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広報PR担当者が知っておきたいイベントの種類10選と事例

広報PR担当者はイベントの企画・運営を任されることがあるでしょう。しかし、ノウハウなしにいきなりイベントを開催するのは難しいですよね。そこで、本記事では広報PR担当者なら知っておきたいイベントの種類10選と、事例を紹介します。目的に合わせて適切なイベントを選べるよう、ぜひチェックしてみてください。

イベントの種類はどう決める?

イベントの開催にあたって決めなければいけないのが、イベントの種類です。ひとくちにイベントといっても、バリエーションは豊富。まずは目的と紹介したい内容を決めたうえで、適切なイベントの種類を選ぶことが大切です。まずは、イベントの種類を決めるときに考慮したい3つのポイントをご紹介します。

イベント会場の様子

ポイント1.参加対象者にどんな行動を起こしてほしいか想像する

イベントを開催する際にまず検討したいポイントは、イベントを実施する目的。つまり、イベントの参加対象者にどんな行動を起こしてほしいかを想像すること。イベントに期待する効果の設定にもつながります。

目的の洗い出しには、シンプルに「誰に」「どう行動してほしいのか」を明らかにするのがおすすめです。次の例を参考にしてみてください。

【目的とイベント種類の例】

  • メディア関係者に自社を取材してもらいたい→記者発表会
  • 新規営業先を獲得したい→展示会
  • ユーザーに自社をもっと好きになってもらいたい→ユーザー交流会

ポイント2.競合他社のイベント事例を参考にする

特に、イベントの開催経験が少ない場合には、競合他社の事例を調査してみましょう。成功事例を見ておくと、その知識をイベントの企画に役立てられます。

ただし、他社の事例を参考にしつつ、独自色を出していくことも大切です。他社と同じ内容のイベントでは「そのイベントに参加するメリット」が対象者に伝わらず、PRしきれないこともあるためです。

競合他社の事例の確認はあくまで参考であり、「内容がまったく同じにならないようにする」「自社らしい取り組み・コンテンツを忘れない」などの基本的な注意点を守りましょう。

ポイント3.確保できる予算から逆算する

どんなに魅力的なイベント企画だったとしても、予算には限りがあるものです。 イベントの種類によって、開催にかかる費用は大きく異なります。

例えば自社オフィスでできるイベントならば会場費はゼロですが、大きなホールやホテルの宴会場を借りるようなイベントの場合、会場費が数百万円になることもあります。

まずはじめにどれだけの予算を使えるのか確認し、そこから逆算してイベントの種類や内容を決めることもおすすめです。

イベントの種類10選

イベントをする目的や予算を明らかにしたら、どのようなイベントにするのかを検討していきましょう。次からは、それぞれの内容・目的・効果について触れながら、イベントパターンを10個解説します。イベントの種類を決める際の参考にしてみてくださいね。

1.メディア関係者向けイベント

メディア関係者が集まるイベントで代表的なのは、記者発表会・記者会見・プレスツアーです。例えば、新商品発表会、新施設のお披露目イベント、経営統合の発表会、新プロジェクトの発表会、上場会見などがあります。

【目的】

  • 露出を獲得すること
  • メディア関係者からの認知度向上

【事例】
関西の企業、団体50社以上の経営者・広報PR担当者が集まる関西広報100研究会は、「社会を変える新たな次世代イノベーション」をテーマに、AIやDXから海洋資源、サステナブルファッション、教育、採用などまで中小・ベンチャー企業18社が集まる「合同記者発表会」を実施しました。

当日はブース展示のほかに「企業プレゼン」を挟むことで、会場で回遊しながら気になった企業の講演に自由に参加できるプログラムに。プレスリリースでは参加各社のWebページのリンクも紹介し、事前に記者が企業情報を閲覧したうえで参加できるようになっています。

参考:グランフロント大阪で、関西スタートアップ・中小18社が登壇!「社会を変える新たな次世代イノベーション」がテーマの合同記者発表会10月18日(火)開催

2.展示会

展示会とは、企業が顧客や取引先に対して、新商品・新サービスの発表を行う場。企業ごとにブースを設けて立ち寄ってもらう形式で、参加企業が数社のものから、100社を超える大型イベントまで幅広く実施されています。

来場者の属性はさまざまで、サービス・設備の導入を検討している潜在顧客もいれば、情報収集のためにブースを回るメディア関係者も。工夫を凝らしたブース展開に加え、幅広い興味関心に合わせたコンテンツを用意することも重要です。

