トレンドの移り変わりが早く、ブランド競争も激しいコスメ・化粧品業界。
そのなかで広報PR担当者は、企業の顔としてブランドの魅力やメッセージを社会に届ける重要な役割を担っています。新商品の発表やキャンペーンの企画、メディア対応やSNS発信など、華やかに見える活動の裏には、正確な情報設計と戦略的なコミュニケーション力が欠かせません。
本記事では、コスメ・化粧品業界の広報PR担当者の仕事の内容を解説。実際にどのような業務を解説しながら、ジャンル別広報活動のポイントや、広報PR担当者が身に付けたいスキルや仕事に役立つ視点を詳しく紹介します。コスメ・化粧品業界の広報PR担当者を目指している人や、これからキャリアを築きたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
近年、コスメ・化粧品業界で広報が重視されている理由
美容トレンドの移り変わりが早い今、化粧品ブランドの広報活動は、単なる情報発信の域を超え、「ブランド体験を設計する戦略領域」として重視されるようになっています。
新製品の発表やキャンペーン情報だけでなく、ブランドの世界観やサステナブルへの取り組みを含めた総合的なストーリーテリングが求められるようになりました。SNSや口コミの影響力が非常に大きい化粧品業界では、発信する言葉の一つひとつが購入意欲に直結するため、広報の役割はこれまで以上に精度と戦略性が問われているといえるでしょう。
美容トレンドと広報の役割変化
かつての化粧品広報は「新商品の紹介」が中心でしたが、近年は「社会的テーマとブランドの姿勢をどう伝えるか」が重視されています。ジェンダーレスコスメ、エシカル消費、SDGs対応など、時代の価値観に寄り添う発信は不可欠です。さらに、ユーザー参加型キャンペーンやUGC(ユーザー生成コンテンツ)を活用した発信も拡大しています。
広報担当者には、単にニュースを伝える立場ではなく、社会とブランドをつなぐ“共感の設計者”としての役割が求められているといえるでしょう。
デジタル化・グローバル化が広報に求める新スキル
SNSやECの普及により、化粧品の情報は国境を越えて瞬時に拡散される時代になりました。これにより広報には、デジタルリテラシーとグローバルな感覚の双方が欠かせなくなっています。
オンライン発表会の企画運営や海外メディア向けのリリース翻訳、インフルエンサーとのコラボレーションなど、活動領域は年々広がっています。
特に多言語展開や越境ECを展開するブランドでは、各国の文化や法規制への理解、柔軟な適応力が広報戦略の鍵を握ります。
薬機法・景表法など規制環境が広報品質を左右する
化粧品の広報は、魅力的に見せる表現を工夫するほど、法規制との距離が近くなります。とくに薬機法では、化粧品として標ぼうできる効能効果や表現の範囲が定められており、「シミが消える」「治る」「若返る」といった医薬品的な断定表現はリスクが高い領域です。景品表示法の観点でも、「最安」「No.1」などの優良誤認・有利誤認につながり得る表示は、根拠がなければ大きな問題になり得ます。
さらに近年は、SNSや広告クリエイティブの量が増え、制作スピードも上がっています。その分、チェックが追いつかず、意図せずに違反しやすいのが実務の怖さです。広報品質を上げる近道は、単に表現を抑えることではなく、訴求軸を「使用感」「香りの印象」「開発背景」「生活者の課題」など安全に語れる領域へ設計し直すことです。法規制を前提にした企画設計ができるほど、表現の幅が狭まるのではなく、むしろ再現性のある広報体制になります。
コスメ・化粧品業界の広報PR担当者の仕事
コスメ・化粧品業界の広報PR担当者と聞くと、自社製品をテレビや雑誌、Webメディアなどで紹介してもらう仕事を思い浮かべる方も多いでしょう。実際、メディア露出を通じてブランドの認知度を高め、商品の話題化や売上拡大につなげるのは広報の重要なミッションの一つです。
しかし、広報PRの業務はそれだけにとどまりません。SNS運用やイベント企画、メディアリレーションの構築、情報発信の企画立案など、その役割は多岐にわたります。
まずは、コスメ・化粧品業界の広報PR担当者が担う主な仕事を具体的に紹介していきます。
新商品・サービスの情報をメディアや生活者に届ける
