流行の移り変わりが早い現代広報PRにおいて、広報PRでも「いま、何が注目されているのか?」をしっかりと押さえておくことが非常に重要です。どのようなキーワードが注目されているのか、読み手はどのようなコンテンツに関心を抱きやすいのか。こうした時流を踏まえたうえで、魅力的なプレスリリースをつくっていく必要があります。
本記事では、2025年1月1日~5月31日の期間に「PR TIMES」で配信されたプレスリリース計17万6,625件を対象としたデータを基に、急上昇キーワードや今後のトレンドを解説。2025年下半期から2026年に向けて意識しておきたいキーワードに加え、関連する他社事例も紹介しています。ぜひ、今後の情報発信の参考にご活用ください。
2025年上半期急上昇キーワード!AI関連は100件超の日も
プレスリリース配信サービス「PR TIMES」では、1件あたり最大10個の関連キーワードを登録できます。2025年1月~5月の5ヵ月間に登録されたキーワード総数は、なんと27万2895種。今回はその中から、ピックアップした3つの急上昇キーワードを見ていきましょう。

1.AI
2025年上半期の急上昇キーワード第1位は、やはり「AI」でした。業種問わず注目度が高まっており、2024年同期と比べて「AI」のキーワード登録件数は、2,531件増加。前年比53.5%の上昇率で、多くの企業から「AI」に関するニュースが発信されました。
AIへの注目度が本格化したのは2022年以降。特に2022年11月、OpenAIがChatGPTを正式リリースし、2ヵ月間で利用者が1億人を超えるなど一気に話題となりました。「PR TIMES」でもこの頃から 、AIを用いた新サービス・商品の発表のほか、企業へのAIシステム導入を報告するプレスリリースが増えてきた印象です。その後、AIシステムを活用して事業課題を解決したり、競合他社との差別化を図ったりといったノウハウをセミナーや無料コンテンツとして提案するプレスリリースも増加。「AI」は今や、特定の期間や季節に左右されず、毎月上位にランクインしています。
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2.生成AI
2024年に上昇率トップだった「生成AI」は、2025年上半期も引き続き注目されるキーワードです。2024年と比較し、上昇率は前年比64.4%で、配信件数は1,575件増と「AI」に次ぐ2位となりました。
このキーワードでは、生成AIそのものの技術的解説だけでなく、馴染みがない層にもわかりやすく紹介するようなプレスリリースも多く見られます。生成AIに関する知識を深め、生活や事業に取り入れたいと考える人が増えていることも、上昇率アップの理由といえるのではないでしょうか。急上昇ランキング1位の「AI」と同様に、今後もさまざまな企業・団体による配信が見込まれます。
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3.AIエージェント
2024年から大きく急上昇したキーワードが、「AIエージェント」です。2023年まではほとんど使用されなかったキーワードですが、2024年には860件増え、その増加率は87倍となりました。
AIエージェントは、生成AIの進化系ともいえる技術。事業における複雑な工程を自動化したり、教育分野に応用したりといった場面で活躍しています。効率化を主な目的とするAIエージェントですが、導入事例を紹介するプレスリリースが多く見られました。2024年はキーワードランキング外であったことから、今後も期待されるテーマといえるでしょう。
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2025年下半期&2026年のトレンド予想!注目キーワードは?
