「BtoB(Business to Business)」とは、企業が団体や企業に対してサービス提供を行う事業のことです。業務効率化などを目的にビジネスシーンで導入されるため、「BtoC(Business to Consumer)」のサービスや企業と比較すると認知してもらえる機会が少なくなってしまいます。BtoBにおいて認知を広げるためには、広報PR活動を取り入れ積極的にコミュニケーションを取ることが有効なのです。
本記事では、BtoB企業が広報PR活動をすることで期待できる効果を丁寧に解説します。実務を行ううえで取り入れたい具体的な施策や成果につなげるためのポイントもお伝えするので、ぜひ広報業務の参考にしてください。
BtoB企業が広報業務を行う意義
BtoB企業が広報PR活動を行う意義は、社内外を問わずステークホルダーに対してコミュニケーションによって関係を構築することです。サービスに触れる機会がビジネスシーンに限られているからこそ、活発にコミュニケーション活動を行わなければ顧客や生活者との良い関係は生まれません。
継続的に関わりを持ち続けることで、企業の認知拡大はもちろん、営業リード獲得、採用などのあらゆる効果につながります。どのような効果が期待できるのか、詳しく解説していきます。
企業の認知拡大
広報PR活動のもっとも重要な役割は、企業やサービスの認知を拡大することです。BtoB企業のサービスや商品は、個人ではなく、企業や組織に向けて提供しています。通常の企業活動だけではコミュニケーションが限られた業界や顧客とだけに閉ざされてしまいがち。結果、新しい顧客と出会う機会を失っているといえます。広報PR活動を取り入れていないBtoB企業がBtoC企業と比較して認知度が低くなってしまうのは、このような構造が背景にあります。
BtoB企業は顧客になりうる企業や組織とのコミュニケーションだけを行えば良いと考える人がいますが、それは間違い。サービスを比較検討し最終的な導入を決定するのは、企業の中の生活者です。広報PR活動を通じて多角的なアプローチを行うことで、日常の中でなじみがなくても想起してもらえる認知を獲得できます。
マーケティング戦略
BtoB企業では、広報PR活動はマーケティング戦略の一環としても重要です。広報PR活動による情報発信が、自社のサービスが検討候補となる機会を増やし、営業への問い合わせを増やすことにつながるからです。
デジタルメディアの普及以前は、企業が新しいサービスを見つける機会は展示会などに限られており、その後に営業担当者との商談を通じて導入を検討するプロセスが一般的でした。現在は、SNSやインターネット広告などのタッチポイントが多様化し、競合サービスとの比較検討は商談前にある程度行われています。サービスに関する問い合わせや商談につながること自体の競争が激化し、難しくなっているのです。
SNSなどのデジタルメディアを活用した広報PR活動を通じて、企業は自社の価値提供を明確に伝え、潜在的な顧客とのつながりを築くことができるのです。
リード獲得
広報PR活動はBtoB企業にとってリード獲得の手段のひとつになります。潜在顧客を増やすだけでなく、実際に導入を検討するタイミングでコンタクトをとってもらいやすい仕組みを作り出すことも可能です。
例えば、ホワイトペーパーの配布を行ってリード獲得へつなげる方法があります。業界の最新動向やサービス活用事例など、導入を検討する担当者が知りたい情報をまとめた資料を配布し、そのダウンロードのために連絡先などの担当者情報を入力してもらうフォームを設置。サービスにすでに興味を持ってくれている担当者に対して営業担当者はフォローアップすることができます。
調査リリースとして一部の内容をプレスリリースとして公開すると、より広い生活者へアプローチすることもできるでしょう。ほかにも、セミナーイベントを実施して当日の参加者リストから情報を得る方法も主流です。
顧客ロイヤルティの向上
