PR TIMESでプレスリリースを配信する際、審査指摘が入ることがあります。万が一、審査指摘の対象となった場合でも、期限内に内容の編集・追記等の対応をいただければ掲載継続ができます。
本記事では、審査指摘される原因を中心に対処方法をご紹介。PR TIMESでプレスリリースをスムーズに配信できる方法をお届けしていますので、ぜひ参考にしてみてください。
なお本記事は、PR TIMESが2025年、38万2296件(※)を対象に調査・発表したプレスリリース審査レポートを基に解説しています。
※対象期間:2025年1月1日~10月31日
PR TIMESのプレスリリースのコンテンツ基準とは?
PR TIMESでのプレスリリースの配信には一定の基準が設けられています。プレスリリースが審査指摘の対象になるのは、法令に反する内容はもちろん、メディア側に報道素材としてお送りする際に欠かせない新規性がないものや重複した情報の送付などさまざま。
まずは、この基準に抵触しないようにするためのポイントを押さえ、万が一審査指摘となったときのための対処法を知っておくとよいでしょう。
もしも、審査指摘の対象となったとしても表現の変更や新規情報の追加など、修正によって継続的な掲載は可能です。この記事では、PR TIMESのコンテンツ基準、プレスリリースの審査レポートをベースに審査指摘の対象をご紹介します。
以下の記事ではPR TIMESの掲載基準について詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
【PR TIMESノウハウ】PR TIMESで配信できる掲載基準を確認しよう
【PR TIMESノウハウ】PR TIMESの掲載基準は?掲載基準に満たない業種・業態・画像
審査指摘対象のプレスリリースが掲載継続・取り下げになった割合

PR TIMESが2025年1月1日〜10月31日までに実施した調査では、全体の0.9%(前年比-0.3pt)のプレスリリースが指摘対象となったことがわかりました。指摘対象になったプレスリリースのうち75.96%(前年比+8.6pt)は掲載を継続していますが、残り24.1%は公開が取り下げられています。
審査指摘の理由となった内容が改善できない場合、プレスリリースとして配信できずPR TIMESでは掲載継続・取り下げとなります。審査指摘にはさまざまな要因があるため、ここから紹介する主な原因と対処法を参考にしてみてください。
プレスリリースが審査指摘になる原因と対処法

プレスリリースが審査指摘される理由は複数考えられます。2025年1月1日から10月31日までにPR TIMESで行った調査では「最上級表記の根拠不足」が3割以上を占め、昨年最も多い比率だった「新規性の不足」を上回りました。根拠なく「No.1」や「業界初」を記載することはできません。調査期間中に指摘した基準の内訳を上位8個ピックアップしますので、プレスリリース作成や配信の際に備えてチェックしてみましょう。
原因1.最上級表現の根拠が不足している
「業界ナンバーワン」「日本初」といった最上級表現のうち、法令に抵触するおそれのあるものは審査指摘の対象となります。最上級表現を裏付ける客観的な根拠がないプレスリリースは、景品表示法に違反するおそれがあるためです。
この基準は、メディアや生活者に安心して情報をご活用いただくために、広告表示に対する消費者庁からの指摘・社会情勢を踏まえて設けています。
「顧客満足度ナンバーワン」と訴求したい場合は、アンケート調査などの結果を提示し、「〇〇による顧客満足度調査においてナンバーワンを獲得」のように明確に記載しなければなりません。「世界一の〇〇」「業界最高の〇〇」など、最上級表現を用いる場合は注意しましょう。
例えばスタートアップ企業の株式会社エイトノットは、国内初の試験運航に関して「どのような取り組みが国内初なのか」を明記したうえでその詳細を紹介しています。このように、最上級表現の根拠を示すことが大切です。
根拠の追記例としては、「試験・調査による客観的結果」「専門家、専門家団体・専門機関の見解または学術文献」などを推奨しています。
自社調べによる根拠をお持ちの場合は、以下の3点をプレスリリースにご記載ください。
- 当社調べである旨
- 調査年月
- 調査範囲(どの範囲における最上級か)
プレスリリースの最上級表現については以下の記事で詳しく解説していますので、こちらも参考にしてみてください。
原因2.プレスリリースの内容に新規性がない
プレスリリースに記載されている内容に新規性がない場合、PR TIMESでの掲載は取り下げられる可能性があります。既存かつ古い事業内容を紹介していたり、すでに発売済みの商品・サービスに無理な新規性を持たせる表現があったりといったケースが一例です。
審査の基準は、プレスリリースの配信契機から、1ヵ月以上が経過した内容および既存製品・サービスに関する配信としています。なぜこの基準を設けているのかというと、メディア側に報道素材としてお送りするプレスリリースの性質上、情報鮮度は重要であり、プレスリリースの目安として発売や開始後1ヵ月以内のものが望ましいと判断しているからです。
しかし、決してすべての既存商品・サービスがメディアに響かないというわけではありません。実際にメディア関係者から以下のような声も聞かれます。
『MAQUIA』編集長 清田さん
毎号さまざまな切り口で商品を紹介している。既存品だから不利だということはない。知見や効果を裏付けるデータなどがあると、そこを踏まえたセレクトが可能。特に、その商品が販売され続けている理由や、どれだけ売れているのかという情報など、企業側からの発信は参考にしている。
『日経クロストレンド』副編集長 森岡さん
メディアは新製品だけを取り上げるわけではない。
- 商品が属する市場や競合を再定義すること
- 「食べたくなる」具体的なシーンを設計すること
- 売り場の拡張によって商品との「新たな出会い」を創出すること
この3つを押さえることで、定番商品やロングセラー商品を再びニュースに変えることができる。
メディアやその先にいる生活者が「ほしい」と思う新しい情報を精査し、読み手に向けて情報を発表することがポイントです。例えば株式会社ファミリーマートでは、同じ商品であっても、その商品が販売されるまでの行動や販売後の成果など、生活者の興味や関心を引きやすい新しいニュースを交えて発表しています。
参考1:パンは“生”でうまくなる!累計販売数1億2千万個を突破した「生コッペパン」シリーズに新たな生地が仲間入り!驚く食感の「生しっとりパン」3種を2月27日(火)発売!