【目的】

  • 認知度の向上・商談機会の獲得
  • 新規営業先の開拓
  • 商品・サービスの認知度向上

【事例】
企業の経営層・役員など幹部向けにSDGs・脱炭素経営、人材活用、経営管理、ブランディング、新規事業創出などのソリューションを紹介する展示会についてのプレスリリースを紹介します。

会場は東京ビッグサイト・大阪ATCホールと大規模で、それぞれ2日間にわたって実施。特徴は、テーマごとのウェビナーを事前に配信しており、チェックしたい企業についての情報を仕入れてから臨める点です。大規模な展示会にありがちな「ブースが多くて回りきれない」悩みを軽減するイベント設計ともいえるでしょう。

参考:「VUCA・ポストコロナ時代」の経営課題 解決のヒントがここに!1月31日(火)~2月2日(木)の3日間 期間限定で『 経営支援 ウェビナー 』を無料開催

3.セミナー・講演会

セミナー・講演会とは、講師となるような有識者や著名人のほか、自社の社員が登壇して講座や講演をするイベントのこと。セミナー・講演会には同業他社や特定のテーマに関心を持った参加者が集まるため、参加者の課題意識や欲しい情報にピンポイントでアプローチすることも可能です。

【目的】

  • 自社商品・サービスの認知度向上や販促
  • 来場者に業界トレンドを知ってもらう
  • 関係者の交流の場として、ビジネスチャンスにつなげる

【事例】
賃貸用物件のリノベーションを手がける株式会社クラスココンサルファームが開催した、オーナー向けセミナー。プレスリリースのタイトルにも「賃貸オーナー向け」とあるように、所有する部屋の内装を変えて貸し出したい潜在顧客や関係者に、ピンポイントでアプローチできるイベントでもあります。

セミナーはリノベーション成功事例とそのポイントを解説する形式を取ることで、業界のノウハウを持つ主催企業の魅力を伝えるプログラムとなっています。

参考:賃貸オーナー向け無料オンラインセミナー 1/28(土)開催 「築古物件でも新築・築浅に負けない再生手法 徹底解説」

4.カンファレンス

「カンファレンス」とは、ミーティングのような社内向けのものとは異なり、大規模かつ社内外から多くの人を集めて行う会議のことを指します(例:国際会議、学術発表会)。業界の主要なプレイヤーが一堂に会するイベントも少なくありません。

【目的】

  • ビジネスチャンスの拡大
  • 参加者の交流
  • 主催社と参加社のブランディング

【事例】
米国で話題のスタートアップが参加し、今後10年のテクノロジーの進化の予想とビジネスの変化について議論をかわすセッションなどを行うカンファレンス「SCRUM CONNECT 2023」。

セッションや座学のみにとどまらず、デモブースやレセプションも展開しているのが特徴です。VRやフードテックに関連した技術が紹介されており、実際に、VR技術のデモンストレーション体験やフードテックによる食材の試食などができるそう。

参考:2030年までにテクノロジーで世界はどう変わるのか?カンファレンス「SCRUM CONNECT 2023」2月8日開催 [参加申込み受付中]

5. セレモニー・授賞式・アワード

セレモニー・授賞式は、周年記念式典やお店のオープニングイベントなど、いわゆる晴れ舞台がほとんどです。

【目的】

  • 企業・団体の歴史を振り返りビジョンを見つめ直す機会にする
  • 表彰による従業員のモチベーションアップ
  • ステークホルダーに日頃の感謝を伝える

【事例】
PR TIMESでは、プレスリリースの可能性拡大に貢献した企業と担当者をたたえる「プレスリリースアワード」を開催しています。選考段階で審査員から飛び出した意見や受賞理由などの細かい部分もプレスリリースで紹介することで、受賞社の紹介にとどまらず、舞台裏のストーリーにも踏み込んでいます。

参考:総エントリー1412件から受賞10社を発表 「プレスリリースアワード2022」 茨城、東京、愛知、和歌山、大阪、京都、広島のスタートアップから老舗まで

6.ユーザー交流会・感謝祭

ユーザー交流会や感謝祭とは、その名の通り、商品・サービスのユーザーと企業、またユーザー同士の交流を行ったり、感謝を伝えたりするイベントです。

参加者に楽しんでもらうため、交流が進む交流イベントやビンゴ・クイズ大会などのゲーム性があるコンテンツを採用するケースのほか、立食形式で軽食を用意するケース、オリジナルグッズを配布するケースもあります。

