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採用人事のための面接TIPS|面接・面接官の役割と準備しておきたい6つのこと

採用人事にとって、面接は必ず行う必要があるといっても過言ではない業務です。日々行う業務として、何げなくこなしている人が多いかもしれませんが、改めて面接時のポイントや面接官としての役割を整理してみるのはいかがでしょうか。

今回の記事では、採用人事として心得ておきたい面接官の役割や、必要となる準備などを詳しくご紹介します。すでに面接に慣れている方も、これから面接にどんどん挑戦していくという方も、質問のポイントなどを再確認し、よりスムーズな面接ができるようにしましょう。

採用人事として心得ておきたい面接の3つの役割

まず紹介するのは、採用人事として心得ておきたい面接の役割です。採用人事は、面接官として候補者に最初に接するという企業が多く、採用人事が担う役割は非常に重要です。そのときの印象が候補者にとっての企業の印象に直結する場合が多く、責任感を持って面接に臨まなければなりません。

では、どのような役割を意識して面接に臨むのがよいでしょうか。今回はポイントを3つご紹介します。

面接イメージ

1.選ぶ場でなく、知る場という認識を持つ

採用人事は候補者をジャッジするという観点ではなく、自社を知ってもらう、候補者について詳しく知るという観点で面接に臨むことが大切です。

双方が選ぶという視点では、双方の良い部分をうまく前に出すことができません。まずはお互いを知ることから始めることで、判断するために必要な情報を引き出すことができます。

また、選ぶという視点ではなく、相手を知りたいと思うことで、緊張せずにコミュニケーションを取ることが可能です。緊張を極力少なくすることで、お互いに知りやすい状態をつくることができます。

ただし「知る」という雰囲気は、候補者側からつくることは難しいといえます。採用人事が「知る」ことに焦点を当てた場づくりを意識して、行うことが大切です。

2.企業の印象を左右するという意識を持つ

候補者はその企業の情報を調べてきてはいるものの、やはり実際に企業内の人と話したときの印象や、話して得た情報が大きく残るものです。そのため、面接時に関わりが多い採用人事の印象は、候補者にとって企業の印象を大きく左右すると言っても過言ではありません。

採用人事として候補者と対峙する場面では、発言する内容はすべて個人に起因するのではなく、企業の内容として受け取られます。したがって、一言ひとことを丁寧にコミュニケーションしていくことが大切です。

何か特別なことを伝えようとするのではなく、基本的な情報を伝える際にも、言い回しのひとつずつに細かな注意を払うようにしましょう。

3.積極的な情報開示を行う

面接の場はジャッジの場ではなく、双方が知ることを目的とした場だとお伝えしました。したがって企業側は、候補者に対して積極的に情報開示を行う必要があります

すでにホームページなどで自社情報を公開している企業も多いですが、オンライン上に記載している情報がすべてという企業は多くありません。したがって、候補者は採用人事から新鮮かつ新たな情報を手に入れたいと思っている場合が多いでしょう。

オンライン上には記載していない事業に関する説明はもちろん、自社内の文化や風土を積極的に伝えることで、候補者は入社後のイメージを持ちやすくなります。候補者の質問を受け、内容に沿った回答を行うことも大切ですが、必要に応じて情報を追加しながら、より具体的な自社イメージを持ってもらうように心掛けることも大切です。

採用面接における面接官の3つの役割

では、採用人事ではなく、面接官は面接時にどのような役割を担う必要があるのでしょうか。

採用人事と面接官は立場が異なるため、担う役割も異なります。言い換えれば異なる役割を担うことで、候補者に対して多くの情報を伝えることはもちろん、候補者の情報も多く引き出すことができるのです。

採用人事の役割と比較しながら、面接官はどのような役割なのかをご紹介します。

1.候補者の強みを最大限に引き出す

面接官のもっとも重要な役割は、候補者の強みを最大限に引き出すことです。もちろん候補者は面接に備えて履歴書や職務経歴書を用意しており、内容は書面に記載してあります。しかし、実際のコミュニケーションを通した印象や、見えてくる強みは書面では伝わらない内容があるかもしれません。

