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メディアキャラバンとは?広報PR担当者が知っておきたい3つの効果、7つのステップと実践のコツを徹底解説

広報PR活動に欠かせない業務のひとつに「メディアキャラバン」があります。メディアキャラバンとは、メディア関係者に直接アポイントを取り、自社の製品・サービスを紹介するために訪問する活動のこと。単なる情報提供にとどまらず、記者や編集者との信頼関係を築き、継続的なメディアリレーションを実現する重要な機会です。

本記事では、メディアキャラバンがもたらす効果や活用のメリットに加え、実施する際の具体的なステップや成功のためのコツを解説します。初めて取り組む担当者でも理解しやすいよう、実務に直結する基礎知識を網羅的に紹介していきますので、ぜひご参考ください。

メディアキャラバンとは?

メディアキャラバンとは、自社の製品・サービスのサンプル、資料、プレスリリースなどを持参してさまざまなメディアを訪問する広報PR活動のこと。直接会うことで、自社の製品・サービスの魅力をしっかりと伝えることができます。

自社の製品やサービスを、新聞や雑誌、テレビ、ラジオ、Webメディアなどそれぞれの媒体に合うように紹介し、情報を掲載してもらうための施策です。

メディアキャラバンは情報提供だけでなく、メディア関係者との良好な関係構築の機会であるため、今後につながるような人脈形成や情報収集の場としての活用方法もあるでしょう。

メディアキャラバンとは?

メディアリレーションズや、メディアプロモートとの違い

メディアキャラバンと似た概念に、「メディアリレーションズ」や「メディアプロモート」があります。

「メディアリレーションズ」とは、メディアと良好な関係を構築すること、およびそのために行う活動のことです。メディアキャラバンは、メディアリレーションズの活動の一部であるといえます。

また、「メディアプロモート」とは、自社を紙面や番組に取り上げてもらうためにメディアにアプローチすることです。メディアキャラバンは、メディアプロモートのためにメディアへの訪問・アプローチを実施することであると理解しておくとよいでしょう。

メディアキャラバンを実施するべき企業とタイミング

メディアキャラバンは、スタートアップから大企業まで幅広く活用されますが、とりわけ知名度がまだ十分に浸透していない企業にとって効果的です。記者や編集者に直接会って説明することで、単なる資料配布では伝わらない企業の想いや事業背景を理解してもらえる貴重な機会となります。

また、特に効果が期待できるのは、新規事業の立ち上げやリブランディングといった節目のタイミングです。新商品の発表やイベント前後などニュース性が高まる時期に実施することで、メディアにとっても記事化しやすい素材となり、報道に結びつく可能性が高まります。

さらに、各メディアの企画スケジュールや編集方針に合わせて訪問時期を調整すれば、単発の掲載にとどまらず、特集や連載といった中長期的な露出の機会につながることもあります。つまり、メディアキャラバンは「いつ」「誰に」アプローチするかを戦略的に見極めることが成功のカギとなるのです。

メディアキャラバンの効果

広報PR担当者がメディアに直接足を運ぶメディアキャラバン。当然、時間や人的なコストは「プレスリリースを配信するだけ」の場合よりも高くなります。メディアキャラバンでは、コストに見合うだけの効果を出せるのでしょうか。本記事では、メディアキャラバンによる3つの効果を解説します。

効果1.メディアとの信頼性を構築できる

さまざまなメディアに足を運ぶことで、メディアリレーションとの信頼性の構築につながります。メディアキャラバンでは、持参する情報との親和性も鑑みながら訪問するメディアを決定する場合もあれば、まったく接点のなかったメディアへの「飛び込み」を行う場合もあります。

どちらもメディアキャラバンを通じて広報PR担当者の「顔と名前」を覚えてもらい、メディア関係者との関係性を構築するきっかけとなるでしょう。

効果2.自社製品・サービスの理解と業界の認知を広める

製品やサービスに対する理解、自社が属する業界の周知などを促進することも、メディアキャラバンの効果のひとつです。

プレスリリースの配信だけでは、どんなメディアに対しても画一的な情報提供になりがちなもの。しかし、面と向かって会話できるメディアキャラバンなら、メディアごとにどの情報を強調するか、重点的に訴求するかを適宜調整できます。提供する情報とメディアの親和性を高めることで、理解促進を実現できるのです。