既存顧客に向けて自社の最新情報や業界動向などを定期的に発信すれば、顧客ロイヤルティの向上も期待できます。BtoBのサービスは顧客の課題解決を期待されているため、購入してからどのように活用するのか、どうやって課題を解決するのかといった明確なサポートが顧客ロイヤルティに直結します。そのため、導入して終了ではなく、その後もメンテナンスやバージョンアップなど、継続的にサポートするビジネスモデルがほとんどです。
企業としてサポートを行う関わり方だけでなく、広報部門の立場から製品の意外な使い方、導入企業のサービス活用方法などの有益な情報を発信できれば、アップセルのチャンスの創出やサービス乗り換えリスクを下げることにもつながるでしょう。
インナーブランディングの確立
BtoB企業こそ注力したいのがインナーブランディング。BtoB企業の課題としてよく挙げられるのが、BtoCと比べると利用者の反応やフィードバックを得づらいという点です。顧客の反応といえばクレームとして上がってくるマイナスな内容ばかりという状態で、モチベーションの低下につながっているという状態も耳にすることがあります。
広報部門は、企業のフロントとして社外のステークホルダーとコミュニケーションを取ることができる立場です。提供サービスがどのように顧客の事業へ貢献しているのか、どのような課題を解決しているのかといった、社外の声を社内メンバーにも伝えましょう。顧客との橋渡しになることで、モチベーションアップやサービスのブラッシュアップにつながります。
社内メンバーへ向けた自社の価値や企業理念の理解が深まることで、従業員一人ひとりが企業のあり方を体現できるようになり、ブランディングの強化も期待できます。
求人採用の強化
広報PR活動による採用の強化も期待したい効果のひとつです。BtoB企業のサービスは、生活者が直接触れることがないものも多く、一般に認知されづらいことは先にも挙げました。
これは、求職者の視点に立つと、求人を探すときに候補先として想起されづらい、求人を発見しても業務内容や提供サービスのイメージが湧きづらく応募のハードルが高い、などの課題につながっています。自社サービスの認知を拡大するほか、企業としての認知拡大に注力することで就職先としての想起や仕事の具体的なイメージをいだいてもらいやすくなり、採用強化へつなげることができるでしょう。
採用コンテンツとして、社内メンバーへのインタビューや座談会を企画することがあります。このような取り組みは、社内メンバーのモチベーションアップにつながることも期待できるほか、広報ネタを発掘する機会になることも。積極的に企画していくのがおすすめです。
BtoB広報とBtoC広報の違い
BtoB広報とBtoC広報は、顧客、単価、購入フローの大きく3つの性質の違いによって活動内容が変わります。実は、BtoBとBtoCどちらも、広報部門として行う業務に大きな違いはありません。しかし、それぞれの事業性質によって広報PR活動を行う目的や期待される役割が異なるため、発信する内容には違いが生まれます。
BtoC企業は、生活者個人に対して低単価(数百円〜)の商品を提供しています。生活者は自分の意思だけで購入するかを判断ができるため、瞬間的に購入することが可能です。購入後に満足できなければ、使用をやめることも自分で決められます。
BtoB企業は、企業や組織に対して高単価(数万円〜数百万円)の商品を提供しています。購入の意思決定は、担当者だけではなく社内の決裁者による承認が必要です。購入までのリードタイムは長くなります。サービスの停止や購入をやめる場合も、担当者だけの意思では決定できないため、多くの承認フローを経る必要があるのです。納得感を持って決裁を行うために、商品の機能や値段はもちろん、提供元が信頼できるかどうかが重要視される傾向にあります。例えば、倒産によるサービス停止や情報流出などの事故が起こるリスクがないかといった部分も重要な検討ポイントになるのです。
BtoB企業における広報PR活動は「信頼できる企業である」ことを認知してもらうことが役割として重要であり、BtoC企業と異なる部分です。
BtoB広報が行う広報業務の種類
