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商標・特許の出願をする場合、プレスリリースはいつ配信するのがいい?配信時期に注意するべき理由

自社の商品やサービスが「商標」や「特許」を取得した場合、広報担当者はPR活動の一環としてプレスリリースで公表することを検討するのではないでしょうか。

商標や特許は、それぞれ出願や審査などの時間を要し様々な手筈を経て、初めて取得ができます。では、プレスリリースはどの段階で配信するとよいのでしょう。

本記事では、商標や特許の出願をする場合のプレスリリース配信のタイミングや、配信の際に注意するポイントをご紹介します。

商標を出願する場合、先にプレスリリースを出しても大丈夫なの?

商標登録を行う場合、商標登録されたことをプレスリリースで配信することがあります。

審査まで時間を要する商標登録の手続きの中で、全ての認可が下りるまで配信を待つべきなのか、それとも先に配信した方がよいのか、プレスリリースを配信するタイミングの注意点を踏まえて解説していきます。

商標登録には新規性が問われない

商標登録自体の申請には、制度の趣旨や保護対象から「新規性」の要件は問われないと考えられています。

商標登録は先願主義のため、出願した後にプレスリリースを出すほうがよい

新規性が要求されないのであれば、商標登録出願前に、商標の情報をプレスリリースで発表してしまっても問題ないようにも思われます。

しかし、商標登録では先願主義という制度を採用していることに注意が必要です。つまり、早い者勝ちです。先に出願した者が優先的に登録されるので、もしプレスリリースを見た他人や他社が先に出願してまうと、登録不可となるリスクがあるのです。また、他人や他社の商標を不正な目的で出願した場合は、商標登録を受けることはできません。(商標法第4条第1項第19号)

審査を待たず、商標を利用するリスク

稀なケースではありますが、出願する前に、同業他社が同じ商標を出願していて商標権取得の設定登録の手続きが行われている場合、商標が取れないケースもあります。

商標を取得する前にプレスリリースを配信したものの、他社が商標権を取得し、その商標を使えない場合は諸々の変更が余儀なくされ、多大な出費が必要となるうえに商標権の侵害として訴訟となってしまうリスクもあります。

新規性が問われない商標登録ですが、万が一のことも考えてプレスリリースは出願を完了し権利を取得してから配信するようにしておきましょう

商標登録に関する情報発信をしている

特許・実用新案登録・意匠登録を出願する場合プレスリリースの配信時期には要注意

商標と同じく、特許・実用新案・意匠(デザイン)に関しても特許庁に登録をすることで、発明・考案・意匠(デザイン)が保護される知的財産となります。

では、商標と違う点は何処にあたるのでしょうか。また、プレスリリースを配信する場合に気を付けたいポイントも合わせて確認しておきましょう。

商標との違い

特許や実用新案、意匠が商標と大きく違う点は、これまでになかった新しい発明、考案、意匠であることが必要という資質から新規性」が問われることです。

特許・実用新案登録・意匠登録では「新規性」が重要

特許出願は、出願日から1年半後に公開されるという規定があります。そのため、出願した発明が審査を通り特許権を付与できるか否かは、出願時点での「新規性」が問われてきます。

プレスリリースを配信することで「新規性」が失われる可能性がある

特許の「新規性」とは、その技術がまだ世の中に知られていないことを意味します。プレスリリースで公開してしまうことは、その技術が「公」となり世に知られることになります。

発明は商標とは異なり、日々技術により進化・進歩しており、同業他社が同じような内容の開発を行っていることも考えられます。そのため、他社を牽制するために、プレスリリースの配信を出願前に行おうと考えることもあるでしょう。繰り返しになりますが、特許の出願前に公にすると新規性が失われてしまいます。

なお、特許を受ける権利を有している企業自身が、プレスリリースで公開する場合には、特許法の例外によって、1年間は新規性を喪失しないものと扱われる可能性もありますが、安全を期すのであれば、プレスリリースでの公開は出願後に行うことが大切です。

