X(旧 Twitter)の企業アカウントは、社内外への情報発信とともにステークホルダーとの関係づくりに欠かせないツールのひとつです。この記事では、より効果的にX(旧 Twitter)の企業アカウントを運用できるよう、アカウントの作り方から活用方法までをマニュアルとしてご紹介します。
X(旧 Twitter)の企業アカウントの作成方法
最初のステップは、アカウントの作成です。
X(旧 Twitter)の企業アカウントを作成する際に必要なのは3つのステップ。大切なのは、ただアカウントを作成するだけではなく、あらかじめKPIや運用方法についてシミュレーションしておくことです。作成のステップをひとつずつしっかりと確認して企業アカウントを立ち上げてくださいね。
STEP1.アカウントを作成する目的・KPIを決める
アカウントの作成前に、必ず目的とKPIを設計しましょう。X(旧 Twitter)の特徴である「ユーザーとのコミュニケーション」を目的とするのか、あるいは「コミュニケーションではなく一方向的な情報発信のみ」を目的とするのかによって、得られる効果はまったく異なります。
また、目的によってアカウントの「カラー」や「キャラクター」も自ずと異なるものになります。フランクな語り口のアカウントなのか、公式情報を堅めに取り扱うアカウントなのか、具体的なイメージを描いておくとよいでしょう。
【アカウントの運用目的とKPIの例】
目的 | KPI |
マーケティング | インプレッションリンククリック引用リツイートの数など |
広報PR | フォロワー数引用リツイートの数いいね!数など |
カスタマーサポート | リプライ、いいね!数アンケートへの回答数担当者のリプライ速度など |
X(旧 Twitter)におけるKPIについては、以下の記事で詳しく解説しています。
STEP2.更新の頻度・担当者を決める
目的とKPIを決定したら、更新頻度と担当者を決めましょう。特に、更新頻度はアカウントの目的とKPIによって大きく異なります。例えば「広報PR」を主目的とするアカウントなら更新頻度は週に数回で十分ですが、「カスタマーサポート」を主目的とする場合には、1日に複数回の更新が必要かもしれません。
X(旧 Twitter)運用で得たい効果に対してどれだけのリソースを割けるのか、「費用対効果」を意識しながらバランスよく設定するのが理想です。
STEP3.アカウントを作成する
アカウント作成の目的とKPI、更新頻度などを決定したら、実際にアカウントを作成しましょう。
X(旧 Twitter)は基本的に、誰でも無料でアカウントを作成することが可能です。無料アカウントの場合は、特に運用費用もかかりません。一方、無料アカウントの場合、悪意のあるユーザーによってなりすましが発生してしまうこともあるので注意が必要です。サブスクリプションや審査の手続きを踏むことで、アカウント名の横に色付きのチェックマークが表示されるので適宜、活用していきましょう。各チェックマークの意味については、以下の通りです。
チェックマークの色 | 意味 |
ブルー | Xプレミアムにサブスクライブしているアクティブなアカウント |
金 | 「X認証済み組織」サービスを通じてXに公式に認証された事業者のアカウント |
グレー | 政府機関や多国間機関、またはその関係者として認証されたアカウント |
これまでは、著名で信頼に値するアクティブなアカウントであることを示せた「ブルーのチェックマーク」も企業向けアカウントとして一般的でしたが、2023年4月1日に従来の認証プログラムを終了。企業や著名人だけでなく幅広いユーザーが取得できるようになりました。
自社の公式アカウントであることを証明したい場合は、広報PR担当者や子会社のアカウントを関連アカウントとして登録できる認証済み組織サービス「金色のチェックマーク(Verified Organizations)」を取得するのもひとつです。
X(旧 Twitter)の企業アカウントの活用方法
マーケティングや広報PRなどさまざまな目的で作成・活用できるX(旧 Twitter)の企業アカウント。X(旧 Twitter)の機能や特徴を確認して、最大限に活用しましょう。ここでは、3つの活用方法をご紹介します。
1.ユーザーとのコミュニケーションを取る