効果3.メディア側のニーズやトレンドを把握できる

もうひとつの効果は、メディア側のニーズやトレンドを把握できること。もちろんメディアキャラバンの最大の目的は自社製品やサービスの情報を提供することですが、それだけではメディア側にはメリットがありません。

せっかくメディア関係者と直接コミュニケーションを取れるのですから、「メディアがどんな情報を求めているのか」をヒアリングしてみましょう。ヒアリングを通してニーズやトレンドを把握できれば、その場限りではない継続的なリレーションにもつながります。

効果4.記事掲載や特集企画につながる可能性が高まる

メディアキャラバンの大きな成果のひとつが、記事掲載や特集への発展です。直接会って話すことで記者の理解が深まり、リリース転載にとどまらない、自社の背景やストーリーを反映した記事につながりやすくなります。

さらに、タイムリーなトレンドや社会課題と関連づけて伝えることで、特集記事のテーマとして取り上げられるケースもあります。掲載実績は、営業資料や投資家向けの説明にも活用できるため、単なる広報活動にとどまらず、企業価値を高める資産として機能します。

メディアキャラバンの方法・やり方とは?7つのステップ

対面できるメリットを活かしてさまざまな効果が期待できるメディアキャラバンですが、どのように準備を進めればよいのでしょうか。実施前の仕込みから実施、実施後のフォローまでの流れを7つのステップで解説します。

資料

STEP1.企画づくりをする

最初に取りかかるのは、企画づくり。メディアキャラバンを通して何を伝えたいのか、事前に整理します。

新聞社や出版社、テレビ局、ラジオ局、Webサイトの運営会社など、キャラバンを実施するメディアの種類は多岐に渡ります。また、各メディアのターゲット(大衆向け・業界向けなど)、情報発信のタイミング(月刊・日刊・早朝・深夜)……と、特徴もさまざまです。そんな中で大切なのは、画一的な企画を展開するのではなく、メディアの特徴に合わせた企画を準備しておくこと。訪問するメディアの情報を調べ「媒体に合う切り口を用意していること」をアピールできるよう準備しておきましょう。

STEP2.製品・サービスの資料・サンプル、業界ごとのアピールポイントを準備する

メディアキャラバンで紹介したい製品・サービスの情報などを準備します。自社が属する業界のアピールポイントを用意するとよいでしょう。

また、今回紹介したい資料だけでなく、ファクトブックや直接手に取れる製品サンプルなどを用意すると興味・関心を持ってもらいやすくなります。

せっかくメディアキャラバンをするのなら、メールや郵便では送れないもの、対面だからこその資料などを準備し、アピールしたいですね。

また、「新聞社向け」「Webメディア向け」など、メディアの特徴ごとに複数のパターンの資料を用意しておくのも便利です。メディア側が求める資料をすぐに提供できるよう準備を整えましょう。

ファクトブックの作り方は以下の記事を参考にしてください。

STEP3.訪問するメディアの選定をする

どんなメディアに企画を取り上げてもらいたいか、どんな生活者に認知してもらいたいかを想定しながら、メディアキャラバンで訪問したいメディアを選定しリストを作成します。

メディア選定と併せて「メディア側の情報」も整理しておきましょう。メディア側にとっても意味のあるメディアキャラバンにするためには、メディア側のこともよく理解しておく必要があります。

媒体研究」を通して、視聴者や購読者はどんな層なのか、日頃どんな業界の情報を扱うことが多いか、どんな記事や番組がヒットしたのかなどの情報収集をしましょう。

媒体研究の方法は以下の記事が参考になります。

STEP4.アポイントを取る

メディア選定が完了したら、アポイントを取りましょう。メディア関係者には日々たくさんのプレスリリースが届きます。そのほか、関係各所とのコミュニケーションやメディアキャラバンへの対応、取材など、多くのタスクを抱えている人も少なくありません。自分が誰で、いつ、何のために訪問したいのかが簡潔に伝わるようにまとめて、アポイントを取りましょう。

