広報PR活動において「メディアリスト」は必要不可欠です。プレスリリースの送付先を精査して情報を届けるという大きな役割を持っていますが、メディアの数が多ければよいというものでもありません。
適切なメディアに適切な情報を提供するためには、自社や競合他社の実績をリサーチしたり、ニュース検索を活用したり、さまざまな観点から戦略を立てることが重要。本記事では、メディアリスト用に企業や記者を選定する方法・観点と、押さえておきたいポイントを解説します。
メディアリスト用に媒体を選定・ピックアップする流れ
メディアリスト用のメディアを選定・ピックアップする際の流れは、大きく分けて以下の2つです。
1. 自社・競合に関する情報をピックアップする
2. 自社の強みや特徴を言語化し、整理する
まずは自社を取り巻く環境や、類似サービスを展開する競合の情報をピックアップします。これらを踏まえたうえで、自社が強みとする分野・技術や、自社ならではの特徴を整理していきましょう。
自社情報は、多ければ多いほどメディア選定に役立ちます。自社の実績や環境などについて気付くきっかけにもなるため、言語化して整理する作業はしっかりと時間をかけることが大切です。
メディアリスト用に媒体を選定・ピックアップする7つの方法・観点
メディアリスト用に選定・ピックアップする際の方法と観点を、7つの項目に分けて解説します。実績や環境調査のほか、ニュース検索やインタビューも積極的に活用しましょう。
1.自社が取り上げられた実績からチェック
まずはじめに、自社が取り上げられたことがあるメディアをリストアップします。新聞や雑誌といった紙媒体はもちろん、テレビ番組の制作会社なども漏れなく記録しましょう。
このとき、なぜそのメディアに取り上げられたのか、実績となった要因も含めて記載しておくのがおすすめです。自社の価値を具体化するためにも役立ちます。
2.競合が取り上げられた実績から選定・ピックアップ
自社の掲載実績と併せて、競合他社が取り上げられたメディアもチェックしましょう。ペルソナが類似していたり、サービスカテゴリが同じだったりする競合であれば、自社も取り上げてもらえるかもしれません。
自社の場合と同じくメディアの種類は限定せず、雑誌やテレビ番組などからピックアップし、リスト化していきましょう。
3.自社が置かれている環境から選定・ピックアップ
自社が置かれている環境を把握し、適切なメディアを選定することも大切です。自社を取り巻く社会情勢に目を向け、メディア側が取り上げたい内容と合致させましょう。
例えば新規サービスを展開する場合、「サービスを利用することで誰にどんなメリットを与えられるのか」が注目されます。サービスの特徴・魅力やペルソナが言語化できれば、その内容に合ったメディアをピックアップしやすくなるでしょう。
(例)
- DXのサービスを提供している場合:「人手不足」「少子高齢化」など解消する課題のキーワードで検索する
- 代行サービスを提供している場合:「カスタマーハラスメント」「エンゲージメント」「ホワイト企業」など社会性の高いキーワードで検索する
- 年齢層が高い商材の場合:「若年層」「Z世代」など意外性、切り口は若年層離れの中~、Z世代に人気の~など逆説/対立となるキーワードで検索する
4.関連する企業が取り上げられた実績から選定・ピックアップ
自社サービスを起点にするのではなく、協力会社など関連企業の実績から選定するのもひとつの方法です。協力会社そのものが取り上げられたメディアや、協力会社が導入事例として掲載されたメディアをリサーチし、リスト用にピックアップしましょう。
例えば株式会社ラフールのプレスリリースでは、日本プラスト株式会社でのツール導入に訴求しています。この場合、日本プラストの掲載実績があるメディアのほか、「従業員の働きがい」「人的資本経営」といったテーマに強いメディアも選定の対象です。
アプローチ方法として、株式会社ラフールの企画も参考にしてみてください。
5.ニュース検索から選定・ピックアップ