また、候補者の強みを最大限に引き出すということを考えると、書面に書いてある情報がすべてとは限りません。自社の雰囲気と掛け算をすることで、他社では強みになり得なかったことが、自社では強みとして発揮してもらえる可能性もあります。

さまざまな質問はもちろん、質問以外のコミュニケーションを通じて、候補者の強みを最大限に引き出すことを意識しながら面接を行いましょう。

2.互いの理解における相違を最小限にする

面接の場はお互いを知る、そして知った先にお互いが判断するという場ですが、お互いの理解の相違を最小限にする場という意味もあります。双方が書面、もしくはオンライン上の情報を通じてある程度の理解をしていますが、その理解が正しいとは限りません。そのような理解の相違をコミュニケーションを通じて、最小限に抑えることも面接の重要な役割です。

入社後にギャップが生じてしまうと、早期退職などの原因になりかねません。企業や候補者に対するイメージを、イメージから実際の情報に置き換えることで、入社後のギャップを最小限に抑えることにつながります。

お互いの持つ情報に齟齬とまではいかなくても、多少のズレや認識の相違がある場合は、面接の場できちんと訂正することを心掛けるようにしましょう。

3.自社の正確な情報を伝える

面接官は、自社の正確な情報を候補者に伝えるという役割があります。もちろん採用人事も同様の役割を担っていますが、候補者の視点に立つと採用人事は自社を良く見せるために、正しい情報ではなく伝えられてうれしい情報を話しているのではないかと疑う人は少なくありません。そのように考えると、面接官は自社の正確な情報を伝える役割として最適な人物といえます。

質問に対して正しく回答することはもちろん、募集職種に関する業務内容を正しく伝えるなど、正確な情報を伝える意識を常に持ち、面接に臨みましょう。

聞かれたことはもちろん、聞かれていなくても必要な内容は、積極的に発信していくことで、候補者との関係をうまく構築することができます。

採用人事が面接のために準備しておきたい6つのこと

では、採用人事が面接に臨むにあたってどのような準備が必要でしょうか。今回はポイントとなる6つをご紹介します。

面接をうまく進めるためには、常に事前準備を行うことが大切です。今回紹介する6つのポイントは、面接をうまく進めるために必要な最低限の準備といえます。

すでに面接を行っている方は、自社の面接をこの機会に見直してみてはいかがでしょうか。また、今後新たに面接を設計される方は、こちらをぜひ参考にしてください。

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1.求める人物像を整理する

まずは、求める人物像を整理することです。

面接はコミュニケーションの一環なので、人と人との会話という観点で、「この人は話していて心地よい」「この人は会話のテンポがうまく合わないかも」と感じる可能性があります。しかし、それはあくまでも個人のコミュニケーションの好みであって、面接官が候補者を知るための基準としては不十分です。

大切なのは、職種やポジションに応じてどのようなスキルや能力、思考を持つ人が望ましいのかを明確にし、社内で擦り合わせを完了させることです。これにより、面接官がいいと感じる候補者を、具体的な理由をもっていいと判断することが可能になります。

2.評価基準を作成する

求める人物像を決めたら、評価基準を決めていきます。

求める人物像は評価を決める要素だとすると、評価基準は評価に値するラインを具体化していく作業です。

評価基準は、書類選考から面接、最終選考まですべて同じでなくてもかまいません。これまでの面接時の通過率などを考慮し、通過率が比較的低い選考は評価基準をやや甘く設定するなど、選考の全体感をもって適切な評価基準を判断し、決定することが大切です。

的確な判断のためには、評価基準を選考やポジションごとに明確にし、社内でしっかり共有しましょう。

3.評価方法を決める

続いて、評価方法を決定します。

現在多くの企業では、採用管理ツールを用いて選考を管理しています。しかし、近年さまざまなツールが登場していることから、評価についてもさまざまな方法で残すことができるようになりました。したがって、評価を入力する方法は自社にもっとも適した方法を検討することができるようになっています。

