若者の間で人気のショートムービーアプリ「TikTok」。動画広告を活用したマーケティングが定着しつつある今、TikTokを活用し始める企業も増えています。
本記事では、TikTokとはどのようなSNSなのかといった基本情報から、企業が活用するメリットや人気企業アカウントの特徴を、12個の事例とともにお伝えします。
そもそも、TikTokとはどんなSNSなの?
TikTokはここ数年耳にすることが増えてきたサービスですが、実際にはどのようなSNSなのでしょうか。活用する上で知っておきたいTikTokの特徴から利用者の年齢層、これからの動画広告市場においてどんな役割を果たすのかをまとめました。
TikTokの特徴
TikTokは、音楽に合わせて15秒ほどの短い動画を撮影・加工し、投稿できるショートムービープラットフォームです。15秒の動画を投稿するまでの、撮影・編集・加工などの全ての作業をTikTokアプリでできることが人気の理由です。
運営会社は中国のByteDance社。2016年にサービスを開始したにも関わらず、2018年には世界中で5億人もに利用されるようになった人気アプリです。日本でも若者を中心に利用者が増えています。
YouTubeは自分で動画のコンテンツを考える必要があるのに対して、TikTokはアプリに入っている楽曲に合わせて動画を撮影するだけで投稿できます。動画投稿に際してハードルが高いと思われがちな編集作業もアプリ内で簡単に行うことができます。簡単でわかりやすい操作方法やデザインが若者にヒットし、ブームを巻き起こしているのです。
TikTokの年齢層
TikTokのメインターゲットは、10代の中高生です。他のSNSのターゲット層よりも若年層向けのサービスとなっています。
MMD研究所の調査によると、利用率は10代が13.6%、20代が13.0%、30代が8.5%と、若い年代ほど高い傾向にあります。
またメインターゲットの10代に加え、最近では20代〜30代の利用率も増加傾向にあります。BACKYADの調査では、TikTokを1日に1回以上閲覧するユーザーのうち、およそ4割が20代や30代となっており、TikTok利用者の年齢層の幅は広がってきているという結果がでています。
動画広告市場
2018年から動画広告市場が急速に成長しはじめ、今や動画広告は最もエンゲージメント効果の高いマーケティング手法とも言われています。背景には、スマートフォンの普及によって通信料のみで動画を無料で見られる機会が増えたことがあります。
サイバーエージェントが2019年に行った市場調査によると、2019年の動画広告市場は、昨年対比141%の2,592億円に達する見通しです。スマートフォン動画広告の需要は、昨年対比147%の成長を遂げ、動画広告市場全体の89%になる見込みです。今後もスマートフォン動画広告の需要は増え続け、2023年には5000億円を突破すると言われています。
動画広告市場が拡大し、企業にとってもTikTokなどのショートムービープラットフォームの重要性は高まってきています。

企業がTikTokを活用する3つのメリット
若者向けのイメージが強いTikTok。企業が活用するイメージを想像しにくい方もいるのではないでしょうか。企業がTikTokを利用するメリットは、大きく分けて3つあります。
メリット1.10〜20代に訴求できる
先述の通り、TikTokのメインユーザーは10〜20代の若年層。SNSマーケティングとしてよく使用されるTwitterやInstagramの利用者がそれぞれ20代〜40代に多いことを考えると、10代に訴求できるTikTokは有効なマーケティング手法です。
これから社会に出てくる10代を自社のファンにすることで、将来の顧客を獲得することができます。
メリット2.利用企業が少なく差別化できる
SNSマーケティングの手法の一つとして注目を集めつつあるTikTokですが、現時点で活用している企業はそれほど多くはありません。
SNSマーケティングの主流であるTwitterやInstagramに比べるとまだ利用者数が多くないことや、登録ユーザーが10〜20代と若年層が大半を占めていることから、TikTokを率先してSNSマーケティングに活用しようとする企業が少ないのです。
利用している企業が少ないからこそ、競合他社に埋もれることなく、自社独自のマーケティングができるといったメリットがあります。
メリット3.グローバルに訴求できる
TikTokの国内の利用者数は950万人とTwitterやInstagramに比べると少ないですが、国外も合わせた月間アクティブユーザーを見てみると、8億人(2020年4月時点)にのぼるユーザーを獲得しています。
他のSNSマーケティングでは訴求できないグローバル層にもアプローチすることができるのがTikTokの特徴です。
企業のTikTok活用事例12選
ここでは、話題となった企業のTikTokアカウントを紹介します。新しいマーケティング手法として、活用の仕方も様々。事例を参考にして、自社のTikTok活用方法を検討してみてはいかがでしょう。
事例1.サントリー「#ピーカーダンス」

サントリーは商品プロモーションとして、「サントリー南アルプスPEAKER ビターエナジー」とNMB48のグループ内ユニット「Queentet」とコラボレートした「#ピーカーダンス」全12篇をTikTokで公開しました。
このキャンペーンでは、Queentetの動画を視聴するだけではなく、ユーザーが投稿したダンス動画の中から5名の「推しTikToker」を選ぶ、「#ピーカーダンス」コンテストを実施。Queentetが審査員をつとめることや、「推しTikToker」に選ばれるとPEAKERの公式サイトで投稿したダンス動画が投稿されることもあり、話題になりました。
事例2.江崎グリコ「#ポッキー何本分体操」

