広報PR担当者がイベントを企画するとき、最初の一歩は「企画書づくり」から始まります。
本記事では、イベント企画に必要な検討要素を網羅した企画書を作れるよう、企画書の書き方、基本構成から、7つのポイントを解説します。、無料でダウンロードできるテンプレートもあるので、ぜひご活用ください。
イベント企画書とは?役割と基本の考え方
イベント企画書とは、企画の意図・内容・実施方法を整理し、関係者に共通認識を持ってもらうための設計図です。アイデアを文章として構造化することで、目的に沿った判断がしやすくなり、運営のブレや認識差を防ぐ役割を果たします。単なる説明資料ではなく、イベントの価値を言語化し、実行可能性を確かめるための基盤となる文書といえます。
イベント企画書の定義と「イベント計画書」との違い
企画書は「なぜ行うのか」「何を実現するのか」を説明する文書で、意義・背景・狙いを整理する役割を持ちます。一方、計画書は「いつ・誰が・どう実施するか」といった具体的な実行プロセスを示す文書です。両者は連動しますが、企画書は方針やコンセプトを示す上流工程、計画書はその実現方法を詳細化する下流工程として区別されます。
企画書が果たす承認・提案・共有の3つの役割
企画書の役割は大きく三つあります。社内承認では、決裁者に判断材料を提供し、予算やリソース配分を得るための根拠となります。社外提案では、協力企業やパートナーに企画の価値を理解してもらい、協働の方向性を明確にします。さらに、当日の運営スタッフを含む関係者全体の共通指針として、実行時の迷いを減らし、成果最大化につなげます。

イベントの企画書の基本構成と無料テンプレート
記者発表会や一般向けイベントなど、広報・PR担当者がイベント企画を立案する機会は少なくありません。そのたびにゼロから企画書を作成するのではなく、基本的な構成をあらかじめ理解しておくことで、作業効率が大きく向上します。
また、企画書の作成頻度が高い場合には、テンプレートを活用することで、抜け漏れを防ぎつつ短時間で質の高い資料を整えることが可能です。限られた時間やリソースの中でも成果を出すために、汎用性の高いフォーマットを準備しておくことをおすすめします。
イベントの企画書の基本構成
イベントの企画書の基本構成と、必ず記載しておきたい項目を一例としてご紹介します。
企業・団体によって必要項目が異なる場合もありますが、基本的にはプレスリリースと同様、5W2H(+展望)を押さえることを意識しましょう。
①書類情報
「作成日」や「作成者」など、ドキュメントを管理するために必要な情報
②企画の概要・目的
「タイトル」「目的」「概要」「ターゲット」など、企画の全体像がわかる情報(Why・What・Who)
③企画の詳細
「内容」「日時」「場所」「予算」など、企画の詳細(When・Where・How・How much)
具体的に記入するほど、読み手が実際の様子をイメージしやすくなる
④補足情報
「宣伝方法」「スケジュール」「運営体制」「添付資料」など、企画を補足する情報
イベントの企画書・無料テンプレート
上記の項目を網羅したテンプレート(Wordファイル)をこちらから無料でダウンロードできます。
※クリックをすると、すぐにダウンロードが開始されます。
プレゼンなどを行う場合はスライドのほうが適していますが、スライドを作成する前にまずはドキュメント1~2枚でまとめるのがおすすめです。できる限り簡潔にまとめることで情報が整理され、内容や重要な点を誰でもひと目で確認できます。
承認されやすい企画書を作成するためには、決裁フローを理解しておくことも重要です。決裁者や関係者が誰か、どの段階でどの情報が必要になるかを把握し、適切なタイミングで必要な資料やデータを提供することが求められます。フローに沿った内容と形で企画書を作成することで、承認を得やすくなるでしょう。
通る企画書の書き方7つのポイント
企画書の基本構成を押さえたら、いよいよ内容を詰めていきましょう。関係者の認識をすり合わせ、円滑なイベント実施の手助けとなる企画書の書き方について、7つのポイントをご紹介します。

ポイント1.目的・テーマとゴールやKPIを明確にする
企画書を作成する段階で、目的とゴール(イベントを通して実現したい状態)は必ず明確にしておきましょう。目的とゴールが不明瞭なままだと、社内外の関係者にイベントの価値を伝えられません。また、イベントに関わるメンバーの認識がずれてしまいます。