「Googleニュース」や「Yahoo!ニュース」などの検索サービスは、メディアリストの選定に活用できます。自社の企業名や商品・サービス名など強みとなるキーワードを検索し、適切なメディアを選定していきましょう。
例えば、PR TIMESが提供するサービス「Tayori」をキーワードにGoogleニュースで検索すると、企業への導入事例や新プランの提供情報などがヒットします。過去の掲載メディアの参考にしたり、「カスタマーサポート」「AIチャットボット」など関連キーワードに関心がありそうなメディアをピックアップしたりするとよいでしょう。
自社に関するキーワードはもちろん、競合他社の名称で検索するのも有効です。多数の記事からメディアをピックアップしリスト化します。
6.自社調査データに関連するメディアを観点にピックアップ
自社でデータ分析、アンケート調査などを行っている場合は、そのテーマや結果に関連するメディアにも注目してみてください。
例えば、生成AI機能を実装したツールの効果測定やアンケート調査であれば、生成AIに興味がある人だけでなく「生成AIによる課題解決」「生成AI機能の導入」といった目的も提案できます。季節ごとのニーズや関連キーワードなども考慮しながら、適切なメディアを選定していきましょう。
7.ヒアリング・インタビューでメディアリストの精度を上げる
見込み顧客やエキスパートを対象とした調査は、選定したメディアの精度を上げるために役立ちます。必要であれば調査サービスなどを活用しながら、閲覧頻度の高いメディアをヒアリングしたり、自社とメディアの関連性についてインタビューしたりしてみましょう。
メディアを選定・ピックアップするとき6つのポイント
メディアを選定・ピックアップする際に重視したいポイントをご紹介します。特定のシーズンや時流などにも注目しながら、長期的な運用につなげていきましょう。
ポイント1.記者・メディア担当者で探す
雑誌を刊行する企業や新聞社といった企業単位ではなく、記者・メディア担当者個人に絞って選定することも大切です。新聞やWeb記事から担当者をリサーチしたり、テレビ番組のエンドロールをチェックしたりして、自社のニュースに興味・関心がありそうな関係者を探してみましょう。
担当部署や担当者名などが明らかになったら、企業名と併せてメディアリストに記入します。不足情報がある場合は、企業データを掲載した『マスコミ電話帳』『広報・マスコミハンドブック(PR手帳)』などを活用してもよいでしょう。
ポイント2.季節・時期のニーズを捉える
特定の季節・時期によって、メディアが取り上げるニュースは異なります。例えば「ハロウィン限定の商品を販売する」という場合は、前年度の同時期のニュースを検索し、ハロウィンならではのニーズを捉えることが重要です。
また10月以降は、クリスマスや年末年始のシーズンイベントも多く見られます。抜け漏れを防ぐためにも、シーズン前後や類似のイベントについても検索できると安心です。
季節に左右されやすい商材を扱う企業であれば、シーズンに応じてメディアを分類し、リスト化していくと整理しやすくなるでしょう。
ポイント3.近しいが新しい提案をする
関連性のないメディアをピックアップする場合は、新しいニュースの観点を見つけて提案する方法が有用です。一見無関係に思えるメディアでも、新規性のあるテーマや関連付けられるキーワードがあれば、相手にとって魅力的な情報となります。
例えば人材育成サービスを手掛けるHR企業の場合、「飲食業界の人材育成」「福祉・医療施設のマネジメント」といったテーマを掲げるのも一案です。類似の掲載実績がない場合でも、キーワードやテーマから切り口を見つけていきましょう。
ポイント4.Googleトレンドなどで時流を捉える
「Googleトレンド」などを活用し、どのような話題が注目を集めているのか、どのようなキーワードがトレンドになっているのかをリサーチしましょう。自社に関連するキーワードと、それを取り上げている記事が明らかになれば、メディアリスト用の選定につなげられます。
季節やイベントに特化したテーマの場合は、ポイント2と掛け合わせて「ハロウィン」で検索したり、ハロウィンシーズンの話題に関連付けられそうなメディアをピックアップしたりしていくとよいでしょう。
