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広報PRにおける効果測定とは?指標の決め方・8つの効果測定方法・ポイントを紹介

広報PR活動における効果測定に難しさを感じている人も多いでしょう。経済広報センターが2018年に実施した「第13回 企業の広報PR活動に関する意識実態調査」(※1)によると、企業の広報担当者の71.4%が「広報・PR効果の測定が難しい」と回答しています。

しかし、広報PR活動を改善していくために効果測定は非常に重要なポイントです。

本記事では、広報PR活動における効果測定を行う方法、指標の決め方や注意点について紹介します。
(※1:「第13回企業の広報活動に関する意識実態調査」一般財団法人経済広報センター)

広報PRにおける効果測定を行う意味とは?

とは?

広報PRにおける効果測定とは、「施策の効果を定量的に評価して、施策の方向性を確かめたり、施策の改善を行うこと」です。

  • プレスリリース配信による反響など、メディア側から能動的に興味を持ってもらえた「プル」の成果
  • メディアキャラバンや記者発表会など、メディアアプローチを行って露出や関心につながった「プッシュ」の成果

それぞれの広報PR活動の結果を定量的に把握することで施策を改善し、よりよい広報PR活動につなげることが可能です。

効果が定量的に示されていれば、予算を設定する際の根拠にもなります。

広報PR活動における効果測定は、施策の効果を確かめ改善していくため、そして予算を検討するために重要なことだと言えます。

広報PRにおける効果測定を行う流れは?

広報PR活動における効果測定を行うためには、事前に目的・目標を整理してからそれぞれの達成度合いを測る指標を設定する必要があります。

どのような流れで効果測定の準備を行うか、4つのステップに分けて解説します。

STEP1.理想と現状のギャップを分析し、広報PR活動の方針を決める

「現状はどのような印象を持たれているか」を仮説でもいいので言語化し、理想とする状態と現状の間のギャップを明らかにします。

3C分析、SWOT分析などの古典的なフレームワークを活用し、競合や市場全体などの状態を分析してもよいでしょう。

自社の経営戦略やブランド戦略なども確認しながら、年度ごとや半期ごとなど、一定のスパンを見据えて広報PRチームとしてどのような状態を目指していくかを決めます。

STEP2.広報PR施策の見通しを立て、目的を整理する

全体の方針を確認しながら、年間広報計画などを鑑みて今後行っていく広報PR施策の具体的な見通しを立てます

それらの施策を通して「誰に」「どのような変化を与えたいか」、各ステークホルダーごとに理想とする状態を表などで整理し、目的を明確にしておきましょう。

STEP3.目標と、その達成度合いを測る指標を設定する

施策とその目的が整理できたら、施策ごとに目標と指標を設定します。指標の例については後述しますが、いずれにせよ定量的に評価できるものを設定しましょう。

企業のフェーズや規模によって、適切な指標は異なります。大規模なイメージ調査など、測定自体に費用や工数がかかるものもあるため、自社の状態やリソースを踏まえて実現可能な目標を設定しましょう。

STEP4.目標設定について、経営陣とのすり合わせを行う

広報PR活動は経営と密接に関わり合っています。広報PR活動の目標設定、指標については、経営陣ともすり合わせを行い、会社全体の方針とズレが生じていないか確認できるとよいでしょう。

経営陣と日頃からコミュニケーションが活発でない場合は特に、目標のすり合わせを通して広報PR活動について意識的になってもらうきっかけにもなります。

経営目線とのすり合わせの重要性は、「広報戦略」について解説したこちらの記事でも詳しくお伝えしています。

広報PR施策の効果測定を行う指標・方法の例8選

次に、広報PR施策の指標になるものや、効果測定の方法としてよく利用されているものをそれぞれ解説していきます。

効果測定イメージ01

1.メディア掲載数

広報PR活動を始めたばかりの企業などでは特に、自社の情報がメディアに掲載された数そのものを指標とすることが多いようです。

取材を受けず、プレスリリースをもとにストレートニュースとして記事に取り上げられた場合などは、クリッピングサービスを活用して露出をチェックする必要があります。

Webメディアであれば、Googleが提供する「Googleアラート」や株式会社PR TIMESが運営する「Webクリッピング」を活用することで、指定キーワードを含む記事を自動で収集できます。