X(旧 Twitter)では、リプライ機能を用いてユーザーと気軽にコミュニケーションを取ることができます。ユーザーとのコミュニケーションを深める過程で、商品・サービスへのフィードバックが得られたり、ニーズを把握できたりもするでしょう。生活者参加型のキャンペーンも、機動的に行いやすいです。
例えば、株式会社紀文食品の公式アカウントや株式会社タニタの公式アカウントが生活者とコミュニケーションを深めるスタイルで人気を博しています。「企業」だけではなく「企業アカウントの中の人」と直接に親密なコミュニケーションを取れることが魅力で、まるで友人と会話しているような気軽さが特徴。どちらのアカウントも開設以来、順調にフォロワー数を増やしています。
成功事例がある一方で、アカウント運用の難易度は相対的に高くなってしまうデメリットもあります。生活者と「気軽に会話」するということは、リアルタイムにコミュニケーションを取り続ける必要があるということ。多くの運用工数が必要ですし、X(旧 Twitter)特有のタイムラインの雰囲気に適応しつつ、スピーディーな判断が求められる瞬間もあります。それらの点を踏まえて運用担当者を決定するとよいでしょう。
2.アクティブサポートを行う
X(旧 Twitter)を通じて積極的かつ能動的にカスタマーサポートを実施する「アクティブサポート」。一般的なカスタマーサポート(CS)との違いは、サポートが必要なユーザーを、企業側が探知することです。きめ細かなコミュニケーションで製品やサービスに対する満足度の向上しつつ、ユーザーとの信頼関係を構築できるのが特徴です。
カスタマーサポートではユーザーから問い合わせが届くのを待ちますが、アクティブサポートは自社の製品やサービスに疑問・不満などを抱えるユーザーをエゴサーチで見つけ、その解決のためにコミュニケーションを取ります。
多数ある関連ツイートをきちんと拾い上げ、ケースバイケースで真摯に対応することができないと、逆にユーザーの不満が増大しかねません。アクティブサポートを実施する際には、知識のある人員を十分に配置して漏れのない運用を心がけることが大切です。
3.アンケートなどで要望をヒアリングする
ユーザーの生の声を集めるためのアンケートの実施も、X(旧 Twitter)の企業アカウントの活用方法のひとつです。Googleフォームなどで作成したアンケートのURLをツイートすることもできますが、もっとも手軽なのはX(旧 Twitter)の「投票(アンケート)機能」を使用することです。
「質問」は最大140文字(※1)、「回答」は最大25文字、選択肢は4つまで設定可能で、回答期間は最短5分〜最長7日間で設定できます。ユーザーが選択肢を1つ選べば回答が完了するので、比較的カジュアルなアンケートに向いています。このアンケートを活用すれば、ユーザーからの要望を生の声として受け取り、迅速に製品やサービスの改善に活かすことができるでしょう。
※1 サブスクリプションサービスの利用者は最大2,500文字まで
X(旧 Twitter)で人気の企業アカウントの特徴
運用の中に「自社らしさ」を出してより高い効果を得るためにも、他社の企業アカウントを研究することは重要です。ここでは、必ず確認しておきたいX(旧 Twitter)で人気の企業アカウントの特徴をご紹介します。先駆者の手法を参考にしながら、企業アカウントを盛り上げましょう。
1.真面目な情報発信と緩い交流をバランスよく混ぜ込む
企業アカウントとして必要な情報発信を実施しつつ、リプライやリツイート機能を活かして緩い交流を実施する企業アカウントが増えています。
例えば、先述したシャープ株式会社の公式アカウント。自社の製品やサービスの新発売情報や使用に関する情報などを発信しつつ、アカウントの運用担当者の個人的な趣味に関連するツイートをリツイートしたり、ユーザーからのメンションに気軽にリプライしたりと、とても柔軟にアカウントを運用していることがわかります。
真面目な情報発信と緩い交流のバランスを取って運用できれば、アカウントのファンが増え、結果的にブランドイメージ向上につなげることができるでしょう。
2.ユーザーへ積極的にリプライする
前述の通り、緩い交流の一環としてユーザーと積極的に会話する企業アカウントも増えています。
象印マホービン株式会社の公式アカウントでは、リプライやリツイートの機能をフル活用して、ユーザーとコミュニケーションを取っています。また、日本ピザハット・コーポレーション株式会社の公式アカウントでは、ほとんどすべてのリプライにこまめに返信しています。絵文字や顔文字を活用していて、こちらも距離の近さを感じさせるコミュニケーションです。