江崎グリコは、11月11日のポッキー&プリッツの日に合わせて、「#ポッキー何本分体操」をつけた動画の投稿を促すキャンペーンを実施しました。
期間中に「#ポッキー何本分体操」のハッシュタグをつけたTikTok動画を投稿すると、選ばれた動画が11月11日のポッキー&プリッツの日に渋谷にある街頭ビジョン「グリコビジョン渋谷」やポッキー公式Twitterアカウントで放映されるキャンペーンです。
このキャンペーンは平成30年の11月6日から11月11日の間に行われたものですが、わずか5日間で投稿された動画はなんと2万3,600本。「#ポッキー何本分体操」のハッシュタグがついた動画の総視聴回数は2,730万回を記録しました。
事例3.日本マクドナルド「#ティロリチューン」

日本マクドナルドの「#ティロリチューン」チャレンジは、マックフライポテトが揚がった時の”♪ティロリ ティロリ”という有名な音に合わせて、ダンスをしながら『500円バリューセット』を食べる様子を撮影する企画です。
このプロモーションの特徴は、インフルエンサーを起用したインフィード広告からハッシュタグチャレンジへ誘導した点です。その結果、期間内で投稿された動画は5万件、総再生数は1億回を突破し話題になりました。
事例4.ユニクロ「#UTPlayYourWorld」

ユニクロのTシャツブランド「UT」がTikTokを活用して行ったのは、「#UTPlayYourWorld」というUTのグローバルインフルエンサーを選出するオーディションです。このキャンペーンは日本、アメリカ、フランス、台湾、中国の5カ国で開催。
オーディションへの応募はTikTokアプリから「#UTPlayYourWorld」の楽曲を選んで動画を撮影し、期間中にハッシュタグ「#UTPlayYourWorld」をつけて投稿するだけで完了です。世界中のユニクロファンやモデルを目指す人をターゲットとしたこのハッシュタグチャレンジは、2週間という短い期間にもかかわらず、動画投稿数が約20万件を超えました。
事例5.ウルトラジャパン「#ultratiktok」

2018年9月に開催された音楽フェスティバル「ウルトラジャパン」はフェスに登場するダンスグループ「CYBER JAPAN DANCERS」を起用し、プロモーション動画を公式TikTokから配信するなど、開催前からTikTokを活用したプロモーションを行いました。
またユーザーがウルトラジャパンの公式楽曲を使用したダンス動画を投稿すると、その中から選ばれた人が当日のチケットやイベントTシャツをもらえるというキャンペーンも実施。フェスの当日は会場にTikTok用の動画を撮影できるブースを設けるなど、フェスの開催前から開催中までTikTokをフル活用した事例です。
事例6.ワイモバイル「#と思いきやダンス」

「#と思いきやダンス」は、18歳以下を対象にした「ワイモバ学割」を訴求するためにワイモバイルが行ったテレビCMやYouTubeとTikTokを掛け合わせたキャンペーンです。TikTokで「#と思いきやダンス」動画を投稿した人の中から1名に、テレビCM出演権をプレゼントするというキャンペーンを行いました。
テレビCMでは吉岡里帆さんや芦田愛菜さんなど、若者に人気のある芸能人を起用することでTikTokのキャンペーンの存在を周知することに成功しました。キャンペーンが終わってからも動画投稿数が伸び続け、総視聴回数も1億回を超えるなど話題になったキャンペーンです。
事例7.コカ・コーラ「#リボンでありがとう」

自社の商品を使ってTikTokを活用したのが、コカ・コーラの「#リボンでありがとう」キャンペーンです。ハッシュタグをつけて、楽曲を選んで動画を投稿することで誰でもキャンペーンに参加可能。
企業のTikTok活用例では珍しく、QUOカード1,000円分が抽選で100名に当たるという景品に加えて、審査で選ばれた動画は渋谷の屋外ビジョンでの投稿動画が放映されるという特典も用意されました。このように有形と無形の賞品を組み合わせる戦略が、キャンペーンを盛り上げる要素の一つとなっています。
事例8.キリン「ほほティー」

キリンは温かい午後の紅茶を頬に当てた、「ほほティー」ポーズをTikTokを利用して周知させました。このポーズで写真や動画を撮ったものが中高生の間で話題となり、可愛らしく真似しやすい動画がTikTok内にあげられています。
このマーケティングは大成功し、可愛い「ほほティー」ポーズを真似した女子中高生のファンを増やしました。
事例9.ローソン「#いつでもLチキチャレンジ!」