参考2:\発売から3日で累計120万食を突破/話題の新商品「生しっとりパン」の開発背景を大公開 開発担当者が明かす、「生」を極めたファミリーマートの「生地開発」の裏側
参考3:発売から15日間で累計500万食を突破!パン好きの9割が「しっとり」生地を実感。97%がまた食べたいとリピ―ト希望!
また、自社の取り組みについて発信したい場合は「福利厚生の新設」「事業・ブランドの刷新」といったテーマを設けるのも一案。既存サービスに関するプレスリリースであれば「機能の拡充」「新機能のシステム開発に成功」など、読み手にとって新しい情報が盛り込まれているか否かを重視することが大切です。
類似情報の配信については、以下の記事もご参照ください。
原因3.配信済みの情報を再告知している
過去に配信したプレスリリースと同じ内容のものは「再告知」とみなされる可能性があります。事業やサービス・商品としては新しい情報であっても、ひとつのプレスリリースに対して新情報が盛り込まれているかが判断基準となる点に注意しましょう。
過去配信済みのプレスリリースと同一内容を主題としたプレスリリースの再配信されているものが審査指摘の対象となります。メディア側に報道素材としてお送りするプレスリリースの性質上、同一の情報を複数回メディアに送ることで、メディア側と企業側の関係性を棄損するおそれがあるためこちらの基準を設けています。
参考:同一内容の再告知
もう少し具体的な例をお伝えすると、特定のイベントに関するプレスリリースの場合、「あと〇日」のようなカウントダウン形式の内容も取り下げの対象となります。読み手に念押しする目的としては認知拡大効果も期待できますが、「事前予約特典の発表」「オンライン申込受付開始」など、併せて記載できる新情報の発信を前提に制作していきましょう。
なお、以下のプレスリリースのように、2社共同企画を同時に配信するケースがあります。このような配信機会は再告知の対象外です。同様の情報を2社がそれぞれ配信することで、既存のステークホルダー以外の目に留まりやすくなるため認知拡大効果が期待できます。
参考:mofusand×日比谷花壇、初のコラボレーションが実現!フローリストが描く「花屋さんのお花柄」とキュートなにゃんこが出会う新シリーズ
参考:「mofusand」と「日比谷花壇」が初のコラボ!12/25(木)よりコレド日本橋にて期間限定ショップを開催!
