企業において、役員や幹部の人事異動や組織変更を実施する場合、メディア関係者やステークホルダーに向けてプレスリリースを配信しますが、どんな要素を、どのように記載すればよいか、悩む方も多いのではないでしょうか。
本記事では、役員人事・人事異動・組織変更に関するプレスリリースを配信するメリットや記載項目などを解説。実際の配信事例も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
役員人事・人事異動・組織変更時にプレスリリースを配信するメリット
役員人事や人事異動、組織変更に関するプレスリリースを配信するメリットは、メディア関係者をはじめ、顧客や株主、求職者などのステークホルダーに、自社の経営方針や戦略を伝えられるという点にあります。プレスリリースでは役員として選任した理由や、新任者のコメントとともに、強化する事業についても詳しく記載できるため、将来性に期待感を抱かせることもできるでしょう。
また、自社のことを知らない方々にも、プレスリリースを通して商品やサービスに興味を持ってもらえるかもしれません。そのためには、ただ変更点を羅列するのではなく、新任者の写真や組織図などの素材を用意したり、背景や目的がわかりやすい構成になるよう工夫したりすることが大切になります。
役員人事・人事異動・組織変更に関するプレスリリースに盛り込みたい5つの項目
役員の交代や経営幹部の人事異動、組織の変更などがあった場合、プレスリリースを配信することで認知拡大を図ることができます。ただ、変更点を羅列するだけでは十分に効果を発揮できません。そのため、プレスリリースに盛り込むべき内容を押さえておくことが重要です。ここでは、役員人事・人事異動・組織変更に関するプレスリリースに必ず入れたい5つの項目を解説します。
項目1.背景や目的
人事異動や組織変更を実施するときには、必ず明確な目的があります。そのため、なぜその決定に至ったのか、背景を明確にすることが求められます。また役員や幹部が変わるときには、新任者の選任理由もしっかり記載しましょう。例えば現状の課題に触れ、その解決につながる力を持つ人物を役員に選んだと記せば、説得力が高まります。これにより、経営方針や事業戦略への共感を得られるはずです。
プレスリリースの内容によって入社を検討したり、株主になることを検討したりする人が現れるかもしれないため、背景や目的の説明は丁寧に記載することが重要です。
項目2.新任者のプロフィール
役員や幹部の人事異動のプレスリリースを配信する際のポイントは、新たに就任する人物のパーソナリティが伝わるように紹介することです。まず、過去の経歴は必須ですが、履歴書のように職歴を箇条書きにするだけでなく、どんな面で活躍したのかがわかるようにするとよいでしょう。その際、新任者自身のコメントも載せることで、ハード面だけでなく、その人物の人柄や企業との親和性も伝わりやすくなります。
なお、顔写真については、複数人での集合写真のみ掲載されているケースも多く見られますが、メディア側の使いやすさを考慮するのであれば、個人の写真も用意することをおすすめします。
項目3.代表や第三者からの紹介コメント
新任者のプロフィールとともに、第三者からの紹介コメントがあると、より説得力が高まります。もっとも多いのは企業の代表からのコメントで、役員に選任した理由やその人物に期待することなどが記載されるのが一般的です。専門性の高い役割として就任した場合は、そのジャンルに詳しい上役などのコメントを載せるとよいでしょう。第三者からの紹介コメントは複数あると、その人物のパーソナリティが多角的に見えてきます。
また、組織変更の際は、変更したことによって実現したい姿や経営方針を代表自身の言葉で語ったコメントを掲載すると読み手の信頼感を得られやすくなります。
項目4.組織図や表
組織変更に関するプレスリリースには、組織図の画像を掲載するのがおすすめです。その際、変更前後の組織図を両方掲載したり、変更点に色付けしたりといった工夫をするとよいでしょう。
新しい組織図だけを掲載してどこが変更されたのかがわからないことがないように、注意が必要です。組織図が多くスペースを取ってしまう場合は、PDFでダウンロードできるようにしている企業もあります。また、異動者が複数名いる場合は、表の機能を活用して見やすく整理しましょう。現職と前職がひと目でわかるようにすることが重要です。
項目5.自社の事業紹介
プレスリリースはあくまで事実を伝えるものなので、基本的には人事や組織に関する情報を過不足なく記載することが求められます。加えて、配信したプレスリリースをきっかけに自社のことを知る方もいることを踏まえ、自社の歴史や商品・サービスなどの基本情報を載せることも大切です。
特に変更のあった人事や組織に関する事業内容の掲載は、つながりが明らかで違和感なく読むことができます。また、新任者が関わる部署の求人情報や新任者が登壇するイベントなどを紹介し、採用サイトに誘導するケースもあります。ただし、あくまでメインは人事・組織の情報なので、宣伝色が強くなりすぎないよう注意しましょう。