目的とゴールが明確になれば、おのずとイベントのターゲット(参加者)やコンテンツも決まってきます。イベントを企画しているとつい、「こんなことをやってみたい」とアイデアが先走りがちですが、必ず目的とゴールを先に言語化し、固めておきましょう。
ポイント2.自社ならではの独自性のあるコンテンツにする
メディア関係者向けの記者発表会から生活者向けのイベントまで、各地で日々さまざまなイベントが開催されています。そこで重要なのが、「自社ならでは」のコンテンツを用意することです。
たとえ同じ時期に競合他社がイベントを企画したとしても、自社のイベントに行きたいと思ってもらえるような企画を目指したいところ。他社や他業界のイベントの事例を研究し、「新規性」「ストーリー性」など魅力的なポイントを自社の場合にどう生かせるか考えていきましょう。
ポイント3.余裕を持ったスケジュールを組む
イベント開催までの大まかなスケジュールを設定しましょう。企画書作成の時点で綿密に決まっている必要はありません。大切なのは、余裕を持ったスケジュールにすること。
イベントには多くの人が関わり、モノやお金も動きます。どうしてもトラブルやイレギュラーな事態が発生しやすいため、予定通りにならなくとも焦る必要のない計画を立ててください。
特にイベントに著名人を招く場合などでは、連絡に想定より時間がかかることもあります。早め早めに動くことを想定したスケジュールにしましょう。
スケジュールを検討する際は、「備品発注」「集客開始」「会場設営」など、重要度の高い締め切りをマイルストーンとして、細かいスケジュールを詰めていきます。
抜け漏れを防ぐため、かんばん方式やガントチャートなどを使ってスケジュール・タスクを管理できるサービスの使用も検討してみてください。

タスク管理ツールの使用例(サンプル)
ポイント4.予算と使途の内訳を明記する
イベントを企画する際は、使用可能な予算を考慮しましょう。何にいくら費用がかかるのか、企画段階で必要な金額と内訳を把握しておくのは、イベント実施の承認を得るうえで重要です。
「最小限のコストでも最大のクオリティを実現すること」を意識し、ポイント1で設定した目的とゴールに立ち返りながら優先度を整理する必要があります。限られた予算の中でも満足のいく結果を出せるよう、検討を重ねましょう。
ポイント5.社内外の関係者と役割を洗い出し、運営体制を明記
イベントのオペレーションの混乱を防ぐためには、人の動きを明確にすることが重要です。関係者の組織図を整理し、メンバーの役割をできる限り明確にしておきましょう。社内だけでなく、社外のパートナーに業務をアウトソースする場合には、それも運営組織図に含めます。また、著名人など外部から登壇者を招く場合、登壇者にも関係者の全体像を大まかに共有しておけるとベターです。
関係者が多いときは、全体統括者のほか、備品・コンテンツ・予算・参加者対応など各領域のリーダーを定めておくことが有効。混乱を防ぐため各人の管掌範囲を事前にすり合わせておきましょう。
ポイント6.効果測定方法を盛り込む
企画の段階であらかじめ効果測定方法を定めておきましょう。イベントの効果を数値で可視化し、イベント関係者への報告を行うとともに、次回以降の改善につなげます。
効果測定の指標の例
定量的
- メディア掲載の数
- 製品の売上金額
- 来場者数
- 来場者の満足度
- NPS®
定性的
- メディアの掲載内容(好意的、中立的など)
- ブランドイメージ調査
- ソーシャルメディア上の意見
ポイント7.想定されるリスクを洗い出し、対応策をまとめる
多くの人やモノが動くイベントでは、思いがけない事故や事件などが起きる可能性があります。会場設営スタッフや参加者がけがをしてしまったり、不審者が紛れ込んだりと、イベントの内容によってリスクの内容もさまざまです。
また、時期によっては悪天候や熱中症なども考慮しておくべきでしょう。外部要因(天候など)と内部要因(会場設営など)に分けてできる限りリスクを洗い出し、それぞれの対応策についてまとめておくことで、もしものときの被害を最小限に留められます。
イベント企画書の書き方・テンプレートに関するQ&A
企画書をつくる際には、フォーマットや分量、企画規模に応じた省略ポイントなど、実務上の悩みが多く発生します。最後に、「どの程度書けば十分か」「形式をどう使い分けるか」など、作成時に迷いやすいポイントを整理し、効率よく質の高い企画書を仕上げるための基準を紹介します。
Q1.イベント企画書は何ページ程度が理想?