2.広告換算値

代表的な効果測定の指標として挙げられることも多いのが広告換算値です。

メディアの知名度や発行部数(WebメディアであればPV数)、掲載された記事の文字数(TV番組であれば秒数)などの掲載量を測定し、同内容で広告を出稿した場合の費用に換算。露出によるインパクトを測り、広報PR施策の効果を可視化します。上記で紹介した「Webクリッピング」など、広告換算値を自動で測定してくれるツールもあります。

各メディアが広告主に向けて公開している媒体資料から費用を算出するほか、PR会社などが独自で広告換算値を割り出してまとめている資料もあります。換算のロジックが実態と異なっている場合もありますので、数値そのものはあくまで参考程度に考えることをおすすめします。

3.記事の論調分析

新聞や雑誌などのメディアで報道された記事の内容(クオリティ)を、定量的に分析することを「論調分析」といいます。

具体的には、

  • 実際に掲載されたメディアの記事や番組で、自社について書かれた文字数(秒数)に応じてランク付けする
  • 好意的/中立的/批判的といったメディアのスタンスをそれぞれ得点化する

などの手法が挙げられます。

メディアのスタンスを得点化する場合は、基準が属人化しないよう「自社や自社のサービスを推奨する記述があれば〇点」など根拠を明確にする必要があります。

上述した「メディア露出数」が安定して獲得できるようになったフェーズで、より踏み込んだ分析として論調分析を行うとよいでしょう。

4.自社サイトのPV数や指名検索数

プレスリリースやメディアに掲載された記事を経て、自社への認知変容や行動変容にどの程度つながったかを測る指標として「自社の指名検索数」「自社サイトへのアクセス数が挙げられます。

※指名検索とは、企業名やサービス名がインターネット上で検索されること

指名検索は、「ユーザーが企業やサービスに興味を持った」と解釈することができる指標です。

メディアに掲載された記事数が把握できたら、その後どのように指名検索数や自社サイトへのアクセス数が増えたかも確認し、好影響を与えられた露出がどのようなものかについても把握しておきましょう。

5.SNSのリアクション件数

SNSを広報PR活動の一環として利用している場合、SNSのリアクション件数も指標となります。

ユーザーが記事を目にした回数(インプレッション)や、いいね数・シェア数などのエンゲージメント率を測ることにより、ユーザーに好印象を与える発信の傾向を把握します。ユーザーのプロフィールが確認できるSNSは、メッセージが伝えたい相手に届いているかを含めて確認することも可能です。

各SNSの効果測定の方法については、以下の記事からご確認ください。

【あわせて読みたい】

▶Instagramの効果測定の方法は?広報がチェックしたい5つのKPI

▶Twitterの効果測定の方法は?広報が確認したい5つのKPI

▶Facebookの効果測定の方法は?広報が確認したい5つのKPI

▶YouTubeの効果測定の方法は?広報が確認したい5つのKPI

6. 問い合わせ・資料請求の件数

問い合わせや資料請求の件数も、広報PR活動の効果を測る指標になります。

広報PRチーム独自のURLやメールアドレス、電話番号などを設定しておけば、プレスリリースやメディアへ掲載された記事経由で問い合わせ・資料請求が入った際に、広報PR活動による反響として捉えることができます。

また、カスタマーサポートの部署と連携して「何を見て問い合わせをしてくれたか」を確認する、Webページにタグを設定して流入元を把握するといった計測方法も考えられます。

7. メディア・オーディット(ヒアリング調査)

重要メディアの記者や各分野のオピニオンリーダーなど、企業経営や社会全般に関する知見を持った人を選び、自社や自社が属する業界に関して印象・見解・意見などをインタビュー形式で聞き取る定性調査の方法を「メディア・オーディット」といいます。

第三者から専門性が高く客観的な意見が得られるため、自社の活動を見直す好機となります。

調査を行う際は、有益なフィードバックとなるよう事前に専門家へのヒアリング項目を吟味することが重要です。

8. イメージ調査

企業に対してステークホルダーがどのような評価やイメージを抱いているか、アンケート調査により定量的に把握するイメージ調査も、広報PR活動の効果測定として効果的です。

調査会社に委託するほか、イベント時やインターネットを通じて自社独自で調査を行うことも可能です。

イメージ調査は、定期的に実行することで大きな傾向をつかむことができます。費用や工数がかかる方法ではありますが、年に一度など頻度を決めて定期的に行えるとよいでしょう。