新商品・サービスの情報をいち早くメディアに届けるために、プレスリリースの作成から配信、メディアキャラバン、新商品の発表会などを実施します。広報PR担当者の仕事として、イメージが強い業務ではないでしょうか。
中でも、プレスリリースの作成や配信は、主にメディア関係者への情報提供とされていましたが、昨今では生活者の目にも触れるようになっています。その特性を効果的に活用し、多くの人に情報を届けるための機会としている企業も多いです。
【あわせて確認】
メディアからの取材・貸出依頼などの問い合わせ対応をする
多くの生活者に情報を届けるため、メディア側からの取材依頼や貸出依頼などへの対応はスムーズに行いましょう。記者や編集者とコミュニケーションを取りながら、メディア掲載へとつなげます。この対応が遅れると、紙媒体の場合は印刷関係などから締め切りも切迫しているため、別の企業の商品に変更する可能性がありますので注意が必要です。
メディアからの問い合わせは、美容系のメディア関係者が求めるものは何か、その読者が興味を持っているものは何かをリサーチする機会にもなります。円滑なメディアリレーションズは広報PRの仕事としてとても大切なことです。
【あわせて確認】
SNS運用で生活者とのハブになる
自社のタイミングで発信しやすいSNSは、コスメ・化粧品業界でも大活躍です。自社の新商品などの告知はもちろん、インフルエンサーを起用したイベントの告知など、活用方法は多岐にわたるでしょう。また、投稿企画なども重要ですが最新の美容情報やトレンドチェックにも使えます。
SNSを通じて、リアルな反応が見えたり、フォローしてくれている方とコミュニケーションを取れたりすることから、生活者との距離も近い業務です。こまめなフォロワー管理なども仕事のひとつ。円滑な運用ができるように整備しましょう。
【あわせて確認】
発表会などのイベントの準備・開催・アフターフォローをする
新商品・サービスの発表会やリニューアルに関する発表会などのイベントの準備、開催をします。広報PR担当者は、発表会やイベントの企画立案から運営、メディア関係者をはじめとする招待する人、メディアのリストアップ、参加者の対応などまでを担います。
開催後はすぐにお礼の連絡を入れましょう。イベントをきっかけにコミュニケーションが続くよう、アフターフォローすることは広報PR担当者の仕事としてとても重要です。
【あわせて確認】
デジタル配信・ライブイベント・インフルエンサー活用も担う
化粧品業界では、オンライン発表会やライブコマースなど、デジタルを活用した情報発信が主流になりつつあります。SNS上でリアルタイムに製品の魅力を伝え、コメントや反応を即座に分析するスピード感が求められます。
これらの施策は広報だけでなく、マーケティング担当者とも密接に連携しながら進めるのが一般的です。広報はブランドメッセージや表現トーンの統一を担い、マーケティングはデータ分析や効果測定を通じて次のアクションへつなげていきます。
また、インフルエンサーや美容系クリエイターとのコラボレーションも、広報活動の重要な領域となっています。彼らの発信は、従来のメディア露出と同等、あるいはそれ以上の効果を生むことも珍しくありません。
広報担当者は、ブランドの世界観を損なわないようコミュニケーション設計を行いながら、マーケティング部門と協働して最適な発信チャネルやコンテンツ形式を選定する必要があります。広報とマーケティングが一体となって動くことで、より信頼性と拡散力のある情報発信が可能になるのです。
社内連携(開発・薬事・EC・CS)と情報整備のハブになる
化粧品広報は、単独で完結する仕事ではありません。新商品を世に出すまでに、開発の意図や成分の背景、薬事確認が必要な表現、ECでの訴求ポイント、CSが受ける質問やクレームの傾向など、社内に分散した情報を束ねて一つの発信に落とし込む必要があります。ここが整っていないと、プレスリリースとLP、SNS投稿で言っていることが微妙にズレたり、問い合わせが増えて対応が詰まったりして、露出や売上の伸びより先に現場が疲弊します。
そこで重要になるのが、広報が「情報整備のハブ」になる設計です。たとえば商品ごとに、正しい呼称・推奨表現・NG表現、根拠資料、成分や製造の説明、よくある質問と回答、撮影素材一式、貸出やサンプルの運用ルールをまとめた“情報パッケージ”を持っておくと、配信後の取材対応や転載依頼もスムーズになります。広報が社内連携の要所を押さえ、情報の入口を一本化できるほど、発信スピードと品質の両立がしやすくなります。
