2021年にプレスリリース発信文化の普及と発展を目的とし始まった「プレスリリースアワード」。420件のエントリーのなかから選ばれた8社を称え、2021年12月20日に授賞式が開催されました。この記事では、授賞式の様子をご紹介します。
プレスリリースアワードとは
プレスリリースアワードとは「行動者発の情報が、人の心を揺さぶる時代へ」をミッションとするPR TIMESが立ち上げました。プレスリリースというPR活動の認知向上と民主化を図ると公言している企業ならではのアワードです。
1.プレスリリース発信文化の普及と発展を目的とする
プレスリリースの発信が、企業の業態や規模、地域、法人個人を問わず広がること。そして、表現方法や用途についても多様化していくことを目指し、プレスリリース発信文化の普及と発展を目的としています。
2.プレスリリースの開拓者の挑戦と貢献を賞賛する
大賞や最優秀賞は設けず、一つひとつの異なる魅力に着目して表彰します。用意されているのは8賞です。また、これまではプレスリリースの執筆者自身に着目されることは多くありませんでしたが、発表を担う担当者に光を当てていきたいという想いも込められています。
- イノベーティブ賞:既成概念に縛られずプレスリリースの表現や用途を最も拡大したプレスリリースに贈る賞
- インフルエンス賞:発信と活用により社内外へ最も広く好意的な影響をもたらしたプレスリリースに贈る賞
- ソーシャル賞:社会とのつながりを表現し深めることに最も貢献したプレスリリースに贈る賞
- パブリック賞:情報の平等と信頼を実現することに最も忠実なプレスリリースに贈る賞
- エンパシー賞:受け手の心を動かし共感を育むことで最も飛躍したプレスリリースに贈る賞
- ヒューマン賞:プロダクトや社員、顧客に対する愛と情熱が最も感じられるプレスリリースに贈る賞
- ストーリー賞:人に語りたくなるストーリーを最も有しているプレスリリースに贈る賞
- 特別賞:上記賞にあてはまらないが表彰したいプレスリリースや発表者の行動を讃える賞
3.評価される情報発表を知り、学び、高め合う機会を提供する
客観的に評価される情報発表のかたちを知り、学ぶことで、高め合う機会になります。プレスリリースに絶対解はなく、情報を発信する一人ひとりが想いを込めて作成していることが前提です。しかし、届けたい相手に伝えることができていて評価される情報発表には学ぶ点があり、ある種の納得解かもしれません。また、受賞者のエピソードはプレスリリースに対する熱量を高めることにもつながります。
4.独立した立場から判断できる審査員で構成する
メディア関係者、PRの専門家、PRの学術的研究者など、それぞれの観点から意見できる8名の審査員が選ばれています。PR TIMES主催ではあるものの、独立した立場から審査できるようPR TIMES関係者は1名のみという構成です。
プレスリリースアワード2021受賞作品
2021年は、2021年10月28日~11月25日の約1カ月の間に420件がエントリー。対象8賞のうち、7賞8社が受賞しています。ここでは、受賞作品を例にプレスリリースのポイントを解説します。
インフルエンス賞:株式会社AOKI
発信と活用により社内外へ最も広く好意的な影響をもたらしたプレスリリースに贈る賞