役員人事・人事異動・組織変更に関するプレスリリースを作成する3つのポイント
役員や幹部の人事異動や組織変更が決定した場合、メディア関係者を含むステークホルダーへ迅速かつ正確に情報を届ける必要があります。毎日多くのプレスリリースが配信されるなかで、自社のプレスリリースに目を留めてもらうためには、ひと目でわかるタイトル付けや整理された読みやすい構成にするようにしましょう。ここでは役員人事・人事異動・組織変更のプレスリリースで特に重視したいポイントを3つピックアップし、解説します。
ポイント1.ひと目でポイントがわかるタイトル付け
プレスリリース全般にいえることですが、毎日大量に届くプレスリリースのなかでメディア関係者の目に留まるためには、タイトルだけで内容がわかることと、メディアフックとなる要素を入れることが重要です。人事や組織に関するプレスリリースの場合は、まず社名と「役員人事」などの内容を入れることが最低限必要な要素ですが、さらにその目的なども加えると印象に残りやすいでしょう。また、新任者の特徴を表すフレーズを入れることでフックとするケースもあります。
なお、「社名+役員人事のお知らせ」といったタイトル付けをすると、同様のケースで配信する際に見分けがつかなくなってしまいます。そのため、タイトルに「年月日」を入れる、人事に関わる人や組織の特徴的なトピックを入れるなど、区別できる工夫をするとよいでしょう。
ポイント2.情報を整理して正確に記載する
人事や組織に関するプレスリリースでよくあるのが、事実をひたすら羅列するというケースです。しかし、このような種類のプレスリリースは情報量が多く、人名や部署名なども複数掲載することが多いため、文章だけだと非常に読みにくくなってしまいます。
そのため、変更点を表で記載したり、組織を図解にしたりするなど、整理してわかりやすく見せることがとても重要になります。また、人事異動と組織変更はセットで伝えることが多いため、内容ごとに見出しを設け、ブロックごとにそれぞれ説明するだけでも読みやすくなります。
ポイント3.取材や問い合わせ先の情報を明記する
新たな役員が就任したり、大きな組織変更があったりすると、メディアから取材の申し込みが来る場合もありますので、取材に関する連絡先や担当者などの情報は必ず記載しておきましょう。新任者や代表を指名して取材したいという依頼もあるかもしれないため、インタビューの可否や記者会見の有無などについても、あらかじめ記載しておくと親切です。
また、記者がすぐに使えるプレスキットを提供しておくと掲載確率が上がる可能性があります。プレスキットには、新任者の個人写真やプロフィール、組織図、企業ロゴ、掲載に関するガイドラインなどを入れておくとよいでしょう。
プレスキットについては、以下の記事もご覧ください。
役員人事・人事異動・組織変更に関するプレスリリース事例10選
役員人事・人事異動・組織変更に関するプレスリリースにおいては、紹介したように必ず記載すべき項目がいくつかあります。しかし、実際に作成するとなると、どんな構成で、どんな素材を用意すればよいか迷う方も多いでしょう。そこで、ここからは実際に配信された役員人事・人事異動・組織変更をテーマにしたプレスリリースをご紹介。特徴やポイントを解説するので、参考にしてみてください。
事例1.talentbook株式会社:役員人事
- 新任者が加わった集合写真をトップに掲載し、団結感を印象付けている
- 経営体制の役職一覧を表にまとめ、見やすくしている
- 新任者のプロフィールから、さらに詳しいストーリーが読める記事へと誘導している
参考:talentbook、新たに2名の執行役員が就任して経営体制強化
事例2.株式会社ROXX:役員人事
- スタイリッシュな写真で刷新感を演出している
- 役員人事と成長戦略との関連を明記している
- 自社サービスの説明を厚くし認知拡大につなげている
事例3.株式会社メタリアル:役員人事
- タイトルに「辞めGoogle」という印象的なフレーズを入れて注目を集めている
- 新任者が会社ロゴを持った写真を掲載している
- 代表だけでなくCTOのコメントも掲載し情報に厚みを持たせている
参考:メタリアル・グループ “辞めGoogle”三好 真が執行役員・最高戦略責任者に就任
事例4.ソウルドアウト株式会社:役員人事
- 執行役員就任を紹介する流れから役職についての解説を入れ、採用広報につなげている
- 女性の役員の発表を軸に、自社の女性活躍の取り組みを紹介している
- 関連コンテンツとして女性の座談会の記事へと誘導している
参考:ソウルドアウト、マーケティングカンパニー執行役員に穴吹美緒が就任。
事例5.株式会社Hajimari:役員人事
- タイトルにどんな人物が役員になったのかがわかるフレーズを入れている