コスメ・化粧品のジャンル別、広報PR活動のポイント
ひと言でコスメ・化粧品業界といってもさまざまなジャンルがあります。基本的にコスメ・化粧品は、どちらも容姿を整えることを目的としているものが多く、コスメも化粧品も意味合いは同じとされています。
しかし、プレスリリース配信をはじめとする広報PR活動では、基礎化粧品なのかメイクアップ化粧品なのかのジャンルを分けると情報が伝わりやすいです。この項目では、コスメ・化粧品を大きく3ジャンルに分けてポイントをご紹介します。

基礎化粧品
基礎化粧品とは、クレンジング・洗顔料・化粧水・乳液・美容液・クリーム・パックなど清潔に素肌を整えるための化粧品を指します。スキンケアプロダクツ、皮膚用化粧品ともいいます。
該当アイテム:クレンジング・洗顔料・化粧水・美容液・クリームなど
プレスリリースやそのほかの情報発信で使用する基礎化粧品の画像は、パッケージだけでなく、中身がわかるテクスチャーの画像を用意しておくとよいでしょう。また、成分がわかるイメージ画像などもあると伝わりやすく◎
最初に肌に触れる化粧品なので、イベントの開催時には使用感が試せるように商品またはサンプルを準備しておくことが大切です。
メイクアップ化粧品
メイクアップ化粧品は、素肌の上にのせて肌を美しく見せたり、パーツに色をのせて表情をはっきり見せたりする際に使う化粧品を指します。
該当アイテム:化粧下地・ファンデーション・アイシャドウ・アイブロウ・マスカラ・チーク・リップなど
プレスリリースでは、基礎化粧品と同様にパッケージのほか、中の色味がわかる色玉を掲載するとよいでしょう。モデルを使用し、メイクアップに使用したイメージ画像もあると読み手に伝わりやすいです。
オフラインのイベント開催などでは直接色味が試せるようにサンプルなどを用意、オンラインでもバーチャルメイクなどで使った感じがつかめるようにしておくとGOOD。
ヘア・ボディ・フレグランス
ヘア・ボディ・フレグランスは、スキンケアやメイクアップと比べて「香り」「質感」「使用タイミング」といった体験価値が購買の決め手になりやすいカテゴリです。だからこそ広報では、機能を強く言い切るよりも、生活者が使う場面を想像できる表現が成果に直結します。たとえばヘアなら、仕上がりの質感(さらっと、しっとり、まとまる感)やスタイリングの持続イメージ、ボディなら、肌当たりや伸び、ベタつきのなさ、フレグランスなら、トップ〜ラストの印象やシーン別の提案が重要になります。
また、香りは文章だけで伝えにくいため、ビジュアルと相性が良いカテゴリでもあります。原料の産地や季節性、香りを想起させる色味・モチーフ、使用タイミング(朝の身支度、運動後、就寝前など)をセットで提示すると、読者の理解が上がりやすいです。さらに、店舗やイベントでの体験導線(試香カード、サンプル、スタッフのコメント)や、SNSでの短尺動画・ASMR的表現など、五感を補助する工夫があるほど、単なる商品紹介から「体験の提案」へ格上げされます。
そのほか、産地別や企業規模に分けた発信
コスメ・化粧品を大きく分けると、上記の「基礎化粧品」と「メイクアップ化粧品」ですが、そのほかの分け方として、
- 産地別の商品として展開する
例:ご当地コスメ、韓国コスメ - 原料別の商品として展開する
例:有機栽培のみを使用するオーガニックコスメ - 販売場所別の商品として展開する
例:デパコス(デパートコスメ)やドラコス(ドラッグストアコスメ) - 価格別の商品として展開する
例:プチプラ(プチプラコスメ)
などのジャンルに分けて発信する方法もあります。このように分けて広報PR活動をする際は、関連性のある産地品や地域の特徴が伝わる情報や画像と一緒に発信すると効果的です。
時代に合わせた広報テーマ別アプローチ
コスメ・化粧品の広報PR活動では、商品ジャンルによって伝えるべきメッセージや打ち出し方が異なります。とくに近年は、社会的テーマや価値観に基づいた発信が重視されるようになっており、ブランドの姿勢そのものが評価の対象となっています。