S・A・B・Fなどのアルファベットを用いた評価や、1~5の点数評価はもちろん、チャットのような手軽なコメントのみを残すことも可能です。

定性的な形で評価を残すのか、定量的な形で評価を残すのか、自社の採用規模や採用に関わる人数を考慮し、もっともスムーズに情報を残すことができる方法を検討することが必要です。

4.評価基準の擦り合わせを行う

評価方法を決めたら、評価方法に基づいて評価基準の擦り合わせを行います。例えば評価基準に沿った選考を行うために、評価基準のチェックリストなどを作成し、該当する数に応じて適切な評価を決定するなどの方法を取ることができます。

評価はもちろん実践を通じて擦り合わせていくことが大切ですが、できる限り評価基準にブレを生じさせないことが大切です。面接通過率が良くても、最後に内定、さらには内定承諾にたどりつけなければ意味がありません。

面接官ができる限り評価基準を擦り合わせておくことで、面接から内定、内定承諾までの流れをスムーズにしましょう。

5.面接官トレーニングを実施する

評価基準を擦り合わせ、社内での共有が完了したら、面接官トレーニングを実施します。面接官トレーニングとは、実際の面接を想定し、面接官のコミュニケーション力や質問力を鍛えるトレーニングです。

どれだけコミュニケーションが上手い面接官であっても、面接という場においては質問することをためらってしまう人は少なくありません。また、ただの会話に終始し、候補者から情報収集ができていない場合もあります。

面接官トレーニングは実際に候補者役の人が登場したトレーニングになるため、より実践の場を意識した形で面接官の面接力を向上させることが可能です。

6.申し送りのポイントを共有する

面接において、候補者の気持ちを離さないための重要な要素として、面接後の結果報告をなるべく迅速に行うということがあります。そのため面接官が評価ポイントを素早く残しておくことが大切です。

細かな点をすべてポイントとして残さなくても、要点だけ残しておけば結果報告をすることが可能です。必要なコメントだけを残してもらう工夫を事前に擦り合わせておくことで、候補者の気持ちを離さずに選考を進めることができます。

候補者の本音を引き出す面接時の質問例

では、候補者の本音を引き出すためには、具体的にどのような質問を行うのがよいでしょうか。質問のカテゴリーごとに、具体例を挙げながらご紹介します。

FAQ

1.仕事観に関する質問

業務に対する優先度は、候補者それぞれによって異なります。人生の中で、業務をどのように位置付けて進めたいのかを面接時に確認しておくと、入社後が非常にスムーズです。

「プライベートと仕事のバランスはどのように考えていますか?」「業務を進める際には、スピードと質、どちらを重視しますか?」など、仕事を進めていくうえで具体的に把握しておいたほうがよい内容について、質問を通じて確認しておきましょう。

2.モチベーションの源泉を探る質問

業務を進めるうえで、モチベーションの保ち方は人によって異なります。これらは今後、業務を進める際のコミュニケーションとしても非常に重要となるため、事前に確認しておくことが大切です。

「成果を出すことがやる気につながりますか?」「他者に褒められることが、業務を円滑に進めるうえで影響を与えますか?」など、成果が評価されることを大切にするのか、プロセスが評価されることを大切にするのかなど、モチベーションの源泉を確認しておくことが重要です。

3.コミュニケーションスキルを確認する質問

業務を進めるうえで、コミュニケーションスキルは非常に重要です。この質問については、自身の認識はもちろん、前職での他者認識を質問で確認することが有効です。

「周囲にはどのような人だといわれますか?」「どのような強みがあると思われていますか?」「その認識に対して、ご自身の認識はいかがですか?」というように、自身と他者の擦り合わせを行っておくのが安心です。

また、このほかにも「1人で業務を進めるほうが得意ですか?」「チーム内ではどのような立ち位置でコミュニケーションを取ることが多いですか?」など、具体的なコミュニケーションシーンをイメージした質問を心掛けてください。