効果測定イメージ02

広報PR施策の効果測定を行うときの3つのポイント

広報施策の効果を測定できたら、改善のアクションにつなげていくことを念頭に評価を行いましょう。

効果測定を行う際に注意しておきたい3つのポイントを紹介します。

ポイント1.インプット、アウトプット、アウトカム分類する

広報PR施策の効果測定を行う際は、インプット(活動)、アウトプット(露出)、アウトカム(貢献)の3つに分けて効果測定を行うと、本質的な改善策を考えやすくなります。

インプット……プレスリリースの配信数、企画書作成数など「自社が行った広報PR活動」

アウトプット……メディアに掲載された件数など、「メディアに与えた影響」

アウトカム……指名検索数など、「掲載を通じてステークホルダーに与えた影響」

インプットに関する指標ばかりに注目しコストを使いすぎると、本来目指すべきアウトカム(ステークホルダーの態度変容につながった結果)がわかりにくくなります。インプット・アウトプット・アウトカムそれぞれに目標を設定し、リソースを最適な形で配分することが重要です。

ポイント2.事業、企業のフェーズ変化に応じて指標を見直す

広報PR活動は経営課題に紐づいているため、広報PR活動の指標は企業の成長フェーズに応じてその都度見直す必要があります。

導入期、成長期、成熟期、衰退期など、それぞれの段階に応じて広報PR施策が変わったら、それに合わせて指標も変更しましょう。

例えば、導入期はメディア露出数を広くチェックし、成長期は重要メディアへの掲載件数とその内容を指標に。成熟期にはPV数や問い合わせ数など購買につながる数値、衰退期にはイメージ調査の結果を踏まえてリブランディングを検討するなど、フェーズに応じて指標も見直します。

ポイント3.再現性を意識する

分析して終わりではなく、効果のあった施策は再現できるようにナレッジを整理しておくことも重要です。

メディア掲載数を指標にしている場合も、件数を記録するだけでは次に生かすことができません。各メディアに取り上げられたタイミングや、メディア関係者に興味を持ってもらえた要因の推察など、今後の広報PR活動の参考となる情報もあわせてまとめておきましょう。

連携するイメージ

実際に各企業の広報PR担当者が使っている指標の事例

企業の規模やフェーズによって最適な指標はそれぞれ異なると説明しましたが、参考までに各企業の広報PR担当者が広報PR活動の効果測定で実際に活用している指標についても紹介します。

株式会社ビビッドガーデン(産直EC「食べチョク」運営)

株式会社ビビットガーデン 広報 下村 彩紀子さん

「代表とマーケティング担当者と会議をしながら、『結果指標』露出指標』行動指標』の3つを設定しています。

結果指標はGoogleの指名検索数、露出指標は注力したいメディアの掲載数。そして行動目標は、プレスリリースやニュースレターの本数、メディアとの新規リレーション数です」

※上記インタビュー記事より抜粋

ブラザー工業株式会社

愛知県を拠点とするグローバル企業でありながら、①東海3県以外での認知の低さ、②若年層における認知の低さが課題だったという同社。

2018~2021年の期間においてメディア露出における広告換算値を1.5倍にすることと、メディアアプローチによるTV番組(全国放送)への出演を目標として設定し、広報PR活動に取り組みました。

自社のフェーズと課題に合った広報PR活動の指標を設定しよう

広報PR活動における効果測定を行うためには、まず目標設定から始める必要があります。自社の成長フェーズを考慮しながら、経営者と連携しつつ、どのステークホルダーに向けて施策を実施するか優先順位を明確にしながら目標を設定しましょう。

その後、設定した目標に合った施策と指標を決めます。指標は「行動」「結果」「影響」に分けて分析することで、リソース配分の最適化など広報PR活動の改善につなげることができます。

本記事で紹介した指標や方法を参考にしながら、自社の広報PR活動の効果測定を行ってみてください。

<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>

広報における効果測定に関するQ&A

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この記事のライター

坂下 彩花

坂下 彩花

合同会社KOUYO代表。スタートアップ企業で広報と人事を兼務しながら、広報業務を一通り経験。提供する情報がない中での企画作り、メディアアプローチが強みです。これまでの広報経験を生かして広報担当者さんの役に立ちたいと思いPRTIMES MAGAZINEに参画。現在シェアハウスの愉快な仲間たちと賑やかに暮らしています。

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