BtoB企業が広報PR活動を行う場合、どのように行えば良いのかイメージが湧かない方もいらっしゃるかもしれません。しかし、基本的な広報業務の種類はBtoC企業とほとんどが同じです。大きな違いは、誰に対して、どんな情報を、どのような切り口で提供するのか、という表現や編集の部分。それぞれの広報業務の種類とともに具体的な内容と関連記事もご紹介します。
サービス広報
サービス広報は、提供するサービスや商品の認知を拡大し、最終的に購買へつなげるための重要な広報PR活動です。購入検討時に選択肢として想起してもらうことを目的に、サービスや商品の内容と特徴を知ってもらうための情報発信を行います。例えば、新商品のプレスリリース配信、展示会への出展など積極的に社外へアプローチする活動を積み重ねて認知拡大を目指します。
BtoB企業では、広報がマーケティング領域や営業領域と連携することでより購買へつながりやすい仕組みをつくり、売り上げや利益へ貢献することも求められます。部署の垣根を越えて相互に協力できるような社内コミュニケーションも図りましょう。
コーポレート広報
コーポレート広報は、企業そのものの認知拡大を主な目的とした広報PR活動です。組織の文化形成や企業のブランド強化を通じて認知を拡大し、企業の成長へ貢献する役割を担います。社外からの見られ方、業界内でのポジショニング、ブランドイの心象など、企業が認知されたいイメージを実現していきます。
具体的な活動には、コーポレートサイトの運用、周年記念イベントなどの企画・運営、投資家向け広報(IR)、CSR(企業の社会的責任)活動などが含まれます。コーポレート広報の活動を通じて、企業の信頼性や社会的な存在意義を向上させ、長期的な成長を実現していきます。コーポレート広報は、企業の持続的な発展に欠かすことができない業務です。
危機管理広報
突然のトラブルや事故が発生したときに、企業としての信頼性の担保や悪影響を最小限に抑えるための対応を行うことを危機管理広報と呼びます。危機発生時に迅速に誠実な対応を行うことが求められますが、対応によっては危機を増大させてしまう可能性もあるため、冷静な判断が必要です。
トラブルは、災害やテロ、事件・事故、不祥事など多岐にわたりますが、発生を事前に把握することはできません。広報業務として重要なのは、発生に備えた事前準備です。危機発生時の対策計画の作成、危機シミュレーション、リスクアセスメント、コミュニケーショントレーニングなどを行いましょう。危機に備えた準備は、広報PR担当者だけでは成り立ちません。危機発生時に対応を行う可能性がある社内メンバー全員を巻き込むことが重要です。
社内広報
社内メンバーに対するコミュニケーションを通じて、社内での情報共有、メンバー同士のコミュニケーション促進、モチベーション向上などを行うのが社内広報です。社内メンバーの意見や提案を吸い上げて組織全体の改善に活かす、エンゲージメントを向上して離職を抑制するなどの効果も期待できます。具体的な業務の内容は、社内報の作成、社内向けイベントの企画・運営などです。
組織文化を形成するうえでも社内広報は重要な役割を果たします。企業理念、経営方針、業績報告、プロジェクト進捗報告など、自社にまつわる情報を提供することで、目指すべき姿や現状の課題を理解するために役立ちます。広報部門の視点から、異なるレイヤーのメンバーがそれぞれ理解できる内容へ、経営層の思いを翻訳することが大切です。
採用広報
採用広報では、採用活動の一環として求職者へ自社の理解を深めてもらい、ロイヤルティの高い状態で採用エントリーしてもらうためのコミュニケーションを行います。採用広報で発信する情報はコーポレート広報に近く、企業としての経営理念や目指す姿、ブランド、事業内容などです。コーポレート広報との違いは、情報発信の視点です。コーポレート広報が企業や組織を主語とするのに対して、採用広報は社内で働くメンバーの視点での発信が重要なポイント。
リアルな声を届けることで、求職者が実際に働くイメージを持ち、働きたいと思ってもらえるように情報の編集を行いましょう。ほかにも、社内制度の紹介、社内イベントの実施報告、社員インタビューなど、採用広報ならではのコンテンツの発信も必要です。