2024年のデータをもとにした2025年トレンド予想では、「生成AI」のほか、「本社移転」「猛暑」「ショートドラマ」といったキーワードが注目を集めました。やはり、AI領域の伸びは顕著な結果に。「本社移転」は同時期比(※)65件に対し65件と横ばいでしたが、「猛暑」は82件に対し132件(161%)、「ショートドラマ」は51件に対し241件(473%)と大きく伸長しました。
ここからは、2025年下半期から2026年にかけて注目度アップが期待できるキーワードを3つ抜粋してご紹介します。
※比較対象:2024年1月1日~5月31日/2025年1月1日~5月31日
注目1.生成AI・AIエージェントなどAI領域
2024年の予測でも取り上げられたAI領域のキーワードですが、2025年下半期以降も引き続き注目が期待できます。2025年6月4日には、AIの研究開発や利活用を適正に推進する法律「AI新法(人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律)」が公布されました。これによりAIの注目度・需要はさらに高まり、プレスリリースでAI・生成AI・AIエージェントといったキーワード関連の情報を発信する企業も増えていくでしょう。
AIそのものは専門的なシステムですが、ChatGPTをはじめ生活者が手軽に利用できるツールも複数登場しています。企業に向けた情報発信はもちろん、以下のように「ライフスタイルにAIサービス・商品を取り入れることを提案する」という目的でのプレスリリース配信も期待できるのではないでしょうか。
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注目2.人材育成・研修などの人的資本関連
「人材育成」「研修」など、人を育てる取り組みや人事関連のキーワードは2019年以降年々増加しています。2019年は関連キーワードが計524件であったのに対し、2024年は2,740件、2025年上半期は3,980件にまで増加しました。
ポジティブなキーワードだけでなく、社会的な課題を示す「人手不足」「人材不足」も増加傾向にあります。「人材育成」「研修」「人手不足」が特に割合を占めているため、下半期以降も取り上げられる機会が多くなるでしょう。
また、「入社式」に関連するプレスリリースも徐々に増加しています。入社式の開催報告やレポートを発表することは、今後の採用につなげるよい機会です。
なお、入社式のプレスリリースを配信するメリットや書き方については以下の記事で詳しく解説しています。2025年の「入社式」プレスリリースの事例も取り上げていますので、あわせてご覧ください。
注目3.老舗
2025年下半期以降、特に注目したいキーワードが「老舗」です。2024年の59件に対し、2025年上半期は122件になりました。新しい商品やブランド展開を通じて、新たな事業機会に挑戦する企業が増えていることも影響しているでしょう。
実際に、広報PR活動に力を入れる老舗企業を取材し、認知や売上につなげた施策、新たに広報PRに取り組む背景も複数公開しています。ぜひこの機会にご覧ください。
【売り上げの拡大】
参考:熱海で200年超。メディアが注目する老舗旅館、17代目がはじめたPR |合資会社古屋旅館
参考:創業100年の米菓メーカー。5代目が挑む売上拡大と地域貢献への広報PR|日の出屋製菓産業
【商品・企業価値の向上】
参考:年商1/3から再起。缶の新しい価値を展開する、創業116年老舗企業の挑戦|側島製罐株式会社
参考:価格競争から抜け出す。顧客目線で価値を伝え、選ばれる存在に|株式会社タカギ
【新規顧客の開拓】
参考:メディア取材が集まる老舗和菓子店。顧客層を広げた4代目の「非日常」を伝える意識|株式会社お亀堂
参考:創業130年の老舗和菓子店が仕掛ける「鳩サブレー」の広報PR|株式会社豊島屋
【認知拡大の事例】
参考:「先入観」を手放して届ける言葉づかいと、テレビの「画」を視聴者目線で一緒につくる現場づくり|株式会社あみだ池大黒
参考:山口県に根差して100年超。広報PRの力で地域を代表する銘菓へ|あさひ製菓株式会社
【インナーブランディングの事例】
参考:観光資源を活かし多角的な事業展開。採用と経営人材の育成につなげるインナーブランディング|株式会社古窯ホールディングス
参考:1917年創業の容器製造メーカーが新たな視点で取り組むSDGs推進につながる広報PR|東洋製罐グループホールディングス株式会社
【新ブランディングの事例】
参考:「おみやげの店」から「おなじみの店」へ。企業の存在意義を示すリブランディング|株式会社よーじや
参考:創業150年超、2人で進めた広報PRの基盤づくり。情報量を増やした1年目から、「伝わる」質を磨く2年目へ|株式会社日比谷花壇
