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新卒採用における採用広報7つのコンテンツ企画と事例55選

採用広報の役割は、自社を就職先として選んでもらうための関係構築です。企業のことを知ってもらい、興味・関心づけを行うことでエントリーを促進し、理解を深めてもらうなどして、ミスマッチのない採用、入社後の早期活躍につなげられるように、情報を発信します。

また、対象者は就職を検討している人に限りません。採用広報は、広告だけでは訴求しきれなかった潜在的な採用候補者に対するアプローチの役割も担います。

本記事では、新卒採用に焦点を合わせ、採用広報のコンテンツ企画と他社の発信事例を紹介していきます。

新卒採用における採用広報が重要な3つの理由

まずは、なぜ採用広報の役割がますます重要になっているのか、その背景から確認していきましょう。これらを踏まえ、後述のコンテンツ企画例を参考にしてください。

1.早まる就職活動の時期

通年採用を行う企業は増えてきているものの、多くの学生はいまだに卒業年の4月入社を前提に就職活動を進めています。

経団連が定めた採用選考に関する指針では「3月に会社説明会開始、6月に選考開始」という解禁スケジュール(就活ルール)ですが、学生の動きはこれよりも早く、就職活動を行うピークは会社説明会開始とされる3月よりも前に集中。2026年卒の学生のうち、就職活動を行っている割合は2月時点でおよそ85%です。

就職プロセス調査(2025年卒)「2025年3月度(卒業時点)内定状況」より就職活動実施率(全体)
引用:就職プロセス調査(2025年卒)「2025年3月度(卒業時点)内定状況」|リクルート「就職みらい研究所」よ

参考:就職プロセス調査(2026年卒)「2025年3月18日時点 内定状況」|株式会社リクルート

また、3月18日時点の内定率は6割弱にのぼり、調査開始以降、過去最高値です。

さらに、就職活動が加速しているだけでなく、早々に就職活動を終える学生が多くなっています。2026年卒の学生については、例年以上に早めの収束が見込まれます。

就職プロセス調査(2026年卒)「2025年3月18日時点 内定状況」より就職内定率の推移(2013年卒~2026年卒)
引用:就職プロセス調査(2026年卒)「2025年3月18日時点 内定状況」|リクルート「就職みらい研究所」より

参考:就職プロセス調査(2026年卒)「2025年3月18日時点 内定状況」|株式会社リクルート

3月18日時点で半数以上の学生が2社以上の内定を得ていると回答しており内定辞退率も昨年同等の3割が辞退を経験。すでに4割近くが進路確定となっています。例年、卒業時点の進路確定率は大きな差異は見られないことから、優秀な学生の早期獲得のための競争が激しくなっていることは否めません。

2.学生と企業との接点の拡大

近年、自社を就職先として選んでもらうための施策としてインターンシップ等のキャリア形成支援プログラムの拡充が挙げられます。業界や仕事に対する理解を深めてもらうことを目的とし、2000年以降多くの企業が取り組むように。また、2022年6月以降はキャリア形成支援の定義が4つに分類され、企業の理解、自身が働くイメージを深められる職業体験の場となりそうです。

ここで注目したいのが実際の参加率です。マイナビ発表の調査によると、2026卒学生のインターンシップ・仕事体験の参加率は85.3%、平均参加社数は5.2社と、ともに過去最高水でした。一方リクルート発表の調査によると、「5日以上」のインターンシップ等のキャリア形成支援プログラムへの参加割合は21.0%(+2.6ポイント)に留まっており、企業にとって長期期間でのプログラムはカギになるでしょう

参考:「マイナビ 2026年卒 大学生広報活動開始前の活動調査」を発表|株式会社マイナビ

参考:【2026年卒 インターンシップ・就職活動準備に関する調査】キャリア形成支援に係る取り組みの4類型の認知・参加状況|株式会社リクルート

また、2020年以降はオンラインツールの需要が高まったことで、学生と企業とのコミュニケーションが容易に。エリアにとらわれず、手軽に接点を持つことが可能になりました。

多くの企業が学生と接点を持てるようになった今、採用広報としては、より多くの学生に自社への興味・関心を持ってもらうため、良質な接点を持つことはもちろん、そのことを対外的に発信することで、積極的な採用活動を印象づけ、学生への新たな訴求につながるでしょう。

ポイント

3.学生が企業を選択するポイントの変化

学生が企業を選択するポイントとして、「安定している会社」の回答が最多で「給料の良い会社」も3年連続で増加しています。また、「自分のやりたい仕事(職種)ができる会社」は、減少しているものの2位。なお、企業志向の大手志向の割合が53.7%で前年比4.8pt増で、3年振りに半数を超えています。