具体的な業務の内容は、採用サイト、開発ブログ、SNSなどの運用があります。従業員のリアルな声を届けるためには、社内メンバーとの連携が必須です。社内の動きや情報が集まるような仕組みづくりや社内のコミュニケーションにも注力しましょう。
BtoB広報の具体的な施策
BtoB広報の施策には、プレスリリースの配信やオウンドメディア運営などが挙げられます。具体的な施策についても、BtoC広報と大きな違いはありません。BtoB広報は営業やマーケティングへつなげる入り口としての役割も期待されるため、同じ手法であってもアウトプットを見た潜在顧客の行動導線を作り込むようにしましょう。ほかにも、BtoB広報が取り扱う専門用語などのわかりづらさ、内容の複雑さがあります。複数の手法を用いて発信を行うようにすると良いでしょう。
プレスリリース
新商品発表、製品アップデート、CSRなどを含む企業としての新たな取り組みでは、プレスリリースとして情報を発信しましょう。BtoB企業のサービスは業界外の人にはわかりづらいことも多いため、画像、動画、図表などを活用すると理解されやすいプレスリリースになります。BtoB企業向けのプレスリリースの書き方は、こちらの記事をご覧ください。
頻繁にプレスリリースを作成するネタがない場合は、顧客に対するアンケート調査の結果などをまとめた調査リリースの配信もおすすめです。自社の情報だけにとどまらず業界動向を積極的に発信することで、業界内での信頼を得ることもできます。
作成したプレスリリースは多くの人の目にとまることが大切です。自社サイトへの掲載はもちろん、メディア各社への配布、記者クラブへの投げ込み、プレスリリースワイヤーを利用した配信を行いましょう。
ニュースレター
顧客やステークホルダーに対するコミュニケーションには、ニュースレターもおすすめです。顧客ロイヤルティの向上や自社の信頼度を増すために活用できます。ニュースレターは、新規性のない情報でも時流に合わせて編集し、まとめることでメディアへ情報提供を行う手法。リリースから時間が経ってからでも、時流や話題になっている社会現象とサービスがマッチすれば、メディアに取り上げられるなど話題性を持ったネタになる可能性は十分にあります。
自社の最新動向がないタイミングでも継続的にコミュニケーションを図る手法として取り入れたい施策です。具体的には、開発秘話、社員インタビュー、商品の歴史や変遷、自社の独自データの公表などを取り上げることが多いです。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーとは、自社のサービス・商品に関する情報を提供し、リードや顧客の育成を行うための資料です。資料をダウンロードするために登録フォームへ情報を入力するなどの導線を作ることで、リード顧客を獲得するために活用される場合もあります。多くは、営業資料とは別にマーケティングの一環として作成されることが多く、内容は業界やサービスにまつわるノウハウ、用語集、調査レポート、最新トレンド情報などがあります。
ホワイトペーパーの活用は、一部を調査リリースなどの形式でプレスリリースとして発信する、既存顧客へメルマガの形式で配信して顧客ロイヤルティ向上に貢献するなど、多岐にわたります。ホワイトペーパー単体の施策ではなく、何度も繰り返し内容を活用するようにすると良いでしょう。
導入事例
潜在顧客やリード、アップセルを狙いたい顧客に対して、すでに自社サービスを導入してもらっている企業がどのように自社サービスを活用しているのかを紹介し、具体的な導入イメージを持ってもらうコンテンツが導入事例です。導入先として社名や企業ロゴを掲載させてもらうだけの簡易なものから、担当者へのインタビューを通じてより具体的な話をまとめるものまであらゆる形式が考えられます。
