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ミッション・ビジョン・カルチャーにフィットした人材の採用が未来を変える。従業員数250名のキャディが四半期採用目標160名を達成するための採用戦略。

2017年創業のキャディ株式会社(以下、キャディ)は、「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」をミッションに掲げ、コストダウンや調達工数の削減など、製造業界の課題に大きな変革をもたらしてきました。

2021年8月にはシリーズBラウンドにおいて、80.3億円の資金調達に成功。今後、さらなる事業拡大に向けて採用を強化し、従業員数240名体制(2021年11月時点)から、四半期で約160名の採用を目指しています

キャディでは、従業員数約80名だった2021年2月から約9ヵ月で160名の採用を実現しています。そこで今回は、キャディ株式会社のHR責任者である原 申さんに、採用における広報面での取り組みや採用方針の軸についてお話を伺いしました。

キャディ株式会社の最新のプレスリリースはこちら:キャディ株式会社のプレスリリース

キャディ株式会社 HR責任者

原 申(Hara Shin)

2005年にマクロミル株式会社に入社後、営業企画、新規事業開発室長などを担当。2014年よりグループ執行役員、ニューロマーケティングのCentan代表取締役副社長に就任。40代を機に「大きな産業の深い不(負)を解決することで社会に大きく貢献する」という思いから、2019年10月にキャディ株式会社に入社。入社後は、営業企画の立ち上げやオペレーションに携わる。2020年10月より人事職に従事。

歴史ある製造業界のポテンシャルを解放するキャディ株式会社

── はじめに、キャディ創業の経緯を教えてください。

原さん(以下、敬称略):創業のきっかけは、「製造業界の各企業が自社の強みを活かした製品の製造・販売に注力できる仕組みをつくる」という、代表の加藤の決意からでした。

現在の製造業界では、見積りや納期管理業務など、必ずしも人がやらなくてもいい業務に追われているケースが多くあります。製造業を営む町工場の9割が零細企業。設備や仕組みが整っておらず、マンパワーで頑張りすぎている企業も少なくありません。

そこに工数を取られていることで製造や技術の研鑽に注力できず、本来のポテンシャルを発揮できていない企業や人材がいるのが現状です。

そこで、キャディでは「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」をミッションに掲げ、メーカーと町工場の間に入り、さまざまなサービスを提供しています。

キャディインタビュー1

──「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」ための取り組みとはどのようなものでしょうか。

製造業界では、製造を行う町工場が取引先(メーカー)から発注された商品をつくる、いわゆる下請けピラミッドの構造が根付いています。この場合、取引先の要望を全て満たすことが最優先事項となり、自社が強くない領域の製造も請け負うことになり、更に他の町工場に外注を重ねることで結果として高コストな構造に繋がっています。

キャディインタビュー2

そこで、キャディでは「強みに基づくフラット構造」への改革を目指しています。キャディがメーカーと町工場の間に入り、受発注に纏わるあらゆる業務をサポートすることで、様々な取引コストを下げ、顧客への過度な依存を防ぐリスク分散、強みを活かした製品の製造による利益率の向上などを実現してきました。

また、今後は受発注業務を起点に、製造業が抱える様々な課題解決につながる新しい事業も展開していきます。例えば、図面管理のソフトウェアサービスや、取引データを基盤にしたファイナンスサービスなどを検討中です。

四半期で採用目標人数160名を掲げる理由、目標達成のための工夫とは?

── 四半期で採用目標人数160名を掲げているとお伺いしました。現段階でここまで採用数を増やしている背景はなんでしょうか?

