載されているため、新機能追加の意義や影響が生活者にも伝わりやすい内容になっています。今後の展望についても、今回追加された機能をベースにどのようなことが可能になるのかが示されています。新機能追加のニュースを通じて、事業の今後のあるべき姿を伝えています。

参考:AI面接練習アプリ「steach」に自信解析AIエンジンを実装

事例2.oVice株式会社

バーチャルオフィスサービスの新機能追加に関するプレスリリースです。具体的な機能の内容は、外部のWebサービス通知を一元化して受け取ることができるというもの。ある程度、使用イメージがつきやすい機能であることから具体的な機能の説明は最低限に。具体的な例示や使用方法は外部ページへの導線を作ることで、プレスリリース上で情報の出し分けが行われています。

その代わりに、このプレスリリースではなぜこの機能を追加したのか、という背景の部分にフォーカスした情報設計が行われています。自社で実施したユーザーアンケートの結果を用いて、社会の中で顕在化している課題を提示し、新機能がその解決策となっていることが論理的に示されているのがポイントです。

参考:さまざまなWebサービスの通知をovice上で確認!oviceにパブリックAPI機能が新登場

事例3.株式会社HIKKY

Webメタバースサービスのアップデートに関するプレスリリースです。複数の新機能が追加されており、それらを羅列するかたちで情報設計されています。機能の紹介とともに、活用することでどのようなことが可能になるのか具体的なメリットも記載されています。

プレスリリース上に画像を複数枚活用しており、サービスのイメージがしやすい工夫がされています。とはいえ、メタバース空間の操作性など画像だけではイメージしづらい部分もあります。それらを補足するために、アップデート内容をまとめたYouTube動画がプレスリリースに埋め込まれています。動画も活用することで、まだメタバースに触れたことがない人にとっても、どのようなことがサービス上でできるのか具体的なイメージがしやすくなります。

参考:スマホからアクセスできるWebメタバース開発エンジン「Vket Cloud」がEC連携の新機能搭載、シームレスなお買い物体験を実現

新機能追加時に実施したい5つの広報施策

新機能追加のタイミングで、プレスリリース以外にも実施したい広報施策があります。新機能の機能性やメリットを実際に体験してもらう、企業の担当者の声などを届けることで機能そのものや企業姿勢に対して共感してもらうなど、さまざまな効果を見込むことができます。ここでは代表的な5つの広報施策をご紹介します。目的や予算などに合わせて最適な施策を行いましょう。

広報施策イメージ

1.メディア発表会

メディアに対して情報発信するために、メディア向けの発表会を実施します。メディアの担当者が実際に新機能を体験する、開発に関する話や新機能による社会への影響を直接説明するといった機会を設けます。製品の性質や特徴によりますが、実施形態はリアルでもオンラインでも可能です。コロナ禍以降、オンライン参加を可能にしている事例もあるようです。

メディア向け発表会は、プレスリリースだけでは伝えられない新機能に関する背景情報や今後の展望などを、企業のキーパーソンの言葉で伝えられるチャンスでもあります。サービス・商品に限らず、企業としての今後の展望に大きく関わるような機能である場合は、発表会を通じて企業の方針を示す機会にもなるでしょう。

2.イベント・キャンペーン

新機能に関するイベントやキャンペーンは、新機能を実際に利用する生活者を増やすことを目的に行われます。実施の方法は、ポップアップイベントなどのリアルイベントから、SNSを利用したキャンペーンまでさまざまな方法があります。闇雲にイベントやキャンペーンを行っても成果が見込めないことがほとんどですので、目的に応じてもっとも良い開催方法を選択するようにしてください。

イベントやキャンペーンでは、インセンティブを渡すことで利用を促す設計になっていることが多いです。しかし、イベント終了後に利用をやめてしまうことも多く、離脱が頻繁に問題になります。インセンティブを受け取った後も利用を継続してくれる仕組みまで含めた施策を考えられるとベストです。

3.展示会

展示会出展を通じて、新機能の認知を拡大することができます。他にも、商談機会の獲得や新規の営業リード獲得につながることも。BtoBのサービスにおける新機能追加の場合は、展示会出展を行うことで認知向上以外にも、今後のコラボレーションなどの可能性が生まれるかもしれません。

展示会の規模感はさまざまですが、それぞれにテーマが決まっています。例えば、ヘルスケア、IT、経営支援などさまざまです。新機能追加のタイミングでマッチする展示会があれば出展をぜひ検討してみてください。展示会出展では、新機能追加の速報性などは出展条件になることはありません。新機能追加直後でなくても、マッチするテーマがあれば参加してみると良いでしょう。

4.体験会

メディアに向けた発表会だけでなく、生活者やステークホルダーに向けた新機能の体験会を実施しましょう。開催方法はサービス・商品の形態にもよりますが、Webサービスであればリアルだけでなくオンラインでの開催も可能です。体験後にはアンケートを実施して、ユーザーボイスを集めるようにするのがおすすめです。

体験会は、不特定多数への認知向上を目的としてポップアップイベントなどの形で実施したり、クローズドなイベントとして新機能追加の前に事前に体験してもらってリアルな利用者の声をキャッチアップしたり、目的によって開催方法はさまざまです。発表前に行う場合は情報漏洩のリスクもあるので、どのように情報の規制を行うのかを計画して望むようにしましょう。

5.開発ブログ

開発の裏側や背景などの詳細な情報は、ブログをはじめとしたオウンドメディアを活用して発信しましょう。プレスリリースだけでは伝えきれないストーリーなども詳細に情報を伝えることができます。開発者のインタビュー、技術に関するノウハウなど新機能にまつわることをまとめましょう。

テキストだけではなく、動画などの形式でコンテンツを作成するのもおすすめです。特に視覚的なおもしろさがある機能や、文章だけでは伝わりづらいものは動画を活用すると良いでしょう。どちらかだけでなく、テキストと動画を掛け合わせることで効果的に伝えることもできます。

コンテンツを作成したら、URLをプレスリリースに掲載することでプレスリリース以上の情報をキャッチアップするための導線作りをすることもできます。

新機能による変化をイメージしてもらおう

新機能追加のプレスリリースの書き方について、具体的な項目や作成時のポイントについてまとめました。新機能追加に関するプレスリリースを作成する時には、まずその機能の利用シーンやメリットが具体的に伝わるかどうかを重視します。文章だけで伝わらない場合は画像や動画などの視覚的情報も活用してください。

機能の内容やそれによるユーザーメリットに加えて、どのような社会的変化があるのかがイメージできるかも大切です。新機能追加の背景や目的について、自社の都合だけでなく社会的な背景を含めて伝えるようにしましょう。具体的なデータや数字があればそれらも提示するようにすると、より社会の流れをイメージできるプレスリリースになります。

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新機能追加のプレスリリースに関するQ&A

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この記事のライター

長瀬 みなみ

長瀬 みなみ

ITベンチャーにて広報PRを担当したのち、ヘルスケアベンチャーにて広報PR部門の立ち上げ、ブランド責任者として取締役就任。YouTubeチャンネル運営など、さまざまなメディアを活用した分ランディングや広報活動を行う。独立後は、広報PR・ブランディング・コミュニティ運営など幅広く活動している。これまでの経験から広報・ブランディングに関する戦略立案からプレスリリース執筆まで幅広くカバーしたコンテンツを作っています。

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