導入事例コンテンツは、どのような課題に対して、どのようにサービスを活用し、どのように解決されたのか、までを1セットで紹介できるのが理想です。加えて、「〇%効率アップ」などの数値の変化があるとなお良いでしょう。具体的な数値が公表できる場合は、プレスリリースのネタとしても活用できます。
SNS運用
企業の情報発信を行うときに、もっとも手軽に始めることができるのが企業SNSアカウントの運用です。それぞれのプラットフォームに応じた特徴があるため、自社のサービスや目的にマッチするものを見つけることが大切です。SNSは生活者に近いメディアでもあり、BtoB企業が自社の認知を拡大したいのであれば、絶対に活用したい手法といえます。動画や画像を使った情報発信がしやすいのも、サービスをイメージしづらいBtoB企業にとってはメリットでしょう。
自社のサービスを認知してもらうだけにとどまらず、採用広報にもSNS活用はおすすめです。企業の日常が垣間見えれば、社内で働くイメージをいだいてもらいやすくなるはずです。
イベント・セミナー
リード顧客の獲得や既存顧客のロイヤルティ向上のためには、自社サービスや業界動向などにまつわるセミナーやイベントも有効です。新商品発表会、サービス説明会、業界動向に関するトークセッションなど、さまざまなテーマで開催が可能です。リアル会場での実施に加えて、コロナ以降はウェビナー形式での実施も増加しています。撮影や録画した映像を公開し、当日参加ができなかった人たちに対してリーチすることで、さらなるリード顧客獲得へつなげることも可能です。
イベント後にはアンケートを実施し、営業担当と協力して参加者リストから次なる営業へつなげるようにしましょう。イベントの実施はもちろん大切ですが、リスト作成につながる施策にすることが重要。アンケート回答率を上げるために、アンケート回答者限定で当日資料の提供を行うなどの導線を設置すると良いでしょう。
オウンドメディア
オウンドメディアは、認知拡大や自社のWebサイトへのアクセスを増加させるためのSEO対策として取り入れられることが多いものです。直接的にリード獲得につなげるにはハードルが高い施策ですが、SNSなどのシェアを狙ったり、検索上位を狙ったりするために活用したいもの。自社に関わる最新情報や業界動向、導入事例などに加えて、検索キーワードを意識した用語集などのコンテンツもおすすめです。サービスに関わるものだけでなく、採用ブログや開発ブログもオウンドメディアに含まれます。
メディアをつくるためのリソースがないなどハードルが高い場合は、SEO対策としての活用は難しいのですが、ブログなど長いテキストを掲載できるSNSや外部プラットフォームを使って情報を発信することも可能です。
寄稿
プレスリリースやSNSなどの情報発信などからメディアへの掲載が難しい場合は、従業員によるメディアへの寄稿を行うのもひとつの手段です。サービス広報の一本槍ではメディア掲載のハードルが高くなってしまう業種があることも事実。認知拡大を目指すのであれば、働き方や生活者により近しい文脈など、少し別の角度からでも有識者としての発信が可能です。
近年ではメディアのアンバサダーとして活動してくれる人材を求めているメディアもあるため、アプローチしてみると良いでしょう。テキストの寄稿記事だけでなく、イベント登壇などで従業員の露出を増やすことで、企業の認知にもつながっていきます。
寄稿などの露出がハードルが高い場合は、従業員のSNSなどでの発信からスタートするのもわかりやすい手段です。SNS経由での問い合わせやメディア掲載なども見込めます。
BtoB広報を成功させる5つのポイント
BtoB広報にもあらゆる手法がありますが、むやみにたくさんのことをやっても成果を出すことはできません。さまざまな角度からアプローチを行う場合は、施策ごとにポイントを押さえて実行することが大切。どの手法にも共通する5つのポイントを確認しましょう。「ポイント3.関連部署と連携する」、「ポイント4.常に生活者の目線を持つ」の2つは、BtoB広報では特に重要視したい部分です。
ポイント1.事業計画に基づいたKPIを設定する