原:キャディでは、モノづくり産業のポテンシャルを解放していくために、2030年までにグローバル1兆円企業を目指しています。キャディのビジネスモデルはオンラインだけで完結せず、オフラインで人手をかけるオペレーションと融合した「Whole Product」の開発が肝です。その為に必要な機能は非常に多岐に渡るのと、短期間での急成長を目指している為、四半期で160名の採用を目標としています。

2021年11月時点で、弊社の従業員は約240名。2021年2月時点では約80名だったので、3クォーター(約9ヵ月)で約160名を採用し、従業員数を約3倍に増やすことに成功しました。


採用目標人数を追うのはもちろんですが、当然誰でもいいわけではありません。キャディでは、「適切な人材採用」を重視しています。キャディにおける適切な人材とは、「ミッションに共感して、バリューやカルチャーを体現できる」人材です。

キャディだけでなく企業や組織を運営する中で、「適切な人材採用」はミッションをクリアしていくための最重要項目のひとつだといえるでしょう。

ちなみにこの期間の採用活動は、採用チーム9名で対応。その内訳としては、エンジニア採用担当者2名、ビジネスサイド担当が5名、残り2名がオペレーションを担当しています。

── 約9ヵ月で約160名の採用はとても大変だったと思います。この採用数を達成するために、広報面ではどのような工夫をされたのでしょうか。

原:大きく分けると工夫としては2点です。

まず、Webサイトの構成を見直し、最適化しました。採用候補者からのフィードバックや辞退者の傾向をもとに「求職者がホームページを見る段階で、どのような情報を欲しているか?」をリサーチしました。

キャディインタビュー3

また、事業規模が拡大していく中で「キャディさんにはすでに優秀なタレントがそろっているから、自分が活躍できる余地がないのでは?」という声が上がった時期がありました。

そこで作成したのが『兆単位プラットフォームへの10の課題』です。

実際にいまキャディが掲げている課題を提示して、「あなたが活躍できる場所が具体的にこういう所にありますよ!」と伝えるコンテンツに仕上げました。

具体的には、

  • 課題の詳細
  • 担当していただきたい業務内容
  • 現在課題に取り組んでいるメンバーの紹介

などを記載しています。

私たちとしては「まだまだ課題だらけなんだから、活躍できる場所があるよ」という感覚ですが、それは言葉や数字などで表していかないと伝わらないですよね。だからこそ、このコンテンツを作成しました。

私たちは億単位ではなく、兆単位の事業を創ろうとしています。けれども、現時点ではまだ1%にも届いていません。

このミッションの達成には、今キャディが抱えている課題に向き合ってくれる人材が必要です。コンテンツを見て、「自分はこの課題に挑戦したい!」という方に応募していただければと考えています。

プレスリリースから新たな仲間を見つける

── 2021年8月に80.3億円の資金調達を成功した際、プレスリリースに採用情報のリンクを貼られていたのがとても印象的でした。このような施策を行われた背景は何だったのでしょうか?

資金調達に成功したことは有難いですし、期待されている証拠だと思います。多くの方に資金調達成功を伝えるタイミングで、何をアピールしたいか?と考えた時に、これからキャディを一緒につくってくれる新たな仲間を見つけたいと思ったんです。

キャディインタビュー4

資金調達はキャディの認知が広がるタイミングだったため、そのチャネルを最大限に活かそうと考え、プレスリリースに採用リンクを掲載しました。新しい人材との出会いのフックになればという思いでしたね。

資金調達をしたこと自体に何かバリューがあるというより、それを通じて、「より新しいチャレンジが生まれるのではないか?」「その資金を活用して自分だったらこういうアイデアを実現できる」と挑戦意欲を掻き立てられるといいなと考えていました。

そのため、より具体的にキャディが今後どういうビジョンと戦略を掲げていくのかを知っていただけるように、プレスリリースに採用リンクを掲載したと同時に、各部門のビジョンや戦略について記載したnote記事を採用サイトに掲載し、併せて代表の加藤をはじめ弊社の各メンバーがSNSで拡散告知をしました。

── 実際に採用面では効果は感じられましたか?

