「CSR(Corporate Social Responsibility)」は「企業の社会的責任」とも呼ばれ、企業が利益の追求にとどまらず、社会や環境に対して責任を果たす取り組みを指します。
環境保全、地域貢献、教育支援など、その活動分野は幅広く、多様な形で展開されています。
近年では、CSR活動を「実施すること」にとどまらず、「どのように社会へ貢献しているのか」を明確に発信する姿勢が重視されるようになりました。プレスリリースを活用することで、活動の背景や成果を客観的に示すことができ、社会的な認知拡大やブランドイメージの強化にも寄与します。
本記事ではCSR活動に関するプレスリリースの配信によるメリットや記載項目、さらに実際の配信事例を紹介。プレスリリーステンプレートも掲載していますので、ぜひ参考にしてみてください。
CSRの基本的な考え方について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせて参考にしてみてください。
CSRとは?定義、活動の具体例、企業価値向上へのメリット・戦略的に推進する3つのポイントを紹介
テンプレートのダウンロードファイルは、「解説付きWordのテンプレート」と「PR Editorのテンプレート」の2種類あります。活用方法については、「Wordファイルインポート機能とは?使い方とメリット・注意点」をご覧ください。
CSR活動のプレスリリースを配信するメリット・効果
CSR活動を行う目的は、単に社会貢献をすることにとどまりません。企業として「どのように社会と関わり、どんな価値を提供しているのか」を可視化し、社内外に信頼を築くことこそが本質です。プレスリリースを活用すれば、活動の背景や意義を客観的かつ効果的に伝えることができ、CSRを経営の一部として位置づけることが可能になります。
また、発信を通じて社外のステークホルダーだけでなく、社内の従業員にも誇りや一体感を生み出すことができます。つまり、CSR活動をプレスリリースとして発信することは、「社会との信頼関係を強化する」「企業価値を高める」「組織のモチベーションを向上させる」という3つの効果を同時に得られる重要な手段なのです。
では、CSR活動に関するプレスリリースを配信するメリットと効果について、詳細を解説します。
メリット1.社会的信頼と企業イメージの向上
CSR活動のプレスリリースは、社会的信頼を高め、企業イメージを向上させるための有効な手段です。企業がどのような価値観を持ち、どのように社会課題に向き合っているかを発信することで、生活者や投資家、取引先など多様なステークホルダーに誠実な姿勢を伝えられます。
単に「活動を報告する」だけでなく、継続的な取り組みや定量的な成果を示すことで、企業としての一貫性や信頼性を強調できます。また、社会貢献を行う姿勢は、メディア露出や第三者評価にもつながり、ブランドの好感度を持続的に高める要因にもなります。
メリット2.活動の認知拡大と共感の獲得
CSR活動をプレスリリースとして発信することで、認知拡大と共感の創出も期待できます。配信プラットフォームやメディアを通じて情報が広がることで、自社サイトやSNSだけでは届かない層にも目に触れる機会を作れることが最大のメリットだといえるでしょう。
特に、地域社会や教育、環境といった社会性の高いテーマは、ニュースメディアや業界誌に取り上げられやすい傾向にあります。活動に込めた想いや背景を丁寧に伝えることで、「共感による支援」や「ブランドに対する好意的感情」が生まれ、企業と生活者の間にポジティブな関係性が構築されることもメリットです。
メリット3.従業員のパフォーマンス向上や人材獲得にもつながる
CSR活動を外部に発信することは、社内外の関係者の意識を高めるきっかけにもなります。自社の社会的取り組みが公に紹介されることで、従業員の誇りやモチベーションが向上し、組織全体に「自分たちの仕事が社会に貢献している」という実感をもたらします。
また、取引先やパートナー企業にとっても、自社との連携が社会価値を生んでいると感じられることは、信頼関係の強化につながります。発信を通じて社内外が同じ目標を共有できるようになれば、企業文化そのものがCSRを軸に成熟していくでしょう。
さらに、新卒や中途採用の際にCSR活動を確認するケースも増えています。最新記事はもちろん、過去のプレスリリースで複数の活動を把握してもらうことで、人材の獲得にも効果が期待できるでしょう。
CSR活動のプレスリリースに盛り込む5つの記載項目
実際にプレスリリースを制作する際、どのようにまとめるべきかわからないという方もいるでしょう。CSR活動で特に押さえておきたい項目を5つご紹介します。
項目1.CSRの活動内容
基本的な内容として重要なのが、CSR活動の概要です。どのような会社が、どのような事業に関連して、どのようなCSR活動を実施しているのかを詳しく書いていきます。