広報業務にも、事業計画に基づいて期待されている成果やミッションがあります。広報PR活動一つひとつが自社の何のために行われる活動なのかを正しく理解し、そのゴールに向かって達成すべきKPIを設定しましょう。
内容や相手が変われば、行うべきコミュニケーションも変化するのが広報業務の特徴です。業務が多岐に渡り、無限にタスクができてしまうことも。すべてを同時並行で行うことは困難なので、KPIの設定とともに施策の優先度や担当者を決めることも大切。
広報業務として、個人として、何に向かって業務を行うべきなのかを言語化することがスタートです。広報業務が持つミッションやそれに伴うKPIがきちんと事業計画に沿ったものになっているのかどうか、経営メンバーやマネジメント層とのコミュニケーションを通じて確認し、齟齬(そご)があれば調整していくことも大切なポイントです。
ポイント2.KPIの達成に向けた数値分析を行う
広報PR活動の中で、注力している施策がKPI達成や事業に対して貢献しているのかどうか、日々数値によってチェックを行いましょう。広報PR活動は定性評価によって成果を判断したくなりますが、定性を定量化して表現することも広報部門の大切な社内コミュニケーションの役割です。社内の経営層やマネジメント層、広報知識がない社内メンバーに対しても理解してもらえるように表現できなければ、社外の人から理解してもらえるコミュニケーションはできません。
数値をベースに成果をウォッチし、数値からより深い洞察ができることがKPI達成に向けた近道です。思うような成果が出ていないのであれば、原因を探り改善を行いましょう。そもそもの課題設定や仮説がズレている可能性もあります。すばやくPDCAサイクルを回すことが、広報部門をはじめとしたコミュニケーション領域の業務成功のカギ。自分の施策によって、どのような変化が数値として現れるのかを、常に意識したいですね。
ポイント3.関連部署と連携する
BtoB広報は、他部署と連携することで事業への貢献度が上がる業務です。例えば、リード獲得、成約率、問い合わせ数などは、広報PR担当者だけでなく、営業やマーケティング領域の部署もKPIとして設定している数値です。それらの部署と連携し、広報PR活動によって課題解決や数値達成へ貢献できる方法がないかを検討しましょう。
KPI設定時のコミュニケーションも大切ですが、課題は日ごとに変化していきます。日常の業務の中でもお互いの状況を共有して、お互いが課題解決に向けて連携できる関係を築くことが大切です。定例のミーティングをセットしたり、定期的に他部署のミーティングに出席するなど、積極的に情報収集する体制を整えましょう。
ポイント4.常に生活者の目線を持つ
BtoB広報が取り扱う情報や発信する内容は、生活者から見ると専門用語や複雑でわかりづらいことも多々あります。それをそのまま発信してしまうと、本来伝えたかったことが伝わらなくなってしまう可能性も。導入を検討している企業であったとしても、担当者の知識や理解度には差があり、ストレートな発信では受け入れられづらくなってしまいます。
情報発信を行うときは、常に生活者の目線を忘れないことがポイント。誰でもわかる言葉や表現に情報を編集して発信してください。伝える、ではなく、伝わるかどうか、を意識すると良いでしょう。わかりづらい場合は、自分の親に説明して伝わるかどうかを目安に文章を作成すると、文章が作りやすいかもしれません。
ポイント5.問い合わせなどにつながる導線を設置する
情報を発信して終わりではなく、問い合わせや資料請求などの具体的な行動につながる導線を設置することが、BtoB広報では大切なポイントです。どのような導線を作るかは、関連部署との連携が必須。PDCAサイクルを回すためにも必要になるので、各種数値は広報PR担当者も把握できるようにしておきましょう。
問い合わせ導線は、わかりやすさが大切なポイントです。行動を喚起する最適な場所に設置されているか、フォームの内容は簡易で手間がかからないかなど、ただ導線を設置するだけでなく、どのような導線を設置するのかも重要。実際に問い合わせを行う人の立場に立って、最適な導線を検討しましょう。