次に、近年注目されている4つのジャンルの広報PRポイントを紹介します。
サステナブルコスメ
サステナブルコスメでは、「環境への配慮」や「社会との共生」をキーワードに、企業の理念や素材へのこだわりを具体的に発信することが大切です。再生可能資源の利用、動物実験を行わない姿勢、リサイクル可能なパッケージなど、取り組みを明確に伝えることでブランド信頼を高められます。
プレスリリースでは製品だけでなく、開発背景や企業活動全体のストーリーを交えて紹介すると効果的です。
クリーンビューティー
クリーンビューティーでは、「肌へのやさしさ」や「成分の透明性」を軸に、消費者が安心して使える理由を丁寧に説明しましょう。配合成分や製造過程をわかりやすく可視化し、専門用語に頼らず平易な言葉で伝えるのがポイントです。
パッケージデザインやブランドトーンも「清潔感」を意識して統一することで、ブランドイメージに一貫性が生まれます。
メンズコスメ
成長市場として注目を集めるメンズコスメでは、ターゲットに合わせた発信トーンの設計が重要です。プレスリリースでは「誰のどんな悩みに応える製品なのか」を明確に示し、機能性や使いやすさを中心に訴求します。
男性モデルを起用したビジュアルや、簡潔でスタイリッシュな言葉選びを意識すると効果的です。近年ではジェンダーニュートラルな表現も広がっており、時代に即した発信姿勢が求められます。
グローバル展開
海外市場への発信を行う場合は、国や地域によって異なる美容文化・嗜好・法規制を理解したうえでのローカライズが欠かせません。現地メディア向けに外国語でプレスリリースを作成する際は、直訳ではなく文化背景を踏まえた表現に調整することが大切です。
海外の展示会やグローバルインフルエンサーとの協業など、現地発信とオンライン拡散を組み合わせることで、より広範囲にブランドの世界観を伝えられます。
コスメ・化粧品業界の広報PR担当者として身に付けたい5つのスキル
多様化するメディア環境やSNSの発達により、コスメ・化粧品業界の広報PRには、より戦略的で発信力のあるスキルが求められています。単に情報を届けるだけでなく、「ブランドの価値をどう伝えるか」「どんな形で共感を生むか」が鍵となります。ここでは、広報PR担当者として実務で役立つ5つのスキルと、その活かし方について紹介します。

トレンドキャッチ、リサーチ力
広報PR担当者にとって欠かせない、トレンドキャッチやリサーチ力は身に付けておきたいスキルのひとつ。中でもトレンドの流れが速い美容業界の広報PR担当者は日頃からアンテナを張っている方が多いのではないでしょうか。
世の中の流れを知るためのニュースをチェックすることはもちろん、昨今ではSNSを活用したリサーチも重要になっています。こまめに関連するキーワードの情報をチェックしておきましょう。
正しい情報発信ができる文章力
自社の商品・サービスを伝えるためには、基本的な文章力は身に付けておきたいですよね。広報PR担当者として、プレスリリースの作成だけでなく、SNSを活用して自社のアピールを行う機会も増えています。
コスメ・化粧品業界に限ったことではありませんが、わかりやすい文章で発信することは重要です。集めた情報をまとめて、周りの人にわかりやすく伝えられるよう、基礎的な文章の組み立て方を学び、部署内で確認し合いながら発信する文章をブラッシュアップしましょう。
コミュニケーションスキル
コスメ・化粧品の商品・サービスに関する情報を的確にメディア関係者に伝える役割がある広報PR担当者。メディア関係者だけでなく、社内外問わずさまざまな人とコミュニケーションを取る機会が多いのではないでしょうか。多くの人と円滑な関係を築けるように、日頃から周りの人との挨拶や会話なども意識してみると自然にコミュニケーションスキルが磨かれます。
コスメ・化粧品業界を問わず、広報PR担当者に必要なスキルは以下の記事から確認いただけます。
データ分析・KPI設計力
データをもとにした広報活動は、経営層への説明責任を果たすだけでなく、ブランド戦略の改善サイクルを生み出します。数値分析を苦手とする広報担当者も、GoogleアナリティクスやSNS分析ツールを活用し、成果を言語化できるスキルを磨きましょう。
ブランドストーリーテリング力