一方、出願後であれば新規性は問われないため、他社を牽制するために「特許出願中」であることをプレスリリースで配信しても問題ありません。(事例2を参照

プレスリリースを配信できる

商標や特許の取得に関するプレスリリース事例3選

最後に、商標や特許に関するトピックスで配信した実際のプレスリリース事例を3つ、参考にしたいポイントなどとあわせてご紹介します。

事例1.150年継続保持している商標権

貴金属の老舗GINZA TANAKAが発表したプレスリリースでは、150年も継続保持している商標の発表とその功績を発表しています。

私達は、商標から商品やサービスに関する情報やイメージを読み取っています。特に、長く継続して使われている商標は、「信頼ができる」や「安心して利用できる」といったブランドイメージや企業イメージへも繋がります。

本プレスリリースでは、プレスリリースの最後に企業としての想いや姿勢について伝えています。

商標をフックにプレスリリースで企業としての想いを発信し、自社の安定したイメージを強調つけることにより、ステークホルダーとの良好な関係構築の為にも有効です。

企業理念や企業姿勢を発信する機会を模索している場合は、ぜひ参考にしてみてください。

参考:貴金属の老舗 GINZA TANAKA明治から継続維持している商標権『ホシエス』マークが「商標登録継続記念証」を受領

事例2.特許取得前の公表

AzuriteStyle株式会社は、特許を申請中にプレスリリースを打ち出しました。

特許は「新規性」が問われるため、出願前にプレスリリースの配信は避けた方がよいことを説明しました。本事例では、同様の商品が世の中に出回っている時勢を読み取り、近しい発明の特許が発表される事を回避するべく、特許申請の段階で公表した事例といえます。

当社が開発した「鼻呼吸できる抗菌マスク」は、受験生をターゲットにしたマスクです。勉強中、試験会場で、面接時で、様々な場所でマスク生活を余儀なくされている受験生のマスク生活を快適にしてくれるものとして開発されました。

昨今のコロナ禍で、マスクの需要も供給も激増し、その種類も数も飽和状態といえるでしょう。その中で、「特許」を取得しているマスクは一般生活者が購入時に選ぶひとつの指標になるかもしれません。

競合が多い商品やサービスをローンチする場合、時流を読みより他社との差別化に先手を打つ施策として参考にしてみるのも良いかもしれません。

参考:受験生必見!鼻をすっぽり覆っても脳機能を妨げない「鼻呼吸できる抗菌マスク」。集中力が低下しないマスクとして大人気!ポケットに不織布シートも可。特許申請中・商標登録完了でシリーズ販売開始。

事例3.商標の理由や変遷を紹介

TOTOが配信したプレスリリースでは、現在のトレードマークの50周年記念のお知らせとともに、自社の商標の遍歴を紹介しています。

誰しもが知るTOTOのマークですが、現在のこのトレードマークに至った知られざる歴史を過去の商標を年表を使いわかりやすく見せています。商標を手がけたデザイナーの想いやそのマークに決まった理由や背景も沿え、企業の商品変革も紹介しています。

こちらの事例のように、商標登録をしたという事実について知らせるだけではなく、「どのようにして商標が決まったのか」について発表することで、自社についてより深く認知してもらう機会となるでしょう。

プレスリリースを作成している

特許と商標の違いを理解しベストなタイミングにプレスリリースを配信しよう

本記事では、商標や特許の概要やその性質を踏まえてプレスリリース配信のタイミングを紹介しました。「弊社の商品やサービスなら、商標や特許を取得して積極的にアピールしていきたい」と感じた広報担当もいるのではないでしょうか。

商標や特許など知的財産権は法律で定められており、権利を独占して主張することが可能です。長年にわたって商標を使い続けることで、商品やサービスの認知拡大や社会的な信用を得て売上アップに繋げたり、企業としての成長を促したりする力を備えているといえるでしょう。

それ故に、その権利を侵害してしまった場合は企業としての社会的信用へのダメージも否めません。

商標や特許に関するプレスリリースを配信する際は、それぞれの役割と手続きにかかる日数や準備を社内やチームと順序立てながら、リスクを負わないベストなタイミングを見極めて配信していきましょう。

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この記事のライター

マッケンジー友紀

会社員時代に、化粧品、時計、ファッションの広報を経験。ピラティストレーナーをしながら2016年、PR TIMESのプレスリリース作成チームにジョイン。2020年からはPR TIMES MAGAZINEのメンバーに。公式Twitter@PRTIMESMAGも担当しています。広報PRに従事する人の多彩なポテンシャルを開花するようなコンテンツを目指したいです!

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