BtoB広報の成功事例3選
BtoB広報の活動を通じて事業へ貢献している先輩広報PR担当者は、日々どのような広報PR活動を行っているのでしょうか。積極的に広報PR活動を行っているBtoB広報の成功事例から、導入事例、調査リリース、ホワイトペーパーの3つに関する事例をご紹介します。ぜひ、自社の広報PR活動でも参考にしてみてください。
事例1.株式会社スタディスト
マニュアル作成・共有システム「Teachme Biz(ティーチミー・ビズ)」を提供する株式会社スタディストは、自社サービスの新規導入事例をプレスリリースの形式で発信しています。導入目的や活用方法も公開することで、サービス導入を検討中の企業にも活用イメージをいだいてもらいやすい内容です。
プレスリリース以外にも、自社サイト内では担当者の取材を実施した導入事例インタビューを公開しています。プレスリリースよりもさらに具体的にまとめられており、より導入イメージがしやすいコンテンツです。サイト内は、業種や課題ごとに検索も可能なため、より顧客に近い導入事例を探すことができます。
詳しい内容はプレスリリースをチェックしてみてください。
事例2.株式会社アシュアード
セキュリティ評価プラットフォーム「Assured(アシュアード)」を運営する株式会社アシュアードは、情報システム部の担当者を対象にしたアンケート調査を実施し、その結果を調査リリースとして公開しています。内容は、SaaSなどのクラウドサービスに起因したセキュリティ事故につながる可能性がある事例の発生について、担当者のリアルな実態や声を数値としてまとめたもの。自社サービス導入によって、リスク回避の可能性がある事柄を数値によって見える化しています。
可能性として誰もが漠然と考えていることを数値化することで、危機感を醸成したり、潜在顧客に対して改めて課題解決について考えるきっかけを与えるコンテンツです。
詳しい内容はプレスリリースをチェックしてみてください。
参考:大手企業の情シスが遭遇した、SaaS利用関連のリスクTOP10(セキュリティ評価プラットフォーム「Assured」発表)|Visionalのプレスリリース
事例3.株式会社ジオコード
Webマーケティングとクラウドセールステックを展開する株式会社ジオコードは、自社サイト内でホワイトペーパーを配布しています。無料配布の資料ですが、入手には情報フォームへの入力が必須です。ホワイトペーパーそのものをプレスリリースとしてPR TIMESに配信公開しており、ホワイトペーパーそのものを複数の手法で活用する事例としても注目です。
月1本以上のペースであらゆるホワイトペーパーを公開しており、自分たちで実践できるハウツー、用語集、トレンドレポート、事例集などがあります。自社でホワイトペーパーの公開を検討している担当者は、どのようなホワイトペーパーを作成するのが良いか、全体を眺めてみるのもおすすめです。
詳しい内容はプレスリリースをチェックしてみてください。
参考:ジオコードが「リスティング広告運用のセカンドオピニオン 運用担当者が診断する時のポイント」を無料公開
BtoB広報は信頼をつくる活動
BtoB広報について、期待できる効果や具体的な業務内容など、実務で大切な内容を解説してきました。BtoC広報と比較すると難易度が高く何をすればいいのかわからないという声も多いBtoB広報ですが、実施業務はほとんどが同じです。ポイントは、誰に対して、どんな情報を、どのような切り口で提供するのか、という表現や編集の部分が異なるということ。そして、他部署との連携が成果のカギになるということです。
BtoBで重要になる企業やサービスの信頼を築くために、広報PR担当者としてどのように情報発信を行うかも大切ですが、社内メンバーから信頼して情報を提供してもらえたり、連携してもらえるポジションを築くことがもっと大切。社内のコミュニケーションも重視して活動しましょう。
【関連リンク】
BtoB広報に関するQ&A
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