化粧品広報において、情報の正確性と同じくらい重要なのが「ブランドの物語をどう語るか」です。製品の開発背景、研究者の想い、原料産地のストーリーなどを組み合わせ、読者が感情的に共感できる「語り口」を設計することが鍵になります。
特にSNS時代の広報では、短いコピーや動画でもブランドの世界観を感じさせる表現力が求められます。単なる情報発信ではなく、「共感を生むストーリーづくり」によってファンを増やすことが、広報担当者の新たな使命といえるでしょう。
危機対応力
化粧品業界では、「薬機法に抵触する表現」や「SNSでの誤解」など、炎上リスクが常につきまといます。広報担当者には、危機が発生した際の初動判断力と、再発防止のためのガイドライン整備能力が必要です。
また、平時からの危機管理も欠かせません。薬事・法務・SNS運用チームと連携し、想定リスクごとに対応フローを整備しておくことで、いざというときにブランドの信頼を守ることができます。
コスメ広報で特に重要な「ルール」とリスク管理
コスメ・化粧品の広報活動は、商品の魅力を最大限に伝えることと同時に、ブランドの信頼を守る役割も担っています。とくに化粧品は、肌や身体に直接使用される商材であるため、表現のわずかな違いが誤解や不安を招きやすく、炎上やクレーム、行政指導につながるリスクも常に隣り合わせです。そのため、成果を出す広報ほど「攻めの施策」と「守りのルール」を両立させる設計が欠かせません。
そこで次に、薬機法や景品表示法、ステルスマーケティング規制といった法令面の基本に加え、インフルエンサー活用やUGC運用における契約・表示の考え方、さらに炎上やネガティブ事象を未然に防ぐためのチェック体制や初動対応までを整理します。単なる注意事項の列挙ではなく、広報活動を安定的かつ継続的に推進するための「実務としてのリスク管理」を明確にすることで、安心して施策を展開できる土台を整えていきましょう。
薬機法・景品表示法・ステマ規制に配慮した表現設計
化粧品広報のリスクは、派手な炎上だけではなく、日常的な表現の積み重ねで起きます。薬機法では、化粧品として言える範囲の効能効果が限られるため、断定表現や医薬品的な言い回しを避けることが基本です。
景品表示法の観点では、比較優位や実績訴求をするなら、根拠と表示方法がセットで求められます。ステマ規制に関しても、広告であることが分かる表示を適切に行わなければ、ブランド全体の信頼を損ねるリスクが高まります。
重要なのは「NGを避ける」だけではなく、「何をどう語ると安全か」を事前に設計することです。具体的には、訴求軸を「効果」から「使用体験」へ寄せる、根拠を提示できる領域(開発背景、設計思想、成分選定理由、使い方の工夫)でストーリーを組み立てる、比較表現をする場合は指標・条件・根拠を明示する、といった方針が有効です。表現設計が固まるほど、制作スピードが上がり、運用中のブレも減っていきます。
インフルエンサーやUGC活用時の表示・契約・運用ルール
インフルエンサー施策やUGC活用は、拡散と共感を生みやすい一方で、ルールが曖昧だと炎上や契約トラブルに直結しやすい領域です。まず押さえるべきは、広告であることを生活者が判断できる表示を徹底することです。どの投稿が広告か、何をもって「タイアップ」とするか、表示の位置や文言、ストーリーズや動画内表示の扱いなど、媒体ごとの実装ルールまで落とし込む必要があります。
契約面では、投稿本数や納期だけでなく、修正回数、事前承認の要否、使用できる表現、NG表現、投稿後の二次利用範囲(期間・媒体・出稿可否)、競合排他、削除対応、炎上時の連絡・対応義務などを明確にしておくと、運用が安定します。
運用面では、ギフティングの管理、投稿のログ、投稿後の反応分析、コメント対応方針までを一つの「運用ルール」として整備しておくと、施策が属人化せず、次回にも再利用しやすくなります。
炎上・誤解を防ぐチェック体制:表現審査・監修・承認フロー
炎上対策は、起きてからの対応より、起きない確率を上げる運用設計が重要です。その中心がチェック体制で、広報が担うべき役割は「誰が、何を、どの順番で確認するか」を迷いなく回せる状態にすることです。化粧品の場合、薬事や法務が見るべきポイントと、ブランドトーンや社会感度として広報が見るべきポイントが混在しがちなので、チェック観点を分けて整理すると効率が上がります。