4.理想の環境を確認する質問

現在、業務を進める方法はひとつに限らなくなりました。そこで、業務を進めるうえでの理想の環境を確認することが大切です。

「リモートと出社であれば、どちらのほうが業務を進めやすいですか?」「業務に対して、どれくらいの関与があると円滑に進めることができますか?」など、具体例を基にした質問を通じて、候補者が仕事を進めやすい環境を確認しておきましょう。

5.カルチャーマッチを確認する質問

自社で活躍してもらうためには、カルチャーにマッチすることが非常に重要です。そこで、「社内イベントは積極的に参加していましたか?」「従業員同士の理想的な距離感はありますか?」など、具体的な内容を交えて質問することが大切です。

カルチャーがマッチしない場合、コミュニケーションロスが生じる可能性があります。また、心地よく働くことが難しいと感じる人もいるでしょう。候補者が入社後に活躍しやすいかどうか、自社のカルチャーを伝えながら確認することが必要となります。

6.キャリアビジョンを確認する質問

転職において、今後のキャリアビジョンを重要視する候補者は少なくありません。今後の希望のキャリアは、転職後の社内キャリア構築に大きく関わるため、面接時にしっかり確認しましょう。

「10年後はどのようなキャリアを望みますか?」といった、長期スパンでのキャリアビジョンはもちろん、「3年後はどのようなキャリアを望みますか?」といった、ややスパンが短いキャリアビジョン確認も重要です。

また、職種だけではなく、ポジションについてもビジョンを持っているかをしっかり確認しておきましょう。管理職候補など、社内でのポジション打ち合わせにおいても有効な情報となるため、事前の確認が大切です。

採用人事として知っておきたい、面接時に聞いてはダメな質問

ここまで、ぜひしたほうがよい質問などを紹介してきましたが、面接時に聞いてはいけない質問もあります。候補者との信頼関係に関わるため、NGな質問をしっかり把握し、人事という役割にふさわしい質問を行うことが大切です。

1.候補者に責任がない内容

まずNGとなる質問は、候補者に責任がない質問です。

本籍に関わる質問や、家族構成や家族の職業に関する質問、住居や周辺環境に関する質問はNGです。

やりがちな例として、候補者との距離を縮めようとして「出身地はどこですか?」「兄弟はいますか?」などの質問をしたくなることがあるかもしれません。しかし、これらは本籍や家族に関わる内容のため、採用人事が聞いてはいけません。

候補者が自ら述べる場合を除き、採用人事側から質問をしないよう、注意が必要です。

2.思想や信条に関わる内容

支持する政党や、宗教に関する質問もNGです。気になる内容ではあるかもしれませんが、業務を進めるうえでは必要ない情報です。採用人事側から質問をしないよう、こちらも注意が必要です。

これらは事前に情報として収集することもNGのため、候補者に直接聞くのではなく、エージェントなどから情報収集を行うこともNGとなります。

面接官としての役割をきちんと認識し、スムーズな面接実施を

面接を円滑に進めるためには、面接に対する準備はもちろん、必要な情報を関係者へしっかり伝達して連携することが大切です。面接は採用人事個人で行うものではなく、会社という大きなチーム単位で行うものだという認識を強く持ち、候補者にとって最善の場となるよう社内での調整を行いましょう。

また、面接を候補者にとって安心できる場としながら、必要情報を収集するためには、日々知識をアップデートすることが大切です。人事としての知見を広げるために、以下の記事もぜひご覧ください。

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この記事のライター

中川真利奈

中川真利奈

現役広報ライター。通信系IT企業にて広報や採用を中心とした人事、総務などを担当。<br> 2019年よりジャンルを問わず執筆する、副業ライターとして活動中。<br> ライティングを通じて新たなジャンルを開拓し、知識を蓄えていくのが好きです。<br> 悩み多きひとり広報時代を救ってもらった記事のような、お役に立てる記事をお届けします。

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