認知度やブランドイメージの向上につながることから、多くの企業が行っているX(旧 Twitter)の運用。効果があるとわかっていても、いざ運用を始めるとなると何を準備すればよいのか迷ってしまうかもしれません。
本記事では、X(旧 Twitter)の運用ルールに盛り込みたい3つのポイントや、成功につなげるための5つのコツをご紹介します。
企業がX(旧 Twitter)運用を始めるまでのステップは?
企業が公式X(旧 Twitter)アカウントの運用を開始するまでには、いくつかのステップが必要です。ここでは、KGI・KPIの設定からルール策定、投稿・分析のサイクルづくりまで、4つのステップを解説します。スムーズな進行のために、しっかりと運用方法を押さえましょう。
STEP1.KGIを決め、KPIに使える指標を知る
X(旧 Twitter)を運用するにあたり、成果の判断基準となる指標をあらかじめ設定しておく必要があります。X(旧 Twitter)の運用が成功しているかどうか=効果が出ているかどうかは、投稿と分析の繰り返しから判断します。そのための効果測定の方法を、なるべく事前に定めておきましょう。
1ヵ月周期などで「効果測定」を行い、投稿への反応を振り返ったり、傾向を分析したりすることでナレッジとして蓄積できるでしょう。そこで重要なのが、「KGI」と「KPI」という2つの指標です。
【KGIとKPI】
KGI:「Key Goal Indicator」の略で、「重要目標達成指標」を意味する。プロジェクトなどの最終目標のこと
KPI:「Key Performance Indicators」の略で、「重要業績評価指標」を意味する。KGIを達成するため、短期的な達成度を測る中間目標のこと
X(旧 Twitter)の運用目的は、「マーケティング」や「広報PR」「カスタマーサポート」などさまざまです。また、運用パターンは大きく「ユーザーとの双方向のコミュニケーション」と「情報発信のみ」の2つに分けられます。目的と運用パターンに合わせて、適切なKGIとKPIを設定しましょう。
【運用目的とKGI・KPIの例】
KGI | KPI | |
マーケティング | 1年後のブランド認知度を40%にする | インプレッションリンククリック引用リツイートの数など |
広報PR | 自社のファンを増やすため、フォロワー数を1年後に5千人にする | フォロワー数引用リツイートの数いいね数など |
カスタマーサポート | X(旧 Twitter)経由でのマニュアル共有・問い合わせ対応を強化し、顧客満足度を高める | リプライ、いいね数アンケートへの回答数担当者のリプライ速度 |
生活者や顧客と直接コミュニケーションが取れるX(旧 Twitter)では、「いいね数」「ハッシュタグのクリック数」など、さまざまな指標をKPIに置くことができます。あらゆる運用パターンで、最低限参考にしたいのは「エンゲージメント」「インプレッション」「エンゲージメント率」。ヘルプセンターによると、それぞれの説明は以下の通りです。
- エンゲージメント:利用者がツイートに反応した合計回数。ツイートの任意の場所(リツイート、返信、フォロー、いいね、リンク、カード、ハッシュタグ、埋め込みメディア、ユーザー名、プロフィール画像、ツイートの詳細表示など)のクリック数
- インプレッション:利用者のタイムラインまたは検索結果にツイートが表示された回数
- エンゲージメント率:エンゲージメント数をインプレッション数で割った値
リツイート、いいねなどのユーザーの反応をほぼ網羅して合計したものがエンゲージメント、画面上で表示された回数がインプレッションです。エンゲージメント率は「ツイートを見たユーザーのうち、どのくらいの比率が反応してくれたか」を示します。アカウントを立ち上げた後、「フォロワーは増えているのに反応してもらえない」「インプレッションは高いのにいいねが少ない」などと伸び悩むケースもあるでしょう。その場合は、エンゲージメント率の向上をKPIに設定することもおすすめです。
広報PR業務におけるX(旧 Twitter)の効果測定については、以下の記事も参考にしてみてください。
Instagramの効果測定を行う際に、下記の記事も参考にしてみてください。
STEP2.運用の担当者を決める