また、関連するテーマとして「新店舗」キーワードとともに発信する企業も見られました。「新店舗」キーワードも前年同期比で約2.1倍まで増加していますが、エリア外出店は事業拡大を示す機会にもなり、積極的に使用したいキーワードのひとつです。そのほかにも地域特有のキーワードとして、2025年4月13日〜10月13日の184日間にわたって開催される「大阪・関西万博」も急上昇。2025年下半期も要注目です。
プレスリリースにトレンドや注目キーワードを盛り込むメリット
プレスリリースに注目キーワードを盛り込むことで、以下のようなメリットが期待できます。
- 検索からプレスリリースを見つけてもらいやすい
- ニュース性があるプレスリリースはメディアフックになる
- プレスリリースやその情報がSNSで拡散されやすい
認知拡大を目的としたプレスリリース配信では、注目度の高いキーワードを設定することで、効率的なアプローチが可能に。例えば「AIエージェント」を盛り込むことで、メディア関係者のほかAIエージェントに関心がある層・ツールを導入している層・導入事例を探している層など幅広いステークホルダーに情報を届けられます。
生活者向けの情報であれば、プレスリリース配信をきっかけにSNSで拡散率を高められるかもしれません。注目度が高いほどメディアフックにもなりやすいため、関連キーワードの登録は広報PR施策において非常に重要な作業といえるでしょう。
トレンド・注目ワードをプレスリリースに活かすポイント
注目キーワードの盛り込みは重要ですが、トレンド・注目ワードをむやみに使用すればよいというわけではありません。ここでは、トレンド・注目ワードをプレスリリースで効果的に活かすための3つのポイントをご紹介します。

ポイント1.トレンド・注目キーワードで流行をつかむ
ステークホルダーの関心を引くプレスリリースを作成するには、まず「いま何が流行っているのか」を把握するリサーチが欠かせません。「AI」「生成AI」など注目度の高いキーワードをピックアップし、XやInstagramなどのSNSを活用して検索してみましょう。具体的にどういったテーマ・カテゴリ・コンテンツが流行しているのか、タイムリーな情報をつかむことができます。
キーワードに特化した情報を得たい場合は、Googleなどの検索エンジンを用いるのがおすすめ。リアルタイムで分析できる「Googleトレンド」では、検索ボリュームや推移の変化といったリサーチが可能です。
さらに、PR TIMESの「いま注目のキーワード」では、ランキング上位のプレスリリースや話題のテーマをチェックできるため、実際の事例を踏まえたリサーチにも役立ちます。
ポイント2.関連性が伝わるビジュアルコンテンツを活用する
プレスリリース制作において、ビジュアルコンテンツの活用も大切な要素です。視認性を上げるためのビジュアルは有用ですが、フリー素材はできる限り使用せず、プレスリリースの内容に関連するオリジナル画像を用意したほうがコンテンツ力も高まります。
例えばAI領域の場合、画が撮りづらく、読み手がイメージしづらいケースも多いため、わかりやすく伝えることを前提とした画像の準備が重要。サービス・商品のイメージ写真だけでなく、動く画像(GIF)や動画を掲載して使用感を伝えてもよいでしょう。導入事例として発表する場合は、導入前後で何が変わるのか、効果が見られたかといった実績をイラストや図表で示すと理解度が高まります。
ポイント3.適切なプレスリリースの配信タイミングを見極める
プレスリリースを活用した広報PR施策では、プレスリリースそのものの内容だけでなく配信のタイミングを見極めることも大切です。読み手が情報を必要としているタイミングに合わせて配信できるよう、スケジュールも入念に検討しましょう。
季節の行事や期間限定イベントに関するプレスリリースでは、配信機会の見極めが特に重要です。来場・参加を促したいのであれば開催日に先駆けて配信し、取り組みとして発表したい場合は開催後のタイムリーな配信を心がけるとよいでしょう。注目度の高いキーワードとうまく掛け合わせることで、その時期ならではのニュース性がメディアフックになります。
トレンドキーワードを活用したプレスリリースで注目度を上げよう
2025年上半期に配信されたプレスリリースでは、「AI」「生成AI」「AIエージェント」と、AI領域のキーワードが急上昇ランキング上位を獲得しました。2025年下半期から2026年にかけては、AI関連のほか地域に特化した「老舗」「新店舗」といったキーワードも要注目です。
トレンドや注目キーワードを活かしたプレスリリースを制作する際は、読み手に届く内容・ビジュアル・配信機会を見極めることが大切。ご紹介したポイントを参考に、さらなる注目度アップにつながるプレスリリースを作り上げていきましょう。
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