【目的】

  • ユーザー同士の交流を促進する
  • ユーザーの生の声を聞き営業・CS関連部署に共有する
  • ステークホルダーと企業のコミュニケーションを促進する

【事例】
日本全国47都道府県から、9000人を超える「家業」にかかわる人々がつながるプラットフォーム「家業エイド」のユーザー向け交流会。オンラインで行われる「カジュアル交流会」では、自己紹介とトークテーマを持ち寄る形式で、参加者自ら積極的に交流する雰囲気をつくっています。

参考:家業持ちのオンラインプラットフォーム「家業エイド」、ユーザー同士のカジュアル交流会を2月2日(木)開催

7.ワークショップ

ワークショップとは、複数人で集まり体験を通して学ぶイベントのこと。身近なものでは、アクセサリー作りやDIYの体験会などが挙げられるほか、最新のトレンドや英語を学ぶものなど、スキル向上を目的とした専門的なワークショップもあります。

【目的】

  • 参加者に、自社の商品やサービスを手に取って体感してもらう
  • 顧客の意見を商品やサービスの開発、改善、マーケティングに活かす

【事例】
女性の健康に意識を向けて知識をアップデートするきっかけとするため、「フェム(2)・テッ(10)・ク(9)」と読む2月19日を前に、大学生向けにフェムテックのワークショップ講座を開催するのは一般社団法人日本フェムテック協会。

記念日と絡めて、トレンドでありつつも普段学ぶことが少ないフェムテックの概念や法人の活動について知ってもらう切り口で、イベントを展開しています。

参考:大学生にフェムテック、性と健康を学ぶ場を!2月10日(金)『大学生男女が学ぶ、フェムテック・ワークショップ講座』を東洋学園大学と共催

8.コンテスト

コンテストとは、主に生活者からアイデアや作品を募って、競う形式で実施するイベントです。

【目的】

  • 生活者を中心としたステークホルダーとコミュニケーションを取ること
  • 自社・商品の知名度向上につなげること
  • 第三者からのアイデアや企画を集めること

【事例】
ビジネスコンテストでは、新ビジネスの創出を目的に幅広いアイデアを公募できるのが企業側のメリット。最終的な事業化にもつながる可能性があります。こちらは、株式会社パソナ農援隊が農林水産省のフードテック官民協議会運営等委託事業を受けて開催したコンテストです。

ビジネスアイデアや事業計画を「アイデア部門」「ビジネス部門」の2部門に分け、「AI食」「イエバエによる資源循環」「宙(そら)ベジ」などにまつわる、最新技術の発表が行われました。

参考:農林水産省「未来を創る!フードテックビジネスプランコンテスト」を受託 パソナ農援隊『本選大会』2月4日(土)に開催

有名なコンテストには、第一生命保険株式会社の「サラっと一句!わたしの川柳コンクール」や、株式会社伊藤園の「お~いお茶」のペットボトルや缶に印刷されている新俳句大賞があります。このほかにも、企業ロゴやサービスロゴのデザインを公募している企業も多くあります。

9.優待セール・即売会

優待セールや即売会は、顧客に直接商品を販売するイベントのこと。株主優待セールなど、招待する人を限定して開催されるものもあります。即売会とは、商品や作品を展示し、その場で販売まで行う催しを指すことが多いです。

【目的】

  • ユーザーのロイヤルティを高め、商品・サービスのリピーターを増やす
  • お得な優待セールや即売会を通じて新規顧客の開拓につなげる

【事例】
福井県越前町では、毎年3月にかにの即売や物販をメインとした「越前かに感謝祭」を開催。飲食スペースの設置やかににちなんだ体験ブースの設置など、徐々にイベント内容を新型コロナ禍前の状態に戻しながら開催予定とのことです。

参考:【福井県越前町】越前かに感謝祭「かに感謝市」を3月4日(土)・5日(日)の2日間、道の駅越前にて開催!

10.社内イベント

イベントは、外部向けのものだけではなく、社内向けに行うものもあります。社員総会、忘年会、社員旅行、ワーケーションなどがあります。

モチベーションアップやコミュニケーションの円滑化に効くコンテンツとして、メンバーが一丸となってバリューを考えるワークショップや、年に2回のアワード受賞者の表彰、アフターパーティなどもあります。

【目的】

  • 従業員同士の交流を深め、情報流通を円滑にすることで従業員のロイヤルティ向上やモチベーションアップにつなげる
  • 変わった福利厚生としてメディアへの露出を獲得する