原因4.メディア掲載情報を告知している
メディアへの掲載情報を告知することを主旨としたプレスリリースも、PR TIMESでは配信不可となります。「自社商品が〇〇で紹介されます」「自社役員が登場します」など、Webメディアやテレビなど、メディア掲載を告知する内容は審査指摘の対象です。プレスリリースは、企業が主体的に発信する情報です。テレビや雑誌などの掲載情報を伝えるだけのプレスリリースは、企業の主体的な情報発信とは言えず、独自の価値を提供することができません。
こうした背景から、メディアに対して「他社のメディア掲載情報」を配信しても、取り上げることは難しいことからこの基準を設置。
メディア掲載の告知に特化したプレスリリースになっていないか、作成の際に注意しましょう。ただし、新商品・サービス紹介の補足情報として記載する場合は問題ありません。例えば、新商品のプレスリリースに、テレビ番組で紹介されたことを追記する、といった形です。その際の掲載ページやテレビ画面のキャプチャ画像などをプレスリリース内で使用するケースでは、掲載メディアへ2次使用に関する使用許諾が必須となります。
原因5.調査リリースの概要や調査情報が不足している
調査ツールや自社調査の結果に基づいたプレスリリースを作成する場合は、調査概要をはじめとする内容を提示する必要があります。調査の目的や調査期間といった情報が不足したまま配信すると、審査指摘の対象になるかもしれません。
メディアや生活者に安心して情報をご利用いただくため調査結果の客観性と中立性を担保するために、この基準を設けています。
企業や団体が調査・アンケート等を実施した結果をまとめた「調査リリース」を配信するためには、「いつ、何のために行われた調査なのか」が明らかになるよう意識しながら、以下の項目を網羅しているか確認しておきましょう。
- 調査機関(使用ツール)
- 調査期間
- 調査テーマ
- 調査対象(年代や人数)
- 有効回答数
また、調査時期が古すぎるプレスリリースも審査指摘させていただくことがあります。調査に関する情報の網羅性はもちろん、調査結果そのものの新規性も重要です。
調査リリースの書き方、入れるべき項目は以下よりご確認ください。
原因6.第三者の権利侵害のおそれがある
プレスリリースに限らず、広報PR活動をするうえで注意すべき「第三者の権利侵害のおそれ」。企業の公式文書となるプレスリリースでは、より慎重に他者の知的財産権やプライバシーを尊重する必要があります。特定の企業や個人に対する誹謗中傷はもちろん、写真・動画の掲載によって抵触する可能性があるものは、PR TIMESでも審査指摘となるためです。
特にイベントレポートのようなプレスリリースにおいては、社内外を問わず人物写真の掲載可否の事前確認が重要となります。顔がはっきり写っているものは事前に掲載許可を取り、可否が判断しづらいものはモザイクなどの処理を施したほうが安心。
メディア掲載を希望しない人に画像処理を施し、個人が特定できないビジュアル面に配慮するなど、イベントでの顔出しの有無にかかわらず、プレスリリース公開時の写真・動画の公開可否は入念にチェックしましょう。
また、万博イヤーとなった2025年は「アンブッシュ・マーケティング」に該当する可能性があるプレスリリースが急増。「アンブッシュ・マーケティング」の知識がないことで意図せぬ権利侵害をしてしまうもことも考えられます。今一度、見直しておきましょう。
原因7.記載内容に法令抵触のおそれがある
PR TIEMSでは、法令に抵触するおそれのあるものはプレスリリースとして公開できません。
基本的に、関係法令を順守した内容のプレスリリース配信をお願いしています。法令に反していない場合でも、PR TIMES内で検討し公序良俗に反する内容や表現が含まれていると判断した場合には、掲載をお断りするケースがあります。企業の公式文書であるプレスリリースにおいて、法令や各種広告ガイドラインを順守する必要があるためこの基準を設けています。
例えば、「頭痛に効果的」「〇〇が治る」など医薬品と誤解される説明がある場合、薬機法(旧薬事法)に抵触します。企業や製品の信頼性を左右する理由にもなり得るため、効果効能の視点で記載したいときは薬機法や医療広告ガイドラインを確認しましょう。
広報PR担当者にとって重要な薬機法については以下で解説していますので、こちらも併せて参考にしてみてください。
原因8.対談・インタビューやコラム形式になっている
プレスリリースは、企業主体の行動やその成果をメディアへお届けする報道素材です。主観的な意見や感想が中心のコンテンツは、プレスリリースとしてのニュース性に欠けると判断される可能性があります。この観点から、対談・インタビューやコラム形式の配信も取り下げの対象となります。インタビュー記事としてまとめたり、企業や関係者の考えをコラムとして既存情報のみで配信したりといったプレスリリースは掲載できません。
企業理念やブランドコンセプトなどを発信したい場合は、「パーパスの刷新」「ブランドリニューアル」といったテーマとともに訴求するのが一案。インタビューそのものをまとめるのではなく、イベントレポートのように対談の様子を紹介すると、プレスリリースとして適切な形になるでしょう。
まずはプレスリリースの基本構成を確認してみてください。
担当者の想いや企業のストーリーを伝えたい場合は、「PR TIMES STORY」をご活用ください。新規性のある情報発信を伝えるプレスリリースとは異なる形で、開発秘話や創業ストーリーなど企業・団体内に秘められた背景や裏側を報道向け資料としてメディアへ配信できるPRサービスです。
まとめ:メディアや読み手から信頼されるプレスリリースを作成しよう
本記事では、PR TIMESが2025年、38万2296件を対象に調査・発表したプレスリリース審査レポートを基に、指摘される主な原因や対処法などをお伝えしました。レポートからわかるように、プレスリリースにとって必要な新規性の不足や最上級表現の根拠不足が審査を受ける内容として上位になっています。ただ、審査指摘が入ったからといって、いきなり取り下げになることはありません。万が一審査指摘が入った場合も、期限内に対応をいただければ掲載継続ができます。
PR TIMESでは、プレスリリース配信をより快適にご活用いただくため、コンテンツ基準を設けていますので、ぜひ作成前にご確認ください。そして、この基準に準じメディア関係者はもちろん、一般生活者を含む読み手が安心して情報収集できるプレスリリースを構築しましょう。
関連リンク:広報が知っておきたい法律集
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