プレスリリースは、新商品・新サービスの発表、イベント・キャンペーンの開催、業務提携など、企業・団体の情報を多くの人に伝えることができます。プレスリリース配信の準備をしっかり行い、メディアへの露出や生活者に対する効果的な訴求につなげましょう。
本記事では、プレスリリースの作成から配信までのやり方を10つのステップに分け、解説していきます。
プレスリリースのやり方・始め方を10ステップで紹介
広報PR活動ではできるだけ迅速に準備を整え、鮮度が高い状態で情報を発信したいものです。プレスリリースを使って自社の情報を発信する場合、やり方・始め方の手順を知っておくことで、スムーズに配信まで進めることが可能です。
プレスリリースのやり方・始め方は、大きく10つのステップに分けられます。一つひとつのステップを理解し、効率的かつ効果的な広報PR活動を実施しましょう。
STEP1.定期的な情報発信に備えて常に情報を収集する
新商品や新サービスの発表に限らず、イベント・キャンペーンやセミナーの開催、リニューアル、業務提携など広報PR担当者として自社の情報を発信する機会はたくさんあります。定期的にプレスリリースを配信することで、自社の活動の周知やブランディングにもつなげることができます。情報発信の機会が多い活動的な企業・団体としてステークホルダーにも認知され、信頼性の向上も期待できます。
コンスタントに自社の情報を発信するためには、日常的な情報収集が欠かせません。現在どのようなことが社会的な注目を集めているのか、社内にはどのようなニュースがあるのかなど、さまざまな角度から情報を集めることが大切です。メディアでトレンドをつかんだり、競合他社のプレスリリースやホームページなどをチェックしたり、常にアンテナを張っておきましょう。自社の情報を集める場合は、他部署の会議に出席してもよいかもしれません。
また、日頃からメディア研究を行っておくこともおすすめします。メディアの特徴を把握しておくと、効率的にプレスリリースの送付先を選定することができます。情報収集やメディア研究は習慣にし、新しい情報へアップデートすることを心がけましょう。
STEP2.プレスリリースを配信する目的を明確にする
STEP1で集めた情報の中から、発信したい情報を選定しましょう。多くのネタが集まった場合、それらすべてを発信したくなるかもしれません。しかし、あまりにもいろいろな情報をひとつのプレスリリースに記載してしまうと、誰に何を伝えたいのかがわかりにくくなり、読み手からは有益な情報として捉えてもらうことはできないでしょう。
伝える情報はひとつのプレスリリースにつきひとつに絞り、「何のために」「どのような情報を伝え」「どのようなメリットを届けたいのか」といった目的を明確にしましょう。
また、「誰に情報を届けるのか」といった訴求対象を見極めることも大切です。アプローチしたい層を明らかにすることで、どのようなメディアを選ぶのが適しているかが見えてきます。
なお、プレスリリースを配信するにあたり、担当部署との連携は必須です。場合によっては協業先や提携先などの外部企業・団体とも連携する必要があります。プレスリリースを配信する目的を共有し、お互いが協力し合えるような体制を整え、伝えたい情報や想いをしっかりヒアリングするように努めましょう。
STEP3.送付するメディアを選定しリストを作る
誰にどのような情報を伝えるかが明確になったら、プレスリリースを送付するメディアを選定します。このとき、送付先として検討するメディアの中から、発表する内容と親和性があるかどうかという視点で、実際に送付するメディアを絞り込んでいきます。
送付先候補に挙げられているメディアが取り上げるジャンルや読者層といった大枠に加え、コーナーや特集、傾向、メディアの規模なども検討材料にするとよりマッチ度の高いメディアを選定できるでしょう。
選定の際は、「どのような情報なら取り上げたくなるだろうか」とメディア関係者側の視点に立つことも大切です。メディアが扱っている情報の傾向を読み解き研究することで、STEP4のプレスリリースの作成に役立てることができます。
プレスリリースの送付先メディアを管理するために、メディアの連絡先などを記載したメディアリストも作成しておきましょう。今回配信するプレスリリースをどのメディアのどの部署に送るのかなどをピックアップし、送り先担当者名や電話番号、メールアドレス、SNSのアカウント、FAX番号、住所などを一覧にしておきます。