【事例】
福利厚生として配備する企業が増えているワーケーション。観光庁「ワーケーション推進事業」企業と地域によるモデル実証事業により、企業のつながりが深まっている地域も。株式会社八幡平DMOと、システム開発・アプリ開発・Webサイト制作を行い全国各地にリモートワークの社員が在籍するカラビナテクノロジー株式会社は、モデル実証事業に採択され、岩手県八幡平市安代地区を中心にワーケーションを行います。

快適なワークスペースと強塩泉、地元食材をふんだんに使った健康食などにより、社員のウェルビーイングにつながることも期待される取り組みです。

参考:企業と地域によるモデル実証事業|フルリモート社員のワーケーション<岩手県八幡平市>モデル地域として採択

イベントを開催する際に広報PR担当者が行うべき5つのこと

具体的なイベント設計を進めつつ、適切なイベントの種類を選びましょう。開催が決まったら、準備に移ります。こちらからは、イベント設計にあたり、広報PR担当者が行うべきことを5つのポイントに分けて解説します。

社内イベントを企画している

1.目的とターゲットを決める

まず、イベントの開催目的を整理しましょう。イベントをきっかけとして、「誰に」「どう行動してほしいのか」を明確にします。

目的が決まれば、イベントが有用かどうかを判断したうえで指針も立てやすくなります。ターゲットやコンテンツについて、可能であれば複数人で整理しながら企画を作っていきましょう。

特に生活者向けや求職者向けのイベントの場合は、より踏み込んで「年齢・性別・居住地」などのペルソナを組み立ててみるのもおすすめです。イベントの目的を企画書に落とし込む方法やペルソナについて知りたいときは、以下の記事も参考にしてみてください。

2.具体的な企画を考える

目的とターゲットを整理できたら、いよいよイベントのコンテンツを企画します。企画において重要なのは、次の4つのポイントです。

  1. ターゲットに刺さるイベントタイトルをつける
  2. 予算内でできることを考える
  3. 季節や時流に合ったイベントにする
  4. ほかのイベントにない独自性を盛り込む

せっかくイベントを開催するなら、より多くの人に来場してほしいと考える方もいるかもしれません。しかし、イベントの開催には予算やキャパシティが決まっているもの。ターゲットの範囲を超えた集客をかけると、コストがかさみ、会場の収容人数も超過してしまう可能性があります。ターゲットを明確にして、適切な集客を目指しましょう。

イベントの企画については、こちらの記事でも解説しています。

3.計画的に集客する

集客率を上げる方法として取り入れたいのが、プレスリリースの発信やメールの送付。特に申し込みの日時は余裕を持って紹介したり、開催の概要をわかりやすく説明したりすることで、参加のハードルを下げましょう。

案内状の送付については、以下の記事でテンプレート付きで紹介しているので、活用してみてください。

4.イベント当日の準備・運営をする

集客と並行して、イベントの会場、台本や機材などを準備していきます。会場の規模に応じて、イベント運営企業に委託することもあるでしょう。可能な範囲で、当日までに台本の読み合わせや進行リハーサルを実施するようにします。

イベントの中でも、記者会見で準備すべき項目と順番については、こちらの記事で解説しています。質疑応答のある大規模イベントを行う際にも同様の準備が必要ですので、ぜひ参考にしてみてください。

5.終了後に振り返りをする

最後に、忘れてはならないのがイベントの振り返り。イベントの集客やアンケート結果などを振り返りつつ分析し、次に開催するときの参考資料として残しておきます。

成否の判断に使えるのは、次のような指標。定量・定性の両方で振り返りができるよう、イベントの開催前にKPIを定めておくのがおすすめです。

【イベント時のKPI例】

  • 参加者数
  • イベント参加者へのアンケート
  • SNSでの反響
  • メディアへの露出状況
  • 出品した商品の販売数

大切なのは目的に合わせて適切なイベントを開催すること

本記事では、広報PR担当者なら知っておきたいイベントの種類10選を解説してきました。イベントの実施は、あくまで目的達成のための手段。大切なのは、目的に合わせて適切なイベントを選択することです。

イベントの種類ごとにご紹介した事例も参考にしながら、「誰に」「どう行動してほしいのか」を明確にしてイベントを企画・開催するようにしてください。

<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>

広報PR担当が開催するイベントの種類に関するQ&A

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この記事のライター

ならきち

ならきち

在宅ライター主婦。会社員時代は中古IT機器の専門商社で広報をしていました。取材対応をはじめとするメディアリレーション全般、プレスリリース執筆、危機管理対応、記者会見の企画・運営、自社ブログ記事の企画・執筆などを担当した経験を活かし、広報担当者の役に立つ記事を書きたいです。現在はわんぱくな息子に翻弄されながら在宅でライターの仕事をしています。

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