- トップにアイキャッチを入れ、目に留まる工夫をしている
- 代表からのコメントを掲載している
参考:HajimariがHRのプロフェッショナル・有賀 誠を執行役員 人事統括(HRC)として迎え、組織体制を強化
事例6.NOT A HOTEL株式会社:役員人事
- 役員選任の背景をきちんと説明している
- 新任者の写真、経歴、コメントを掲載している
- 新任者が登壇するオンライン会社説明会の申し込みへと誘導し、採用広報につなげている
事例7.株式会社スマートラウンド:組織変更
- 創業期から現在に至るまでの組織の変遷を図示し、成長を印象付けている
- 新組織についての説明を丁寧に記載している
- 代表から背景説明を行っており信頼感がある
事例8.株式会社Nint:組織変更
- 組織変更の概要図でひと目で変更点がわかる
- 背景説明がしっかりされている
- 代表だけでなく複数の役員のコメントも掲載している
参考:株式会社Nint、組織再編および経営体制変更のお知らせ(2024年10月1日付)
事例9.株式会社保険見直し本舗グループ:組織変更と人事異動
- 変更点が4つに分けて整理されている
- 組織図の変更点で色を変え、どこが変わったのかわかりやすい
- 異動日がわかりやすく明記されている
事例10.株式会社PR TIMES:組織変更・役員人事
- タイトルに「新卒7年目の20代社員が就任」という意外性のあるフレーズを入れている
- 集合写真だけでなく新任者一人ひとりの写真も掲載している
- 人事や組織変更の理由がしっかり記載してあり説得力がある
参考:PR TIMES執行役員に新卒7年目の20代社員が就任。営業本部を3機能に分割 (組織変更・人事異動)
役員人事・人事異動・組織変更の実施時に広報が行いたい3つの広報施策
役員や幹部の人事異動や組織変更が決定したときは、広報PR担当者として行うことはたくさんあります。プレスリリースはそのひとつですが、記者会見を開いたり、従業員向けの周知活動などを行ったりと、同時に進行するケースも多くあります。ここからは、役員人事・人事異動・組織変更時に実施したい3つの広報PR施策を紹介します。
1.記者会見や取材対応
大きな組織変更や注目の役員人事がある場合、取材の申し込みがあることも。個別の取材対応が難しいケースもあるため、あらかじめ記者会見を開くかどうかを検討しておくことが重要です。準備は大変ですが、記者会見を開くことで多くのメディア関係者に情報を届けられるため、プレスリリースだけでは届かなかった方面からも認知を得られるかもしれません。
なお、記者会見や取材対応には、広報PR担当者だけではなく代表や新任者の同席が求められます。そのため事前に質問内容を想定し、回答例を作成しておくなどの準備も必要です。プレスリリースの配信とのスケジュール調整にも留意しましょう。
取材対応に関しては、以下の記事もご覧ください。
2.自社メディアでの情報発信
役員人事や組織変更がある場合は、自社のホームページへの掲載はもちろん、オウンドメディアやSNSでも発信しましょう。多くの場合はプレスリリースと同様の内容を掲載することになります。またSNSで展開できる情報量は限られるため、詳細はプレスリリースへ遷移してもらうのも有効です。
さらに、プレスリリースには載せられなかった詳しい情報やインタビュー記事などを掲載する企業もあります。代表と新任者の対談記事などを掲載するのもよいでしょう。テキストだけでなく動画を活用するケースもあるため、代表や新任者からのメッセージがダイレクトに伝わる動画を取り入れてみるのも一案です。
3.社内広報
役員や幹部が新しく就任することは、従業員へも影響があります。そのため、新任者の紹介を社内報などで発信する社内広報も大切です。また、ランチミーティングや懇親会といった対面での交流の場を設けるのも効果的でしょう。社のロイヤリティやモチベーションの向上につながるだけでなく、新任者にとっても現場の声を聞ける貴重な機会となります。インナーブランディングの一環として、役員人事や組織変更を活用するとよいでしょう。
社内広報については、以下の記事も参照ください。
まとめ:的確に役員人事・人事異動・組織変更の情報を発信し認知拡大につなげよう
役員や幹部の人事異動や組織変更を実施する際には、新任者の情報はもちろん、代表のコメントや企業情報などもプレスリリースに掲載することで、自社のことを広く知ってもらうきっかけになります。いくつか必ず記載すべき項目があるため、正確に配信することを心がけ、効果的な広報PRにつなげましょう。
また、記者会見を開いたり、情報公開後の取材に備えたりといった業務も重要な広報PR施策です。プレスリリース配信後には取材依頼を受けるケースも多いため、ここで紹介したポイントや事例を参考にしながら実践してみてください。
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