Googleトレンドについては、こちらの記事をご参照ください。
ポイント5.インタビュイーを設定する
メディアリストに適した企業や関係者を探すだけでなく、自社でインタビュイーを設定しておくことも重要です。広報PR担当者以外が対応するケースもありますが、インタビュイーによって情報に齟齬が生じないよう注意しましょう。
取材可能な担当者をあらかじめ決めておくことで、取材依頼からの流れがスムーズになります。メディア側に露出イメージを持ってもらう効果も期待できるため、メディアリストの選定・ピックアップとセットで考えておきましょう。
ポイント6.PR TIMESのメディア選定から抜け漏れを確認する
メディアリストの抜け漏れを防ぐためには、PR TIMESの「メディアリスト機能」がおすすめです。10,600件以上(2024年2月末時点)の配信先から、リスト化したいメディアを選んでメディアリストを作成することができます。
自社・競合の実績チェックやWeb検索の段階で漏れてしまったメディアも、メディアリスト機能を活用することで再選定・ブラッシュアップが可能です。最大300件まで選択できるため、ぜひメディアのピックアップに役立ててください。
メディアリスト用に媒体を選定・ピックアップするときのよくある質問
この項目では、メディアリスト用に媒体をピックアップする際に、よくある質問をまとめています。
Q1.媒体数は何メディア程度ピックアップするべきですか?
メディアリストの数は、150~200件が目安です。ピックアップする段階ではあまり数は気にせず、適切なメディアをリスト化していきましょう。ブラッシュアップしていく際にしっかりと精査し、最終的に150~200件程度となるケースが多く見られます。なお、PR TIMESのメディアリスト機能では最大300件の選択が可能です。
Q2.「メディア」とはどのような種類がありますか?
メディアには、「マスメディア」に含まれる新聞・雑誌・テレビ・ラジオのほか、X(旧Twitter)をはじめとするソーシャルメディア、ニュースサイトをはじめとするWebメディアがあります。メディアリスト用の選定ではメディアの種類にとらわれず検討することが大切ですが、プレスリリースの適切な配信のタイミングが異なる点も理解しておきましょう。雑誌は約2ヵ月前、Webは最短で当日など、メディアの種類によって大きく変わります。
Q3.メディアリストとして、フリーの記者リストも作成するべきですか?
フリーの記者リストを作成するのも有用ですが、煩雑化する場合はメディアリストと結合したほうが運用しやすくなります。メディアリストにフリー記者がいる場合は①フリーだとわかるよう明記すること、②複数のメディアで同じ人に送らないよう注意すること、③メディアが被らないよう注意することをふまえ、慎重に運用しましょう。
Q4.メディアリストにする際にはどのような情報をリスト化していくといいですか?
メディアリストにする際は、①メディアの種類・ジャンル、②メディア名またはURL、③企業名、④部署名、⑤担当者名、⑥担当者の経歴、⑦連絡先(住所や電話番号、メールアドレスなど)、⑧SNSアカウント、⑨コンタクト履歴、⑩掲載履歴をリスト化していきます。申し送り事項がある場合は「その他備考」などの項目を設け、詳細に記入しましょう。
複数の観点からメディアリスト用の企業・記者をピックアップしよう
メディアリスト用に企業やメディア担当者を選定をする際には、自社・競合の実績を調べたり、Googleニュースのような検索サイトを活用したりといった作業が重要になります。新聞・雑誌・テレビ・SNSなど多様なメディアに目を向け、自社情報に興味関心がありそうな配信先をピックアップしていきましょう。
特定の季節ならではのニーズを捉えることや、インタビュイーを設定しておくことも大切なポイントです。PR TIMESの「メディアリスト機能」も有効活用しながら、多くのメディアに自社情報を提供してください。
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