CSRはボランティアのような慈善活動とは異なり、企業価値の向上を目的とした活動です。事業内容との一貫性を意識しながらまとめるとよいでしょう。
項目2.CSR活動のきっかけ・目的や企業の想い
CSR活動の内容を記載したあとは、実施に至った背景や目的、企業としての想いなどを記載します。背景が明らかになると読み手は事業内容との関連性が理解しやすくなり、より明確な目標・ゴールを把握できるためです。
例えば、社会的な課題解決に向けたCSR活動であれば、その詳細に触れることで社会的意義をアピールできます。訴求ポイントが多い場合は「実施の背景」「〇〇の現状」といった見出しを設けてもよいでしょう。
項目3.CSR活動による実績・成果
CSR活動を終えたあとにプレスリリースを配信する場合は、活動の実績はマストといえます。実施前のプレスリリースの配信の有無にかかわらず、今回のCSR活動によってどのような結果が出たのか明記しましょう。
例えば、自社製品を活用した環境保全活動を実施した場合は「どの程度環境保全に貢献できたのか」、支援金を募った場合は「期間中にいくら集まったのか」を明確にします。
活動内容によっては専門的な要素を含むケースもありますが、グラフや表などで可視化しながら理解度を高めることが大切です。
項目4.今後の展望や継続方針
CSR活動のプレスリリースでは、「これまでの実績」だけでなく「今後どのように発展させていくのか」を明確に示すことが重要です。単発の取り組みとして終わらせず、継続的に社会課題へ向き合う姿勢を伝えることで、企業の信頼性をさらに高められます。
たとえば、「今後は地域との連携を強化し、年間を通じた環境活動を推進する」「他企業や自治体との共同プロジェクトを検討している」といった形で、具体的な方向性を提示すると効果的です。また、活動の評価指標(KPI)や次年度以降の計画を簡潔に記載すれば、読者に企業の本気度が伝わります。
CSRは「継続性」が最も重視される取り組みです。プレスリリースを通じて「企業として何を目指し、どんな未来を描いているのか」を発信することが、共感を生み、社会との信頼関係をより強固にする鍵となります。
項目5.関係者情報や担当者のコメント
CSR活動の関係者情報があると、取り組みや実績についてよりミニマムな視点で読むことができます。例えば、地域のイベントに登壇者を招いた場合は、その人のプロフィールや顔写真を掲載するのがおすすめです。
また、企画担当者や製品開発者など、自社の担当者のコメントを記載してもよいでしょう。企業としての実施背景だけでなく、個人単位でのこだわりやCSR活動にかける想いを発信することで、具体像をアピールできます。
項目6.関連する製品・サービス情報
CSR活動には自社製品・サービスが深く関わっていることも多いため、これらの関連情報もしっかり記載します。活動内容、背景・目的、実績から自然な流れになるよう、製品・サービス情報の見出しを設けましょう。
読み手が関連情報を獲得できるだけでなく、CSR活動のプレスリリースをきっかけに事業内容や製品・サービスについて知ってもらうという企業側のメリットにもつながります。
CSR活動のプレスリリースを書く際のポイント
CSRのプレスリリースでは、わかりやすさやデータの信憑性などに注意することが大切です。読み手に誤解なく理解してもらうためにも、特に押さえておきたい4つのポイントをご紹介します。
ポイント1.タイトルから記事本文まで全体をわかりやすく書く
自社のCSR活動を発信するうえで、わかりやすさは非常に重要です。実施する企業情報や活動内容が伝わらないプレスリリースではメリットも得にくいため、「5W2H」のフレームワークを意識しながら書くとよいでしょう。
- When(いつ)
- Where(どこで)
- Who(誰が)
- What(何を)
- Why(なぜ)
- How(どのように)
- How much(いくら)
また、複数の実績を記載する場合は箇条書きにしたり、表やグラフを用いたりすることでわかりやすさを高められます。
特に、タイトルとリード文はプレスリリース全体の印象を左右する重要な要素です。メディア関係者の目に留まりやすいキーワードを意識して、簡潔かつ具体的にまとめることが効果的です。以下の記事も参考にしてください。
ポイント2.客観的なデータや、第三者視点を掲載する
CSRの活動報告で重要なのは、誤解を与えない明確な実績を提示することです。主観的なアピールよりも「客観的事実」に基づく信頼性が重視されます。あいまいな内容は避け、客観的なデータや、第三者視点を掲載しましょう。
継続中のCSR活動を報告する場合は「〇年〇月〇日時点」といった情報があると安心です。数値的なデータのほか、関連会社やステークホルダーの意見・コメントを紹介するのも有用といえます。
ポイント3.写真・動画で「リアルな活動」を伝える
文章だけでは伝わりにくいCSR活動も、写真や動画を活用することで現場の臨場感を届けられます。活動中の社員の姿、支援先との交流風景、成果を示すビジュアル資料など、「見るだけで内容が伝わる素材」を意識しましょう。