メディアリストはそのとき1回限りで使用するものではなく、今後の広報PR活動にも役立てられるものだということを意識して作成することが大切です。また連絡履歴や配慮すべき点などを記載する欄を設けておけば、別の広報PR担当者も活用しやすくなります。メディアリストは使用するごとに送付先の情報に変更がないかなどを確認するようにしましょう。メディアリストの作り方はこちらの記事で説明しています。
STEP4.プレスリリースを作成する
プレスリリースは企業・団体からメディア関係者に宛てた「公式な文書」です。内容には、社会やメディアへ情報を公開することの必然性、明確さが求められます。一般的には、「生活者にはストーリー性も伝えると共感を得られ、より効果的な広報PRになる」といわれています。それらを意識するとともに、どこにニュースバリューがあるかがわかるようなプレスリリースを作成しましょう。
メディア関係者は取り上げるだけの価値がある情報かどうかを確認しています。「競合他社との大きな違い」「社会的意義」など、メディア関係者が記事として取り上げやすい・報道しやすい内容が盛り込まれていることが大切です。
また、読み手が情報の内容を具体的にイメージできるようなプレスリリースにすることが重要です。曖昧な表現や冗長な言い回しばかり使われた文章は、情報が適切に伝わりません。STEP2で説明した「何のために」「どのような情報を伝え」「どのようなメリットを届けたいのか」といったプレスリリースを配信する目的を念頭に置き、わかりやすく、かつ心に響くような内容にすることがベストです。プレスリリースの書き方については、【現役広報が教える】プレスリリースの書き方10のコツ・基本の5構成で詳しく解説しています。
STEP5.わかりやすい画像を用意する
注目されるプレスリリースの多くは、「視覚的なわかりやすさ」が盛り込まれています。日々膨大な情報の中から、メディア関係者に自社のプレスリリースをピックアップしてもらうためには、ひと目で情報を得られる画像を使用します。興味を持たせることができれば、プレスリリース本文にまで目を通してもらえるでしょう。
画像はメディア掲載に活用しやすいかどうかを考えながら用意することが肝心です。プレスリリースの趣旨やストーリーが伝わるか、公序良俗に反していないか、ステークホルダーの理解を得られるかなどを押さえた画像であることに加え、コンテンツとして編集しやすいサイズ・解像度となっているかといった点も重要です。
また、画像は1枚だけでなく、プレスリリースの趣旨をさまざまな角度から捉えた複数パターンを用意するとより内容を理解しやすくなるほか、自由に画像を選べるという利点もメディア側に提供できます。
プレスリリースに使用する画像の作成方法は【プレスリリース用の画像編集】メディア掲載にも対応できる画像を作る4つのテクニックで紹介しています。また、広報PR担当者自身が画像を用意するケースもあるでしょう。企業・団体の情報として発信する以上、質を考慮した画像を準備しましょう。カメラマン直伝!広報担当者が知っておきたいカメラ・写真撮影の基礎知識もぜひ参考にしてみてください。
STEP6.問い合わせに備える
早ければプレスリリースを配信して数分後に問い合わせ、当日に取材依頼が来ることがあります。その際、プレスリリースに記載していない詳細情報などに関する質問を受けることも。その場で的確な回答を提供できない場合、再度連絡をもらえるかどうかわかりません。また、プレスリリースや企業・団体そのものの信頼が損なわれる可能性もあります。メディアで取り上げてもらえるチャンスを無駄にすることがないよう、問い合わせ・取材を受けた際、スムーズに回答を提供できるよう資料や対応マニュアルなどを準備しておくとよいでしょう。
なお、問い合わせ先は、商品・サービスのカスタマー窓口とは別に、メディア関係者用に広報PR部門直通の連絡先を記載するようにしましょう。スムーズに担当者につながるよう体制を整えておくことも重要です。プレスリリース内における問い合わせ先の記載例は【PR TIMESノウハウ】機会損失かも!リリース配信時には問い合わせ先を明記しようでも紹介しています。
STEP7.最終チェックを行う
プレスリリースの作成・送付先の決定が終わった段階で、配信する前の最終チェックを実施しましょう。プレスリリースの内容は、報道・拡散されてしまうと自社で修正などの操作ができません。企業・団体としての公式文書であることを意識し、間違いがないように細かく最終チェックを行うことが大切です。