- 歴史ある会社の“創業以来”というインパクトがあるキーワード
- 商品特性を“パジャマ以上おしゃれ着未満”と、誰もがイメージしやすい比喩で表現
- “マスク次ぐ”には成功商品からの安心感と第3・第4への期待感が共存
受賞プレスリリース作品:AOKI創業以来、類のないスーツ!?マスクに次ぐ新生活様式対応商品第2弾『パジャマスーツ™~パジャマ以上おしゃれ着未満~』発売
ソーシャル賞:株式会社ニュー・オータニ
社会とのつながりを表現し深めることに最も貢献したプレスリリースに贈る賞
- 大きな数字を用いることで具体性と非現実性をバランスよく表現
- ハイクオリティな写真から伝わる視覚的情報
- 前面に出ている“コロナ禍でもお客さまに喜んでいただくために”というスタッフの気概、企業姿勢
受賞プレスリリース作品:緊急事態宣言中は1479室すべてがあなただけのレストランに!料理120種、ワイン&カクテル300種をお部屋で楽しむ『スーパールームサービス』
パブリック賞:松浦産業株式会社(PRorder)
情報の平等と信頼を実現することに最も忠実なプレスリリースに贈る賞
- データを用いることで商品価値を客観的に伝える技
- 単なるデータ分析発表に留まっていないストーリー性
- 環境への配慮から伝える企業姿勢
受賞プレスリリース作品:ニッチトップメーカーによる売上比較“紙袋用取っ手”44%減、一方需要が増加する“取っ手だけ”のタックハンドル
エンパシー賞:テレワーク・テクノロジーズ株式会社
受け手の心を動かし共感を育むことで最も飛躍したプレスリリースに贈る賞
- “締切に追い込まれた方”は一見限定的に見えるが、一度は誰しもがしている経験
- “1日14時間”という数字の具体性
- 本文中に数字の具体性を補完する時間の活用イメージ
受賞プレスリリース作品:1日14時間で取り戻せる「締切に追い込まれた方」専用テレワーク個室プラン登場、1時間330円から/テレスペ
ヒューマン賞:株式会社冨士屋製菓本舗
プロダクトや社員、顧客に対する愛と情熱が最も感じられるプレスリリースに贈る賞
- 社員をフォーカスした内容から感じられる企業姿勢
- 製造工程を語る社員からにじみ出る製品への想い
- 社内(社員)に向けたメッセージにつながる内容
受賞プレスリリース作品:毎年完売!節分限定・伝統の味付けの「助六豆(福豆)」が最強のおつまみに変身
ストーリー賞:花王株式会社
人に語りたくなるストーリーを最も有しているプレスリリースに贈る賞
- 結論と背景がよく伝わるシンプルなタイトル
- 難しく感じる研究結果にもかかわらず、誰しもが自分事化できる表現
- 背景を知ることで、開発自体に興味を向けられるストーリー性
受賞プレスリリース作品:蚊の嫌う肌表面をつくり、蚊に刺されることを防ぐ技術を開発 ~蚊を媒介とする感染症から守る~
特別賞:川上産業株式会社
上記賞にあてはまらないが表彰したいプレスリリースや発表者の行動を讃える賞
- プチプチは変わることがないという先入観を“進化”で表したニュース性
- CtoCビジネスの発展など時代のニーズを実現し、タイトルで端的に表現
- 導入で簡潔に表現された「起承転結」
受賞プレスリリース作品:プチプチ、53年目の超進化。四角くて、手でまっすぐに切れ、ぴったりサイズにできる新プチプチその名も『スパスパ』 爆誕!