「投稿」「フォロワー管理」「DM管理・リプライ」「効果測定」……。一口に「X(旧 Twitter)の運用」といっても、その内容は多岐にわた渡ります。1日に複数回の投稿を継続することも多く、業務の量によっては一人で運用しきれないかもしれません。投稿内容を事前にチェックする必要もあるため、基本的には複数の担当者をアサインしましょう。
設定したKGI・KPIの達成に向けてどれだけリソースを用意できるのか、あらかじめ検討しておくとよいでしょう。
STEP3.運用上のルールを決める
X(旧 Twitter)を含むSNSの運用には、一定のルールが必要です。複数人で運用したり、別の担当者へ引き継ぎしたりする場合には、運用にあたって「やっていいこと」「やってはいけないこと」を明確にしておくことをおすすめします。X(旧 Twitter)を含むSNSの運用ルールを定めた「ソーシャルメディアガイドライン・ポリシー」については、こちらの記事をご確認ください。
STEP4.アカウントを作成する
続いて、アカウントを作成します。アカウント作成の手順はとてもシンプル。初心者でも簡単に作成することが可能です。
サブスクリプションサービス「X premium(旧 Twitter Blue)」を利用すると、X(旧 Twitter)アカウント名の横にブルーのチェックマークが表示され、専用の機能を使うことができます。
企業のX(旧 Twitter)運用でルールとして定めておきたい3つのポイント
先述の通り、X(旧 Twitter)の運用にはルールが必要です。ルールの中でも、スムーズな運用のために絶対に欠かすことのできない3つをピックアップしました。漫然とした運用に終始するのではなく、きちんと成果につなげられるよう、ぜひチェックしてみてください。
1.投稿手順
どの担当者にもわかりやすい投稿手順を定めておくことは大切です。マニュアル化して複数人で運用できると、なおよいでしょう。個人で投稿する場合、誤字脱字やバイアスのある投稿をしてしまいがちです。こうしたリスクを小さくするため、複数人でチェックしつつ、トラブルがあったときには対策と原因の究明を行えるよう、チャットツール上、スプレッドシートなどのファイル上で下書きを確認する段階を設けるようにしましょう。
例えば、2人で運用する場合に、以下のような手順で投稿することも可能です。
- 投稿文の下書きメモを共有する
- もう1人の担当者が内容をチェック
- 必要に応じて修正
- 投稿or予約投稿
2.アカウントのトーン&マナーとタブーの設定
多くのX(旧 Twitter)アカウントが、1アカウントに1つ、基本的にブレることのない「キャラクター」を設定して運用しています。時には「中の人」とも呼ばれるキャラクター像を形づくる前提となるのが、トーン&マナーです。
トーン&マナーは、アカウントの運用目的によって変わります。例えば、目的が「マーケティング」なら商品・サービスのカラーに合わせてフランクに、「広報PR」ならステークホルダーを意識したツイートも想定されるので、情報の正確性に重きを置いて堅めにする場合もあります。使用してはいけないタブーな単語や記号、言葉づかい、画像などをリストアップして共有しておくことも必要です。運用目的に合わせて適切にチューニングし、一貫性のある「キャラクター」を確立しましょう。
また、上記のトーン&マナーに即していても、個人のアンコンシャスバイアスが働いているものや、時流に合わない投稿は炎上の火種となりえます。必ず2人以上で「第三者目線でおかしくないか」を確認するようにしましょう。
3.イレギュラーへの対応方法
X(旧 Twitter)を運用していると、炎上のリスクが顕在化しやすくなることに加え、ユーザーからのリプライ(返信)やDM(ダイレクトメッセージ)が届くことも。好意的な内容のものだけでなく、商品・サービスなどに関する苦情や問い合わせもあるかもしれません。
そうした場合の対応策や担当者も、運用を開始する前に決めておくことをおすすめします。「案件の担当者から返信する」「問い合わせ窓口をご案内する」、あるいは「返信しない」という選択肢もあるかもしれません。いずれにしても、自社のカスタマーサポート部門やマーケティング部門と相談しながら対応を検討しましょう。
炎上などへの対応方法および危機管理広報については、こちらの記事を参考にしてみてください。
企業のX(旧 Twitter)を運用する5つのコツ
企業のX(旧 Twitter)運用のための5つのコツをご紹介します。せっかくX(旧 Twitter)を活用するのなら、目的に応じてユーザーとコミュニケーションを取ることができる場として、よりよい運用を目指しましょう。