特に、動画はSNSやニュースメディアでの二次利用にも向いており、拡散性の高いフォーマットです。素材の解像度・著作権・肖像権を確認したうえで、説明文やキャプションも丁寧に添えると効果的です。
ポイント4.CSR活動の内容にストーリー性を持たせる
CSR活動のきっかけや企業の想いなどを伝えるために、ストーリー性を意識してみましょう。活動の詳細も大切ですが、CSR活動を印象的に伝えるためには、単なる報告ではなく「なぜその活動に取り組んだのか」という背景や想いを描くことが大切です。読み手に訴えかけるようなストーリーがあると独自性・ニュース性もアピールしやすくなります。
特に、取り組みのきっかけ、課題、実現に至るまでのエピソードを盛り込むことで、読み手の共感を引き出せます。
また、活動の成果だけでなく「企業としてどんな未来を目指すのか」というビジョンを示すと、企業姿勢の誠実さがより伝わるでしょう。写真・コメント・データを組み合わせ、ストーリーとして一貫したメッセージを持たせることが効果的です。
CSR活動のプレスリリース事例15選
CSRのプレスリリースの配信によって多くのメリットを得られますが、どのように書けばよいかわからないという方もいるでしょう。ここからは、15のプレスリリース事例と参考になるポイントを解説します。
事例1.パナソニックグループ:実施前の活動情報を画像付きで発信
- 活動目的や実施場所がわかるタイトル
- CSR活動に関わるブランドスローガンを記載
- 展示内容がイメージできる画像を掲載
参考:「空気や自然の大切さ」を考える「キッズ エアラボ」をパナソニックセンター東京に常設展示
事例2.株式会社ゲオホールディングス:環境保全に向けた活動の未来像
- 「2050年までに」と明確な目標を記載
- 自社の事業内容と活動の関連性を「導入の経緯」で紹介
- エリアごとのCO2排出量削減がわかる表を掲載
参考:ゲオグループ 太陽光発電によるオフサイトPPA電力を197店舗へ導入 2050年までに「CO2排出実質ゼロ社会」を目指した取り組みを加速
事例3.株式会社学研ホールディングス:難民支援の活動実績がわかるビジュアル
- 協賛企業や支援実績をリード文で明記
- ワークショップの様子を複数の写真で紹介
参考:学研グループ/大切な思い出を形に。ナカバヤシからウクライナ難民へフォトアルバムなどを提供
事例4.三井不動産株式会社:CSR活動の達成状況をタイトルで訴求
- 「累計1兆円超え」と達成状況がひと目でわかるタイトル
- 調達額の内訳と詳細金額を明記したグラフ付き画像を掲載
- 全体を通して5W2Hを網羅したプレスリリース内容
参考:サステナビリティ・リンク・ファイナンスフレームワークを策定 ~業界初、サステナブルファイナンス累計1兆円超え~
事例5.三浦工業株式会社:CSRに紐づくシステム開発について発表
- タイトルに企業名・システムの特長・受注開始時期を明記
- 「開発の背景」「特長」を見出しに分けて解説
- 機器の写真を用いた画像でイメージフローを紹介
参考:【三浦工業株式会社】低炭素な「ボイラ水処理システム」を2024年8月より受注開始 ~ブロー熱損失を80%削減~
事例6.ウエルシア薬局株式会社:具体例を用いたCSR活動報告
- 「杉の木1,989本が1年間に吸収するCO2の量」と想像しやすい具体的な報告
- 取り組み店舗数など客観的データを明記
- CSR活動の様子がわかる写真を掲載
参考:リサイクル活動「ボトルtoボトル」 お客さまのご協力により、1,752,273本(38,550㎏)のペットボトルを回収しました
事例7.株式会社フジテックス:CSR関連のユニフォームを着用した写真を掲載
- 「製品開発の背景」でCSR活動の目的を訴求
- 関連するプロジェクト情報もわかる概要とイラスト
- 従業員のモチベーションアップにもつながるオリジナルユニフォームを紹介
参考:株式会社フジテックス|制服リサイクルで資源循環。高機能&オーダーメイド『オリジナル企業ユニフォーム』を販売開始
事例8.株式会社ヤマダホールディングス:画像を豊富に活用してビジュアル面で訴求
- 客観的データをもとに、商品を認定した理由を解説
- 各商品のパッケージや特徴がわかる画像を掲載
- CSR活動に込めた企業の想いが伝わるイラスト
参考:創業50周年記念モデルパナソニック製「eneloopライト充電器セット」「LED電球」を『YAMADA GREEN』に認定
事例9.合同会社ユー・エス・ジェイ:記念日シーズンに合わせたCSR活動
- 「母の日」「父の日」に感謝や愛を伝えるアミューズメントパークならではの活動
- イベント初日に訪れた人のコメントを複数ピックアップ
- プロジェクト責任者のコメントを掲載し、パーソナルな想いを発信
参考:いつもありがとう。今思った人は、誰ですか?“感謝”と“愛”であふれるスペシャルな記念月間『THANKS LOVE MONTH 2024』 本日スタート!