ローソンの人気商品である「Lチキ」の音楽をTikTokに提供し、音楽に合わせて食べるというキャンペーンが、「#いつでもLチキチャレンジ!」です。
このキャンペーンでは、景品が当たるなどの特典はありませんでしたが、指をLの形にして踊る「Lチキハンドサイン」が簡単で可愛いことが女子高生の間で話題となり、商品の購入にも繋がりました。
事例10.青春高校3年C組
テレビ東京で放送されている青春バラエティ番組、『青春高校3年C組』。漫画やドラマでしか見たことがない「理想のクラス」を1年かけて作りあげることをテーマにしている番組です。
現役の高校生が出演していることもあり、TikTokとの相性は抜群です。公式TikTokアカウントでは「#TikTok部」のハッシュタグをつけて、様々な若者向けのコンテンツを発信しています。TikTokから番組の存在を知った高校生もいるようで、番組への影響力も感じられます。
事例11.東京カレンダー「#東カレグルメ」

企業のTikTok活用例は若者をターゲットとしたものが大半を占めているなか、大学生から社会人に向けての動画を配信しているのが東京カレンダーの「#東カレグルメ」です。
ターゲットに合わせて、コンテンツも大人っぽいショートドラマを配信。『東京カレンダー』の中でも強い個性を発揮している「港区女子」や「筋肉男子」、「オーガニック女子」など、都会で生きる個性的な大人たちが、実際に存在する飲食店を舞台に互いにしのぎを削り合う様子をリアルに描いています。
ショートドラマ公開前には、『東京カレンダー』でも取り上げた人気レストランの予約権をプレゼントする「東カレチャレンジ」も実施。ターゲットとコンテンツをうまく合わせたSNSマーケティング例です。
事例12.荒野行動「#荒野行動」

2018年に大ヒットした、バトルロイヤルゲーム「荒野行動」。スマホからプレイできるため、場所や環境に縛られず幅広い世代に親しまれています。
この荒野行動は、TikTokのシステムを変えてしまうほどの大胆なコラボレーションを実施しました。ゲーム内に公式シェアシステムを開発し、荒野行動から直接動画をTikTokにシェアすることができるようにしたのです。また、荒野行動からTikTokへ動画をシェアすることでアイテムをもらえる機能を実装するなどのコラボレーションも行なっています。
これにより、国内での「#荒野行動」のハッシュタグ総再生数は20億回を突破し、話題になりました。
人気のアカウントの特徴は?企業がTikTokを始めるときの3つのポイント
企業のTikTokにはどのような特徴があるのでしょうか。上で紹介した企業の成功事例から、企業がTikTokを始めるときのポイントを3つにまとめました。
ポイント1.ターゲット層の趣味嗜好をリサーチする
先述したように、TikTokのメインターゲットは10代の中高生。企業の人気アカウントも10代にヒットし、真似しやすい動画をあげて多く投稿されるように設計されています。
上であげた例でいうと、「#ピーカーダンス」「#ポッキー何本分体操」「#ティロリチューン」などがこれに当たります。
一方で東京カレンダーによる「#東カレグルメ」は、大学生や社会人をターゲットとしていて、ターゲットに合わせて動画の内容も「ショートドラマ」と、少し高めの年齢層を惹きつけやすいコンテンツになっています。
TikTokを活用してどのような年齢層にアプローチしたいのか定め、その年齢層の趣味嗜好にヒットするコンテンツを用意するといいでしょう。
ポイント2.キャンペーン時以外の投稿内容を検討する
企業がマーケティングとしてTikTokを使うのであれば、長期的に愛されるアカウントを作りたいですよね。ウルトラジャパンのTikTokは、イベントである音楽フェスの開催前からTikTokを活用していました。長期的なプロモーションであったこともあり「#ultratiktok」の投稿数は5,000を超えるなど、キャンペーン時以外でもTikTokをフル活用した事例です。
投稿数を伸ばして長期的に愛されるためには、キャンペーン開催時以外にもTikTokをどう活用するかが重要になってきます。
ポイント3.視聴者が参加しやすい内容を検討する
今回紹介した企業アカウントのうちほとんどは視聴者参加型で話題になったものです。
視聴者が参加しやすいコンテンツにするポイントは以下の3つです。
- 真似しやすい簡単な踊りなどのコンテンツにする
- インフルエンサーによる「お手本動画」
- ハッシュタグチャレンジ
特に「#〇〇」といったハッシュタグチャレンジは視聴者が真似しやすく、似たような動画を視聴者が投稿することでさらにそのキャンペーンが拡散されていくという利点があります。
視聴者が参加しやすい内容を企業側から設計すると話題になりやすいです。
自社にあったTikTokの使い方を検討してみよう
今回は企業のTikTok活用方法について、12個の事例ともに紹介しました。
TikTokなどのショートムービープラットフォームの需要はこれからも増えていき、動画広告市場では見過ごせない存在になることが予想されます。まだ日本企業でTikTokを活用している企業は多くないため、うまく活用できれば新しいSNSマーケティングの効果が得られるかもしれません。
これを機に、自社にあったTikTokの活用方法を検討してみてはいかがでしょうか。
企業のTikTok活用方法のポイントやメリットに関するQ&A
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