アポイントの取り方は、

  1. 電話をかける前に、メディアキャラバンで訪問したいことをメールで連絡する
  2. つながりやすい時間帯を確認し、電話で連絡をする

認識のない人からの急な電話は、担当者につながりにくく見送られがちです。まずはメディア側に情報提供を受け付けるフォームやメールアドレスがあるかを確認しましょう。文字にして事前にキャラバンの意向を伝えてから電話をするとスムーズです。

選定したメディアのアポイントが取れなかった場合には、キャラバン当日に現地で飛び込みをしてみるのもひとつの手です。メディアの拠点が同エリアに集まっていることも少なくないので、意外と効率よく訪問できるかもしれません。

首都圏外を拠点とする企業の広報PR担当者は、出張などの機会に東京に拠点を置いているメディアにまとめてアポイントを取り訪問するとよいでしょう。

また、ただアポイントを取るだけでなく、1日何社を訪問するか目標を掲げることもおすすめです。

メディアキャラバンのアポイントの取り方は、以下の記事で詳細を解説しています。

STEP5.メディアキャラバンに行く

いよいよメディアキャラバン本番。遅刻や忘れ物といった失礼がないことは大前提として、そのほかに注意したいのが「必要な情報だけを提供する」ことと「メディア側のニーズに応える」ことです。訪れたメディア側の色に合う情報を用意しておくことが必要です。売り込みたい情報だけでなく、簡単な企画書や過去のプレスリリースをセットでお渡しできるようにしておくとよいでしょう。

メディアの使命はあくまで購読者や視聴者などに意義ある情報を届けることで、企業側が出したいと思っている情報をそのまま流すことではありません。自社のネタを売り込むことに注力しすぎるのではなく、メディア側のニーズを引き出したり、課題をヒアリングしたり、「聞き手」に回るくらいの気持ちで臨みましょう。

STEP6.アフターフォローをする

メディアキャラバンの後には、訪問した各メディアにフォロー連絡をします。キャラバンの実施後、すぐに掲載や取材につながる確率は決して高くありません。しかし、訪問したメディアとのリレーションはぜひ継続してください。

どんな情報を収集しているか定期的にヒアリングしてもよいですし、折に触れて自社の新しいプレスリリースや企画書を送ってもよいでしょう。いずれにしても、一度のメディアキャラバンで露出につながらなかったからといって諦めるのではなく、中長期的な目線を持って、単なるフォローを越えたリレーションの発展を目指しましょう。

STEP7.結果をまとめ、次回への対策を検討するる

メディアキャラバンを終えたら、社内で検証できるように情報をまとめましょう。訪問先のメディアとの親和性、担当者との関係性、掲載へとつながったかどうかなどを記します。今回、掲載に至らなかったとしても、どんな話をしたのかなどを社内で共有できると次に活かすことができます。

また、次回アポイントを取る際に、設定した目標は現実的だったのかなどを振り返るためにもおすすめです。今後、よりスムーズにメディアキャラバンを行うためにも、「エリアごとの訪問先」「アポイントを取りやすい時間帯」などはまとめておきましょう。

メディアキャラバンを成功させるコツ

メディアキャラバンを効果的に進めるためには、単に自社の情報を伝えるだけでは不十分です。記者が求める観点を意識し、社内外のリソースを調整しながら、継続的に信頼関係を築いていくことが重要です。ここでは、実践の際に押さえておきたい具体的な工夫を解説します。

記者目線で情報を伝える

記者は「読者にとって有益なニュース」かどうかを常に意識しているため、広報は自社の都合ではなく、記事化の価値を提示できるかを考える必要があります。例えば「新製品の発売」を伝える際も、単なる仕様説明ではなく「業界初」「社会課題の解決につながる」といった切り口を添えることでニュース性が高まります。

説明資料も専門用語を並べるのではなく、第三者が理解しやすい表現に置き換えることがポイントです。結果として、取材意欲を喚起し、記事化につながる可能性を高められます。

ニュース性を重視する

広報担当者は自社の告知を優先したくなりますが、宣伝色が強い情報は記事として扱われにくいのが実情です。そこで大切なのは「なぜ今発表するのか」という時事性や「どのような社会的意義があるのか」といった公共性を加えることです。