- 誤字脱字はないか
- 構成に違和感はないか
- 伝えるべき情報が盛り込まれているか
- 本文内に問い合わせ先が記載されているか
- 送付先に間違いはないか など
広報PR担当者による最終確認が終わったら、社内(場合によっては社外)確認を進め、上司によるチェックや、関連部署に必要箇所のファクトチェックを依頼します。最終チェックでは、メディアリストが最新の情報に更新されているかもしっかり確認しましょう。
抜け漏れなくプレスリリースを配信するために実施したい最終チェック項目は、【PR TIMESノウハウ】プレスリリースを配信する前に最終チェックしたい10の項目で解説しています。
STEP8.プレスリリースを配信する
プレスリリースの内容を確認したら、いよいよプレスリリースを配信します。
自社サイトへの掲載や、メディア関係者に直接送付するだけではなく、プレスリリース配信サービスにも掲載することで、より多くの人に届けることができます。
プレスリリース配信サービスについての詳細は、以下の記事からご確認ください。
STEP9.プレスリリースを送付する
プレスリリースの送付方法は、メールをはじめFAX・郵送・電話などがあります。数あるプレスリリース中から自社の情報を取り上げてもらうためには、各メディアが求める送付方法に従うことはもちろん、どのような情報なのかがわかるように説明を添えることも大切です。
例えば、メールでプレスリリースを送る場合、本文と同じくらい件名も重要です。件名を見ただけでプレスリリースの概要がわかるようにすることがポイントです。
また、一方的な情報発信にならないようプレスリリースの内容がどんな読み手にどのようなメリットを提供できるかをわかりやすく、具体的に説明しましょう。プレスリリースの内容が社会的な関心事と紐づいていることを証明するために、他社の関連ニュースも紹介すると話題性を高めることができます。
STEP10.さまざまな指標を用いながら効果測定を行う
プレスリリースの配信後は、結果を分析・評価して振り返りを実施しましょう。広報PR施策の効果測定は難しいといわれています。そのため、さまざまな指標を用いて多角的に実施することが一般的です。
広報PR施策の効果測定を行う指標・方法としてよく利用されるもののひとつに、新聞や雑誌の記事を切り抜いたり、あらゆるメディアでの露出情報を記録・保管したりする「クリッピング」数の計測があります。クリッピングは、媒体名・文字数・掲載内容の概要・自社単独記事か否かなど、項目を決めて情報を集めます。クリッピングを行うことで記事掲載数や掲載記事の論調などを通じてステークホルダーに対する影響度を比較検証しやすくなるだけでなく、広報PR戦略のヒントを得たり、自社の広報PR活動のナレッジを蓄積したりするのにも役立ちます。
また、メディアで紹介されたことによる自社サイトへの指名検索数、アクセス数増加の変化やSNSの反響数なども効果測定の指標になります。
効果測定は、広報PR施策の効果を定量的に評価して、施策の方向性の確認や、施策の改善に役立てることができます。さらに配信したプレスリリースが自社にどのような影響をもたらしているのか、ステークホルダーがどのようなことに関心を持っているのか、どのような課題を解決したいと思っているのかなども見えてきます。複数の指標を用いて効果測定を実施し、それらのデータを活かしながらよりよい広報PR戦略につなげましょう。
やり方を理解し手順に沿ってプレスリリースを配信しましょう
プレスリリースを配信することは、自社に関するさまざまな情報を多くの人に届けることができるため、広報PR活動における大切な手段のひとつです。プレスリリースのやり方を理解せず配信してしまうと、広報PR効果は低いものとなってしまいます。適切なメディア掲載、価値のある情報発信と情報の鮮度を担保するためにも、やり方や手順を把握しスムーズなプレスリリース配信を実行することが大切です。
プレスリリースを配信する目的を明確にし、配信することでどのような効果が期待できるのか、生活者にどのようなメリットを提供できるのかなどを考えたうえで、適切なやり方を用いて配信しましょう。配信後の効果測定も忘れずに行い、効果的な広報PR戦略を継続していくことが重要です。
プレスリリースのやり方・始め方に関するQ&A
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