事例10.株式会社ブレンボ・ジャパン:継続的なCSRの活動実績を公表
- 「環境・社会・ガバナンス」の活動領域を冒頭で明記
- マークや数字を使って、達成率が視覚的にわかりやすいアイキャッチ
- 最高CSR責任者のコメントを紹介
参考:ブレンボで続く持続可能な開発:再生可能エネルギー使用率75%を達成し、CO2排出量を削減
事例11.株式会社ウィル:補助犬の支援活動で募金状況を発信
- 寄付の条件と目的がわかる簡潔なタイトル
- 不動産事業におけるCSR活動との関連性を明記
- ストーリー性を持たせた課題・背景・担当者コメント
事例12.ミナトホールディングス株式会社:出資会社のアプリを使った取り組みに協賛
- 自社のグループ企業が出資する企業の関連団体の関係性を明記
- 社会的意義が伝わるプレスリリース内容
参考:ミナトホールディングス 港区の高齢者専用アプリを活用した介護予防事業に協賛
事例13.株式会社ジーン:自社・提携企業両社のコメントを掲載
- CSR活動であること、実施企業がわかるタイトル
- 業務提携を行った2社の情報を把握しやすいロゴ付き画像
- 両社代表のコメントを見出しに分けて紹介
参考:【株式会社ジーン】CSR活動の一環として「湘南地域の課題解決に向けた取り組み」を開始します
事例14.キヤノン株式会社:CSRの活動報告公開をプレスリリースでも発信
- ステークホルダーに向けたプレスリリースの配信目的を明記
- 統合報告書・サステナビリティレポートそれぞれの掲載概要を紹介
参考:「統合報告書2024」「サステナビリティレポート2024」を発行
事例15.TANAKAホールディングス株式会社:活動への参画とグループの課題を訴求
- グループ会社としての目標をタイトル直下で明記
- 企業の考えに基づき、参画に至った理由を紹介
- CSR活動を進めるうえでの目標や未来像を訴求
参考:田中貴金属グループ、経済産業省主催の「GXリーグ」に参画
CSRのプレスリリース作成の基礎知識
プレスリリース作成で大切なことは、行動した人の想いを込めることです。しかし、見せ方にも工夫は必要です。どのようなプレスリリースにもあてはまる、プレスリリース作成の基礎知識は以下の通りです。

POINT解説付き!テンプレートダウンロードはこちら

テンプレートを使ったインポート機能の詳細は、以下の記事をご覧ください。
CSRのプレスリリースを配信することで企業の価値・イメージを高めよう
プレスリリースでCSR活動の状況・実績を発信するためには、自社情報だけでなく活動背景や客観的なデータを記載することが大切です。理解度を高める5W2H、ストーリー性などを意識しながら、ステークホルダーからの注目を集めるプレスリリースを作っていきましょう。
配信前には、以下のポイントを最終確認することで、信頼性の高いプレスリリースを配信できます。
- 企画内容:CSR活動の目的・背景・成果が明確に整理されているか。企業視点だけでなく、社会的意義や支援先の立場が反映されているか。
- 記載情報:寄付金額、支援先名称、実施日などの事実関係に誤りがないか。数字の根拠や算出方法を確認したか。
- 構成・文章:タイトル・リード・本文に一貫性があり、専門用語を使いすぎていないか。社会課題や活動内容が読み手に伝わりやすい構成になっているか。
- 表現配慮:ジェンダー・宗教・人種・地域などの表現に偏りがなく、文化的に誤解を生む可能性がないか。複数人でのレビューを実施したか。
- 画像・動画:掲載する素材の解像度・明るさ・構図は適切か。著作権や肖像権、使用許可の確認を済ませているか。
- 確認体制:経営層や法務部、CSR担当部署など、社内の承認フローを通しているか。万が一の問い合わせや指摘に対応できる体制を整えているか。
- 掲載後対応:SNS・ニュースメディアでの反応をモニタリングし、問い合わせやコメントに迅速かつ誠実に対応できる準備があるか。
その他、プレスリリースを配信する前にチェックするポイントは以下の記事も参考にしてみてください。
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