特別賞:株式会社クロシェ
- “記憶する靴”と、擬人化することでの意外性
- “新素材”という興味関心は高まるが、一方で無いもの伝える難しさをクリアにした映像
- 開発から製品化までの長い道のりから期待感を演出
受賞プレスリリース作品:【クロシェ】三井化学株式会社の新素材、HUMOFIT(R)を活用した「記憶する靴」farfalle CLASSICALから、自分で足型を作れるパンプスを発売
イノベーティブ賞:2021年対象なし
既成概念に縛られずプレスリリースの表現や用途を最も拡大したプレスリリースに贈る賞
プレスリリースアワード2021まとめ
プレスリリース配信において、最も大切にしたいひとつ。それは、発表を行う担当者自らの言葉で、届けたい相手に、想いを届けることです。
数え切れないほどのプレスリリースが日々配信され、インターネット上には多くの新しい情報が増えています。受け取る側にとっても正しい情報、自身が本当に知りたい情報と出会い、見極めることが必要になっていると言えるでしょう。
届けたい相手である、メディアや生活者一人ひとりに自社の想いを届けることは、決して容易ではありません。情報を詳細かつ届けたい相手にとって分かりやすく、そして魅力が伝わるプレスリリースにすることが求められます。
受賞作品や受賞者の声から「ここまで想いを込められていただろうか」と、振り返っていただく機会や「新しい配信機会を設けてみるのはどうだろうか」と、見直す機会に。
ひとつでも多くの企業の想いをのせたプレスリリースが配信され、届けたい相手に想いを届ける機会を創出する──。
プレスリリースアワードは、プレスリリース発信文化の普及と発展の大きな一歩となりそうです。
プレスリリースアワード2021審査委員会
パブリック・リレーションズ研究者やジャンル別メディア編集・制作者、日本パブリック・リレーションズ協会出身者など、立場は異なるもののプレスリリースの未来を考えるに相応しい面々で審査委員会を構成しました。1名を除き当社外の独立した立場から審査できる8名で構成しています。「プレスリリースアワード2021」開催発表時には半数の4名を紹介していましたが、追加決定した4名を含め改めて8名全員を紹介いたします。
株式会社BSテレビ東京 チーフプロデューサー
テレビ東京WBSのトレたま統括デスクやカンブリア宮殿プロデューサーを務め、BSテレビ東京チーフプロデューサーとして日経ニュース プラス9で活躍。テレビ東京内プレスリリースDX化プロジェクトのリーダー。
株式会社ニューズピックス NewsPicks 編集長
1983年鹿児島生まれ。2007年東京大学経済学部卒業。週刊ダイヤモンドにて金融、日銀・財務省、自動車を担当。16年よりNewsPicksにて「電池ウォーズ」「テスラの狂気」「iPSの失敗」など担当。19年より編集長。
井上戦略PRコンサルティング事務所代表
大企業から中堅企業まで支援する「戦略広報」コンサルタント。毎年、年間300本以上のリリース制作など広報実務プロ。広報関連の講演は年間100を超え、『リリース道場』など著作は10冊以上。事業創造大学院大学客員教授。
株式会社宣伝会議 月刊『広報会議』編集長
2003年入社。『編集会議』編集長、『販促会議』編集長、書籍部長を経て2020年より現職。広報実務者のための専門誌『広報会議』にてメディア対応、リスク管理、社内広報など実践に役立つ手法や考え方を取材。
1977年電通入社。第15営業局局長、パブリック・アカウント局局長など歴任。2011年~2016年に電通パブリックリレーションズ代表取締役社長執行役員。2014年~2018年に日本パブリックリレーションズ協会理事長を務める。
広島市立大学広島平和研究所准教授
広島市立大学広島平和研究所准教授。1982年生まれ。韓国梨花女子大学卒業、東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(学際情報学)。専門はパブリック・リレーションズの歴史社会学。
東洋経済オンライン編集長
1979年熊本県生まれ。2001年に東洋経済新報社に入社。経済・企業記者として『週刊東洋経済』『会社四季報』などに執筆。2012年の東洋経済オンライン全面リニューアルに参画、2016年から副編集長、2020年10月から編集長。
株式会社PR TIMES 広報PR管掌取締役
1980年島根県生まれ。2003年東京大学文学部卒業。05年ベクトル入社。07年PR TIMES入社後、CS、PRプランナー、アライアンス、広報など経験し、17年より取締役。経営管理と自社PRを担う。
※「プレスリリースアワード2021」授賞式を12月20日に開催!先行して8つの部門賞(予定)と審査員8名を公開より引用。
PR TIMESのご利用を希望される方は、以下より企業登録申請をお願いいたします。登録申請方法と料金プランをあわせてご確認ください。
PR TIMESの企業登録申請をするPR TIMESをご利用希望の方はこちら企業登録申請をする