また、2025年卒の学生の就職観は「楽しく働きたい」が例年通りもっとも多く、前年から増加幅が大きかったのは「個人の生活と仕事を両立させたい」との結果に。やりたいを実現できる環境という点だけでなく、働きやすい環境を希望する学生が多いことから、職場環境や福利厚生などは訴求ポイントのひとつと言えます。

企業を選択するポイント

「マイナビ 2025年卒大学生就職意識調査」企業選択のポイント
引用:「マイナビ 2025年卒大学生就職意識調査」より

就職観の推移

「マイナビ 2025年卒大学生就職意識調査」就職観の推移
引用:「マイナビ 2025年卒大学生就職意識調査」より

参考:「マイナビ 2025年卒 大学生活動実態調査 (5月)」を発表

採用広報で発信したい7つの企画と参考事例全55選

採用広報のコンテンツは、発信することまで考えて企画するとよいでしょう。ここからは、実際にどのような発信がされているのか、発信のポイントはどのような点か、他社の事例を見ていきます。

1.入社式・内定式

新卒採用のプロセスにおいてもっとも大きな催しであり、新卒入社の社員にとって一生忘れられないものとなります。また、これから就職活動をする学生が注目する催しのひとつです。

企業の代表や先輩社員たちがどのように社員を迎え入れているか。当日の開催の内容や様子はもちろん、人事担当者がその日にどれだけの想いを込めて準備を進めてきたかを伝えることは、学生やその家族にとって期待や安心につながります。発信の際は、入社式や内定式で挨拶をした今年度の新入社員の声などを入れ、現在の活躍とあわせて伝えるとよいでしょう。

入社式の参考事例5選

内定式の参考事例5選

2.新卒採用エントリー受付/新卒採用サイトOPEN

新卒採用において、エントリーの受付開始やサイトオープンの発信は、その年の方針を伝える機会になります。どのような点を大切にしていくのか、例年と変わる点はあるのか、会社からのメッセージを伝えます。

また、採用の基準や面接の基準が新たに設けられたり、変更された場合はその内容に触れることで新卒採用に対する姿勢を示してもよいかもしれません。

新卒採用エントリー受付の参考事例5選

新卒採用サイトOPENの参考事例5選

3.新卒採用会社説明会

多くの学生に出会うきっかけとなるのが新卒採用会社説明会です。オフラインイベントが主流だったころに比べ、開催方法に幅ができ、訴求できる対象者が広がりました。

しかし、単に利便性をうたうオンライン開催ではニュースになりません。なぜ私たちの企業が、なぜ今、なぜ開催するのか。「なぜ」を含めた発表をすることで、メディア露出につながり、これまで知ってもらえていなかった学生に届けることが可能となります。

新卒採用会社説明会の参考事例5選

4.インターンシップ/内定者インターン

春夏だけではなく、秋冬の実施もあれば、一年を通して訴求の機会となります。単に開催の事実を発信するだけでなく、他社とは異なる「学生が得られるポイント」を訴求しましょう。

また、内定者インターンは、受け入れ時期が次年の採用のタイミングと重なり大変な面も多いですが採用広報としては、訴求したい企画のひとつ。それでも受け入れる背景や想いと一緒に発信しましょう。内定者は就職活動中の学生にとって、もっとも近い存在です。OB・OG訪問で得られる入社後のリアルとは別に、まだ学生である内定者はどのように就職活動をし、その企業を選んだのかを知ることで、企業の魅力や学生に期待することなどをより等身大で伝えることができます。

インターンシップに関するプレスリリースには、参加者や参加後に入社した社員の声があるとよりよいでしょう。

インターンシップの参考事例10選

(インターンシップ募集)

(インターンシップ採用)

(インターンシップ受け入れ)

(内定者インターン)