一般的には1〜3ページのドキュメント形式、または5〜10枚程度のスライドが最も読みやすい分量です。重要なのは長さではなく、企画の全体像が過不足なく伝わること。目的・ターゲット・内容・予算・体制の5点が整理されていれば十分で、詳細は添付資料で補う形にすると決裁者にも伝わりやすくなります。
Q2.スライド形式とWord形式、どちらで作るべき?
社内承認や説明を伴う場合はスライド形式、関係者に詳細を渡したい場合や文字情報が多い企画ではWord形式が適しています。
初稿としてWordで構造化し、その後必要に応じてスライド化する流れが最も効率的です。目的と想定読者に応じて形式を選ぶことが、読み手の理解を促すうえで重要なポイントです。
Q3.小規模イベントでも企画書は必要?簡易版の作り方は?
小規模イベントでも、目的・日時・体制を整理した簡易企画書は作成すべきです。1ページで構いませんが、目的・ターゲット・内容・予算の4項目だけは必ず記載すると、大きな抜け漏れが防げます。
口頭だけで進める場合と比べ、準備段階での認識違いや当日の混乱を大幅に減らせるため、小規模こそ簡易版が有効です。
Q4.オンライン/ハイブリッドイベントならではの企画書の書き方は?
オンライン特有の課題である「通信環境」「視聴離脱率」「参加導線」を企画書に盛り込む必要があります。配信方式、チャット運用、収録・ライブの選択、アーカイブ公開の方針など、リアルとは異なる実務要素を明記することで運営リスクが減ります。参加者体験を画面上でどう設計するかを中心に考えることがポイントです。
Q5.上司や経営層に刺さる企画書にするためのポイントは?
経営層は「目的の妥当性」「費用対効果」「リスク管理」の3点を重視します。企画書では、意義とゴールを簡潔に示し、予算や成果を定量的に説明すると判断が早まります。
また、競合比較や期待効果を数字で示すと説得力が増します。読み手の時間を奪わないことが最重要で、要点を一枚で把握できる構成が理想です。
ポイントを押さえた企画書を作成してイベントを成功させよう
企画書を作成することで、イベントの内容や意義を誰にとってもわかりやすいようにまとめ、関係者全員で認識を合わせられます。
企画書は、基本の構成内容を網羅していることを前提に、「目的とゴールを明確にする」「自社ならではのコンテンツにする」「余裕を持ったスケジュールを組む」「予算と使途の内訳を明記する」「社内外の関係者と役割を洗い出す」「効果測定方法を盛り込む」「想定されるリスクを洗い出し、対応策をまとめる」という7つのポイントを意識して作成してみてください。
必要に応じてテンプレートも活用し、イベントの成功につながる企画書をつくりましょう。イベントの開催が決まったらプレスリリースで発表し、開催後もレポートの作成・配信を行うなどの施策も合わせて行ってみてください。
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<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>
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