たとえば、表現の適法性は薬事・法務、誤解を招く言い回しや比較表現は広報、画像やキャプションの整合性は制作、最終の発信判断は責任者、といったように役割を明確にします。加えて、承認フローは「例外なく同じ運用」にするのではなく、緊急性や露出規模に応じて簡易フローと通常フローを用意しておくと、スピードと品質のバランスが取れます。チェック体制は、広報品質を守るためのコストではなく、ブランド信用を積み上げるための投資として位置付けることがポイントです。
ネガティブ投稿・不具合発生時の初動と再発防止
化粧品は肌に直接触れる製品が多く、ネガティブ反応が出たときの影響が大きいカテゴリです。だからこそ、初動を「担当者の判断」に寄せすぎず、事前に基準を決めておく必要があります。
たとえば、健康被害の疑い、品質不良、誤解を招く拡散、インフルエンサー投稿の炎上など、事象別に「一次受けは誰がするか」「どの部署へいつエスカレーションするか」「対外コメントの判断者は誰か」を定義しておくと、対応が遅れにくくなります。
再発防止は、謝罪文を出して終わりではなく、原因を「表現・設計・運用のどこにあったか」まで分解して改善することが重要です。たとえば、誇張表現が原因なら表現ガイドラインの改定、問い合わせが殺到したならFAQと情報整備、特定の誤解が広がったならビジュアルと説明順の再設計、といった具合に打ち手を具体化します。
危機対応を「ブランドの信頼を守る運用」として平時から整備しておくことが、結果的に広報活動の自由度を上げることにもつながります。
コスメ・化粧品業界で広報PR担当者になるためには?
広報PR担当者を目指すためにはどんなことが必要なのでしょうか。この項目では、業界問わず必要な基本的なことから、特にコスメ・化粧品業界の広報PRを担うために欠かせない3点をご紹介します。
自社商品・サービス、業界知識を深める
自社の商品・サービスを広報PRするためには、自分自身の知識を誰よりも深める必要があります。商品・サービスだけでなく、属する業界を学ぶことも大切なことです。特にコスメ・化粧品業界では、広報PR活動をする際に薬機法をはじめとするルールを把握しておくとよいでしょう。
以下の記事では、化粧品・コスメの広報PR活動で気を付けたい薬機法やそのほかのルールについて解説しています。
経営層や他部署との信頼関係の構築
経営者の視点や他部署の情報を知っておくと、広報PR活動がスムーズに行えます。経営層の考えを知ることは会社の動きを知ることにもつながりますし、他部署との連携は社内情報を集めるきっかけにもなります。特にコスメ・化粧品業界は商品やサービス数も多くトレンドの流れも速い業界です。経営層や他部署と信頼関係を築き情報を発信していきましょう。
企業が一体感を持って自社の商品・サービスを広報PRするためのハブとして、広報PR担当者がその役割を担うことも少なくないはず。以下の記事では、他部署と連携するためのTIPSを紹介しています。
自社に役立つ専門知識を学ぶ
自社が得意とする専門があれば、その知識を習得するのもひとつです。コスメ・化粧品業界であれば、薬機法などはもちろん、日本化粧品検定などもおすすめです。
そのほか、オーガニックコスメを展開している日本企業であればJOCA認定オーガニックコスメ・アドバイザー、メイクアップ化粧品を打ち出している企業であれば、JMAメイクアップ技術検定などに挑戦するのも一案です。
下記の記事では、広報PR担当者としてスキルを向上させるために取得しておきたい資格を解説しています。ぜひ参考にしてみてくださいね。
自社に合ったスキルを取得し広報PR担当者を目指そう
本記事では、コスメ・化粧品業界の広報PR担当者の仕事を紹介してきました。仕事内容を把握したうえで、コスメ・化粧品業界で広報PR担当者になるためには、まずは企業の商品・サービスの知識を深めることが大切です。そのうえで必要なスキルアップを目指してみましょう。
ひと言でコスメ・化粧品業界といっても、大きく分けると2ジャンルになりますが、細分化するとさまざまなカテゴリーがあります。自社に合った情報を届けられるようにしましょう。
【関連記事】
コスメ・化粧品業界に必要な広報PRスキルに関するQ&A
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