1.目的を変えずに運用する
X(旧 Twitter)の運用には「マーケティング」や「広報PR」、「カスタマーサポート」など、企業や部門ごとに目的があります。一度運用を始めたら、フォロワーが定着するまでは基本的に目的を変えずに運用することが望ましいです。
例えば、運用開始当初は「カスタマーサポート」だったにもかかわらず、いつの間にか「広報PR」にすり替わっていると、商品・サービスに関する情報を得たいとフォローしたユーザーに必要な情報が届きにくくなってしまいます。長期的にはアカウントの立ち位置が不明瞭になり、フォロワーからミュートされてしまうリスクも。
目的を変える場合、KGI・KPIも変更しなければなりません。やむを得ず途中で目的を変更しなければならないときは、別のアカウントとして新規で運用してみるのもよいでしょう。
2.X(旧 Twitter)の機能・アルゴリズムの情報をアップデートする
X(旧 Twitter)の機能とアルゴリズムは日々アップデートされています。こうした情報を追いかけ続けながら使いこなすことが大切です。
X(旧 Twitter)には、もっともベーシックなテキストのみの投稿のほか、「投票(アンケート)機能」や「リツイート」「いいね」「画像/GIF画像の投稿」などの機能が備わっています。縦長画像の投稿機能や、リアルタイムで会話ができる「Xスペース」機能など、日々新たな機能も拡充されてきています。
またアルゴリズムとは、投稿が各SNSのフィードやタイムラインにどんな順序で表示されるかを決定する計算式のこと。アルゴリズムは常に同じではなく、プラットフォームの方針や世界のトレンドに合わせて度々アップデートされます。X(旧 Twitter)では、単純な時系列ではなく、「いいね」や「リツイート」の数、ユーザーとの親和性などを用いてツイートの表示順位が決定されているようですが、アルゴリズムの詳細は明かされていません。
機能もアルゴリズムも、常にアップデートされるため、その情報をいち早く掴んで、運用を成功させましょう。
3.こまめに競合分析する
多くの企業アカウントが、X(旧 Twitter)の運用を成功させるために多くのトライ&エラーを実施しています。その中に、自社の運用のヒントが隠れていることも少なくありません。投稿内容やユーザーとのコミュニケーション方法、キャンペーンなどを観察し、なぜこの施策を実施したのかを考察したり、ベンチマークとなるアカウントの成功要因、炎上してしまったアカウントがある場合はその理由など、細かく分析をしておくとよいでしょう。
4.積極的にPDCAを回す
競合分析も重要ですが、自社のアカウントの中でPDCAを回すことも非常に重要です。X(旧 Twitter)の機能やアルゴリズムは度々アップデートされるため、昨日は成功したやり方が明日には通用しなくなる可能性もゼロではありません。
達成したい目的やKPIに対して有効な打ち手を多く編み出すためにも、なるべく早く、そして多くPDCAサイクルを回しましょう。
5.投稿前の確認は念入りに行う
X(旧 Twitter)は、世界中からアクセスが可能であり不特定多数の人が目にするものであることを前提に運用しましょう。気軽に投稿できる一方で、意図的ではなくても特定の誰かを批判したり傷つけてしまったりするような投稿は、思わぬトラブルにつながる場合があります。
炎上などのトラブルを防ぐ観点からも、トーン&マナーの策定と遵守を徹底するほか、投稿内容の方向性や情報の正確性に不安がある場合にはチーム内でダブルチェックする、ユーザーや社会の多様性を念
丁寧な設計でX(旧 Twitter)運用を成功させよう
X(旧 Twitter)の運用に必要な基本のステップやルール、コツをご紹介しました。気軽に運用を開始できるだけでなく、ユーザーとも近い距離でコミュニケーションを取れるX(旧 Twitter)。企業の広報PR活動で積極的に活用したいものです。
しかし、X(旧 Twitter)は気軽に始められる一方で、炎上などのリスクがあることも事実です。できるだけリスクを抑え、より効果的な投稿を実現するためにも、この記事でご紹介した内容を参考に丁寧な設計のもとで運用して、広報Rを成功させましょう。
<編集:PR TIMES MAGAZINE>
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