3.他社のX(旧 Twitter)アカウントとも交流する
人気の企業アカウントで特徴的なのが、他社のアカウントとも交流することです。通常あまり目にすることができない他社との交流は、X(旧 Twitter)ならではのカルチャーだといえます。
過去には株式会社ハンズ(ハンズネット)が株式会社キングジムを巻き込む形で、商品開発に至った事例もありました。また、シャープ株式会社では同業他社である株式会社富士通ゼネラルと三菱電機株式会社、パナソニック株式会社のエアコンの情報を発信した例があります。
ユーザーとのコミュニケーションだけでなく、他社の企業アカウントとの交流を自然体で楽しめると、さらにアカウントが盛り上がりそうですね。
X(旧 Twitter)の企業アカウントで発信するときの注意点
さまざまな企業が積極的に運用して、盛り上がりを見せているX(旧 Twitter)アカウントですが、情報発信の際には細心の注意を払う必要があります。一貫性がなく個人的なツイートを数多くしてしまうと、企業アカウントとして思うように運用の効果を得られなかったり、予期せぬトラブルに発展してしまったりすることもあります。以下、具体的にどんなことに気を付けるべきなのか、3つのポイントでご紹介します。
1.トーン&マナーを統一させる
まずは、アカウントの「キャラクター」づくりのために、投稿のトーン&マナーを統一しましょう。
投稿のトーン&マナーは、アカウントの運用目的によって大きく異なります。例えば「広報PR」が目的なら投稿には堅さが必要ですし、「コミュニケーション」が目的なら絵文字や顔文字を使用したほうがよいかもしれません。また、昨日は丁寧なトーンだったのに今日は突然なれなれしくなった、というようなことがあると、アカウントのイメージが崩れてユーザーに戸惑いを与えてしまいます。
堅さと柔らかさのバランスや文体、絵文字、顔文字などの使用方法を統一し、アカウントのキャラクターに一貫性を持たせるようにしましょう。
2.炎上しないよう投稿前にアカウントや文章を確認する
SNSの運用で顕在化しやすいリスクが「炎上」です。X(旧 Twitter)は一度投稿したツイートは編集することができません(※2)。また、ツイートを削除したとしてもスクリーンショットやユーザーのリツイートで一気に拡散されてしまう可能性があります。
情報の正確性に注意を払うのはもちろんですが、ユーザーや社会の多様性に配慮したり、自社の経営理念に準じた内容になっているかチェックしたりしましょう。運用担当者本人だけでなく、上長のダブルチェックを挟むなど、運用体制を構築しておくと安心でしょう。
万が一炎上してしまったときの対処法については、以下の記事を参考にしてみてください。
※2 サブスクリプションサービスの利用者は、元のツイートが送信されてから1時間、一定回数編集を行うことが可能
3.コミュニケーションに偏りが出ないよう運用する
先述の通り、多くの企業アカウントがユーザーとのコミュニケーションによってファンを増やしています。
しかし、特定のユーザーにしかリプライしない、反応スピードや対応内容にムラがあるなどの「コミュニケーションの偏り」があると、アカウントの信頼度が落ちてしまいます。運用担当者による恣意的な運用にならないよう、リプライや情報の取り扱いに関するルールをあらかじめ定めておきましょう。
有名企業アカウントからヒントを学ぼう
しっかりと活用できれば企業の認知やファン獲得に大きな効果を発揮する、X(旧 Twitter)の企業アカウント。X(旧 Twitter)アカウントは基本的には無料で作成することができるため、広報PR活動の一環として自社の公式アカウントを運用するのも一案です。
手軽にアカウントを作成できる一方、効果的にX(旧 Twitter)を活用するには、目的やKPIの設定はもちろん、どのような内容をツイートするのかもしっかり考えなければなりません。また、炎上のリスクなども念頭に置き、慎重な運用が求められます。
X(旧 Twitter)を有効活用している企業アカウントも数多くあるので、ぜひ参考にしてみてください。
<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>
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