ほかにも、株式会社ARTHではインターンシップで参画する学生を含む若年層の活躍をうまく伝えています。

参考:若手社員が自社施設の客室をプロデュース!株式会社ARTHの人材育成プロジェクトとして、「TheMana Village」に新しい客室“縁(えん)”が誕生

5.アイデアソン・ハッカソン/採用イベント

アイデアソンやハッカソンは、採用に向けたイベントの開催発表は、対象の学生の応募につなげるだけでなく、その職種の採用を強化していることを伝えるのに有効です。

また、開催後の結果を発表することで、どのような人が集まり、どのような人が求められているのかを具体的に伝えることができます。

アイデアソン・ハッカソンの参考事例5選

採用イベントの参考事例5選

6.採用条件の新設・変更

新たに募集する職種を設けたり、採用枠を広げること、採用条件の変更などは学生に届けたい情報のひとつです。

例として、以下のようなケースが挙げられます。

  • 初任給ほか初任給の増額
  • エンジニアの新卒採用は行っていなかったが、優秀な人材を育てるために採用枠を新設
  • 育児や介護などの家庭の事情による離職を防ぎ、ワークライフバランスに合わせた働き方ができるよう、転勤を伴わない地域限定社員の採用枠を新設
  • 首都圏など生活費水準が高いエリア配属に限りフレッシャーズ手当を増額

採用環境に応じた新設や変更によって、新卒採用の条件も一律ではなく、ある程度の幅が生まれるようになりました。スキルや経験、採用される地域や働き方、前述のハッカソン等の参加結果による場合などさまざまです。いずれの場合も発信の際には、新設、変更される背景を必ず入れ、新規性のある話題と合わせて配信するようにしましょう。

採用条件の新設・変更の参考事例5選

以下の企業の配信事例は新卒採用のものではありませんが、変更の背景と変更概要が合致し、ニュース性を見いだしているものです。参考にしてみてください。

参考:株式会社ニチリョク、自分の知識や経験を生かして働きたい、人の役に立ちたい、社会貢献したいと考えているシルバー世代に新制度(働く場の提供)を開始

参考:ユニバーサル・スタジオ・ジャパン 2025年はクルーへの感謝も“NO LIMIT!” 4月からパート・アルバイトの月間支給総額・平均7%増  時給を一律50円引き上げ、諸手当も増額

7.社内制度の新設・変更

求人情報の一部としてのみ開示されていることが多い社内制度や福利厚生。働き方や休暇、学びに関する研修や教育制度、近年では働く場所に関するものも多く新設されています。

ひとつ例を挙げると、育児・介護休業法の改正に伴うもの。段階的に施行されることで企業からは導入や宣言などさまざまな発信がされていますが、学生が知りたいのは、「どの程度活用されているか」「活用している人たちの意見はどうか」という点です。

実際に活用されている割合や活用している人の声を入れることで、入社後にどのように働くことができるのかがイメージでき、働く環境を知ってもらうことができます。

社内制度の新設・変更の参考事例5選

参考

新卒採用における発信したい内容と時期

ここまで7つのコンテンツ企画例を挙げましたが、これらはあくまでもごく一部です。学生が知りたい情報や自社の取り組みを一年を通してさまざまな方法で継続的に発信していきましょう。

新卒採用における発信したい内容と時期の例
新卒採用における発信したい内容と時期の例

まとめ:学生の行動に合わせた多角的な採用広報を

仕事の選び方が多様化し、働き手も不足。さまざまな理由で企業が求める人材の獲得が難しくなっている今、採用広報に対する重要性を感じている人事担当者や広報PR担当者は多いでしょう。

まず、就職活動の時期が早まっていること、学生と企業との接点が多くなっていること、学生が企業を選択するポイントが変わっていることなど、学生を取り巻く環境の変化を知る必要があります。

そして、入社式・内定式のような、多くの企業がすでに取り組んでいることや、募集職種・ポジションや採用条件の新設・変更、社内制度/福利厚生の新設・取り組みなど、発信をすることを踏まえ計画することで各企業のニュースになります。

本記事では、新卒採用に焦点を合わせて見てきましたが、新卒・中途、雇用形態問わず、すべての採用活動において採用広報は重要です。

自社の魅力やリアルを伝え、認知拡大や興味・関心づけ、理解を深めてもらうことで、エントリーの促進、ミスマッチ抑制、入社後の早期活躍につなげましょう。

<編集:PR TIMES MAGAZINE編集部>

新卒採用における採用広報のコンテンツ企画に関するQ&A

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この記事のライター

丸花 由加里

丸花 由加里

PR TIMES MAGAZINE編集長。2021年、PR TIMESに入社し、「PR TIMES MAGAZINE」、ご利用企業向けのコミュニティイベント「PR TIMESカレッジ」の企画・運営を行う。2009年に新卒入社した大手インターネットサービス運営会社では法人営業、営業マネージャーとして9年半、その後オウンドメディアの立ち上げに参画。Webコンテンツの企画や調査設計に携わる。メディアリレーションズを主とした広報を経て、現職。

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