季節や業界トレンドに合わせた話題、行政の施策や社会的なイベントと関連付ける工夫をすることで、ニュースとしての価値が高まり、メディアに取り上げられる確率が向上します。

複数部署と連携して情報を整理する

メディアキャラバンでのやり取りは広報だけでは対応しきれないことも多いため、商品開発や営業、マーケティングなど複数部署と連携し、統一感あるメッセージを準備することが不可欠です。

例えば、技術的な質問には開発担当が答えられる体制を整えると、信頼感が増します。

また、記者から想定される質問をFAQ形式でまとめ、全員が共通理解を持てるよう事前に共有することも有効です。こうした準備により、当日のやり取りがスムーズになり、取材の満足度も高められます。

継続的に実施し関係性を深める

1回のキャラバンだけで即座に成果が出ることは稀です。むしろ、定期的に接点を持ち続けることで「この企業なら情報を出し続けてくれる」と信頼が積み重なっていきます。たとえ初回で記事化につながらなくても、数回の訪問を経て取り上げられるケースは少なくありません。

訪問後はフォローアップメールを送り、進捗や追加情報を提供するなど、継続的な関わりを意識することが大切です。結果として、中長期的に安定したメディア露出へと結び付けることができます。

メディアキャラバンを実施する際の注意点

メディアキャラバンは関係構築の有効な手段ですが、進め方を誤ると信頼を失うリスクもあります。営業活動との境界線を明確にし、記者に不要な負担をかけないようにすること、また情報管理を徹底することが欠かせません。

最後に、メディアキャラバン時に特に気をつけるべきポイントを整理します。

営業活動と混同しない

メディアキャラバンは「取材のきっかけ作り」であり、商品を売り込む営業活動ではありません。営業色が強い説明や契約を迫る行為は記者の不信感を招き、むしろ逆効果となります。重要なのは「情報を共有し、取材に役立ててもらう」という姿勢を一貫して示すことです。

その結果として記事化につながれば理想ですが、あくまで記者の判断に委ねるというスタンスを崩さないことが信頼関係の維持につながります。

取材や掲載を強要しない

訪問後に「必ず記事にしてください」と依頼するのはマナー違反です。記事化の有無は編集部の裁量であり、強要は関係を損なう原因となります。代わりに「今後の記事企画の参考になれば幸いです」と伝えるなど、あくまで記者にとってのメリットを重視した姿勢を示しましょう。

記者が安心して情報を受け取れる環境を作ることで、自然と掲載機会は増えていきます。

オフレコ情報や守秘義務に配慮する

キャラバンでは、未発表の新商品や社内事情など、公開前の情報を扱う場合があります。その際は「ここからはオフレコです」と明確に伝え、取り扱い範囲を双方で認識しておくことが重要です。

さらに、社内でも共有可能な情報と秘匿すべき情報を整理し、事前にルールを徹底しておくことが必要です。こうした配慮が企業の信頼性を高め、記者からの安心感にもつながります。

自社にもメディアにもメリットのあるメディアキャラバンを実現しよう

メディアキャラバンは自社の情報をメディアに売り込むための機会です。しかし、「製品・サービスを売り込むぞ」「掲載につなげるぞ」という自社側の都合だけで押しかけても成功しません。

「メディアが必要とする情報を提供する」「メディアの先にいる購読者・視聴者に価値ある情報を届ける」など、メディア側に寄り添った視点を大切にしてみてください。きっと自社にもメディアにもメリットのあるメディアキャラバンが実現できるはずです。

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<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>

メディアキャラバンに関するQ&A

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この記事のライター

三寳 里菜

三寳 里菜

ライター・編集者。2013年、大学在学中に旅行系ITベンチャーに入社し、現在まで約6年にわたりコンテンツ責任者・広報・PR・組織開発を担当。それぞれのフィールドでの経験を活かして、「読みやすく、分かりやすく、伝わりやすいコンテンツ」づくりに取り組んでいます。ハウツーからイベントレポート・インタビューまで、様々なコンテンツ制作が得意です。

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