プレスリリースや各メンバーのSNSによる採用効果はあったと感じています。資金調達のプレスリリース配信後約1ヵ月間は、自社サイト経由の流動が通常の約2.5~3倍になりました。

また同時に、プレスリリース配信と併せて、投資家や弊社メンバーが登壇してキャディとキャディの各部門が描くビジョンや戦略に関して詳細を語るイベントを合計9回開催しました。

採用重視だからこその情報発信量。そして採用基準は落とさない。

── ここまでお話をお伺いしてきて、キャディさんはBtoB企業のなかでも特に発信数が多いと改めて感じました。

たしかに、弊社は情報発信量が多い方だと思います。その理由は大きく分けると2つあります。

まず、製造業界はIT業界などと比べると歴史が深い業界である点です。歴史ある業界の中で新たなビジネスを展開していくには信頼がとても重要です。情報発信を増やしてどこかで認知していただけていることによって、キャディに対する信頼度が大きく変わります。

テレビ番組の「ガイアの夜明け」に出演させていただいたり、各メディアで情報を発信していく中で、少しずつ「キャディ」という名前が広がってきました。そうすると、「お名前聞いたことがあります」「ガイアの夜明けに出演されていましたよね?」など、お話が進みやすいんです。

また、採用を重視しているからこそ発信数は多くなっています。まず、キャディのことを知ってもらって、企業自体や事業内容などに興味を持ってもらうことが、採用への第一歩ですからね。

── 今後の採用面において、どのような目標を掲げていらっしゃいますか?

コアである受発注の領域を中心に2030年にグローバル1兆円企業となることを目標としています。その為に受発注以外の製造業界が抱える様々な課題を解決するサービスの開発・展開も進めていきます。

この目標を達成するため、今後3年間で1,000人体制の企業づくりに取り組んでいきます。1,000人規模の会社ともなると、多様で規模の大きい組織を運営していくための新しい仕組みやカルチャーの適合など多くのことが必要となるでしょう。これを早急に進めていくためにも、新しい優秀な仲間の参画が更に必要です。

しかし、ただ採用人数を増やせばいいというお話ではありません。短期間で急拡大することで、組織における様々な歪みやトラブルが起こりやすいと考えています。

だからこそキャディでは、MVC(ミッション・ビジョン・カルチャー)にフィットした人材の採用を大切にしています

ミッションへのコミットメント、呼吸をするように自然なバリューやカルチャーの体現が根付いていれば、多少の歪みやトラブルが仮に起こったとしても、組織が自律的に解決していけるからです。

「採用はワイシャツの第一ボタン」と言われるように、入り口(採用)の段階で間違えると、後から修正することはとても難しくなります。そのため、弊社ではいかにスキルがあっても、MVC(ミッション/バリュー/カルチャー)がフィットしていなければ原則採用はしません。

採用基準を落とさないということに、しっかりこだわり続けていきたいですね。

キャディインタビュー5

キャディ株式会社から学ぶ採用戦略まとめ

  • 採用を重視するからこそ「発信」が大切。一見採用に無縁のプレスリリースも、新たな人材との出会いにつながる
  • どんな困難も乗り越えていくために、MVC(ミッション・ビジョン・カルチャー)に共感/体現できる「適切な人材の採用」が最重要

今後3年間で1,000人体制の企業づくりに取り組むキャディ。このミッションを確実に達成するために、一見採用とは無縁の「資金調達のプレスリリース」に採用リンクを貼るなど、独自の施策を実施。加えて採用コンテンツ「兆単位プラットフォームへの10の課題」を通じて、自社が現在抱える課題や活躍している社員の姿を伝え、多くの人材との接触機会を実現してきました。

採用への第一歩として認知度拡大を目的とした情報発信を継続するのも重要ですが、キャディが最も重要視するのは「カルチャーフィットした人材」の採用です。

従業員数が増えるからこそ起こりうる歪みや、さまざまな課題と向き合うためには、キャディが掲げるミッションに共感して、ともに走れる人材の採用が不可欠。

「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」というミッションを達成するために、MVCに共感できる「適切な人材の採用」を軸とする大切さが強く感じられました。

(撮影:原 哲也)

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この記事のライター

笹まい

笹まい

専門商社などで営業職・営業アシスタントの経験を積んだ後、副業からライター活動をスタート。現在はフリーランスライターとして活動中です。広報・採用担当経験が浅い方にも伝わる、読みやすくてわかりやすい記事をお届けします。

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